フィンランドの企業では、どのような福利厚生が提供されているのでしょうか。福祉の手厚さで知られる北欧諸国ですが、中でもフィンランドは、幸福度ランキング7年連続で1位を誇る注目の国です。この記事では、そんなフィンランドでもっとも人気のある食事補助の福利厚生「ラウナリ」について、現地で公開された記事をもとに解説します。「ラウナリ」の運営会社であるエデンレッド社が、日本国内で提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
食事補助の福利厚生サービスの発祥
2024年は、フィンランド人に愛される食事補助の福利厚生サービス「Lounari(ラウナリ)」が50周年を迎える記念の年です。
ラウナリの歴史は、数十年前のイギリスのレストラン、そしてパリのシャンゼリゼ通りまで遡ります。
1950年代、イギリスの実業家ジョン・ハックは、レストランで食事中に画期的な食事補助のアイデアを思いつきました。このアイディアを実現したのが、フランスのレストランオーナーであったジャック・ボレルです。1962年、ボレルはフランスにて画期的な食事補助サービス「チケットレストラン」の提供をスタートさせました。
ボレルの目的は、食事補助券を通じてより多くの顧客をレストランに呼び込むことでした。このレストラン経営者のスタンスは、現在も変わらず引き継がれています。
最初の食事補助券は使用済みの映画チケットで、金額によって色分けされていました。ボレルの食事補助券は成功を収め、1967年、フランス政府は正式に「チケットレストラン」を非課税の福利厚生サービスとして認めました。
「 Luottokunta(ルオットクンタ)」が「Lounari(ラウナリ)」をフィンランドに導入
1974年、決済サービスプロバイダーの「 Luottokunta(ルオットクンタ)」が「Lounari(ラウナリ)」を導入したことをきっかけに、フィンランドでも食事補助が提供されるようになりました。これがフィンランドのランチ文化発展の始まりです。
当初、食事補助の主な目的は「勤務時間中の食事を奨励し、雇用主と従業員の関係を育むこと」にありました。従業員の栄養補給・リフレッシュ・回復が重視されるのと同時に、家庭料理とは異なるバラエティ豊かな食習慣の促進を目指すラウナリの方針は、現在もなお変わっていません。
その後、ルオットクンタは同じく決済サービスプロバイダーの「Nets Holding A/S」と提携し、カード型の支払い方法を開発します。
2012年、ルオットクンタは事業全体を「Nets」に売却しました。さらに2014年になると「Edenred(エデンレッド)」がNetsから食事補助ならびにレジャー補助事業を買収し、ラウナリはエデンレッドの一部となりました。
フィンランドのランチはリフレッシュと充電の機会
ラウナリの導入以来、食事補助はフィンランドの労働文化において重要な役割を果たし、現在ではもっとも人気のある福利厚生となっています。
ラウナリは従業員にリフレッシュの機会を提供し、同時にレストランに顧客をもたらしています。実際に、食事補助の利用は過去2年間で約19パーセント増加しました。また、食事補助を提供する企業の大半が、従業員に年間850ユーロの非課税最枠を提供しています。これは、5食に1食が雇用主によって提供されていることを意味します。
フィンランドのエデンレッド社がおこなった調査によると、レストランで食事補助を利用する従業員は、自前のランチを用意する人よりも健康的な食事をする傾向にあることがわかりました。特に大きな影響を受けているのが中年男性で、レストランでサラダだけを食べるケースも珍しくありません。そのため、食事補助を利用する男性は、より健康的な食事をしています。
現在、平日にランチを取るフィンランド人の65%がレストランで食事をしていて、自前のランチを持参するのはわずか18パーセントです。また、リモートワークの普及によって、レストランでランチを食べる人の内46%が定期的にフードデリバリーサービスを利用しています。
食事補助の50年は、フィンランドの支払い方法の進化も反映しています。かつては使用済みの映画チケットだったのに対し、現在のラウナリユーザーは、Apple PayやGoogle Payを使用し、スマートフォンで簡単に非接触決済ができるようになりました。
日本でも一番の実績「チケットレストラン」
1962年にフランスで生まれた「チケットレストラン」は、2024年現在、世界45カ国で利用されるグローバルな人気サービスとなりました。日本でも1987年に日本法人設立以降、3,000社を超える企業に導入され、日本一の実績を持つ福利厚生の食事補助サービスとなっています。
ここでは、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」が提供するサービスについて解説します。
「チケットレストラン」の仕組み
「チケットレストラン」は、企業の補助により、一定の利用条件を満たした場合に、勤務中の従業員の食事代が半額になる食事補助の福利厚生サービスです。
「チケットレストラン」を導入した企業では、対象となる従業員へ専用のICカードを配布します。ICカードには、毎月企業側と従業員側で半額ずつ決められた金額をチャージします。加盟店で専用のICカードで支払うため、現金を持ち歩くことなく簡単です。
加盟店は全国に25万店舗以上
2024年11月現在「チケットレストラン」の加盟店は25万店舗を超えています。そのジャンルは幅広く、コンビニやファミレス・カフェ・三大牛丼チェーンなどバラティに富んでいます。2023年3月には料理宅配サービス「Uber Eats」との提携がスタートし、マクドナルドやスターバックスなどの人気チェーン店の利用も可能となりました。
利用者一人ひとりの事情に合わせ、食の好みや食事制限等を気にせずに豊富な選択肢から食事を選べるのは「チケットレストラン」の大きな魅力です。
雇用形態や勤務形態を問わず平等に利用できる福利厚生
「チケットレストラン」は、正規雇用の従業員はもちろん、アルバイトや派遣社員などの非正規雇用の従業員にも提供可能です。
また、勤務時間内であれば24時間全国どこでも利用できるため、夜勤や休日出勤・出張中やリモートワーク中など、あらゆるシーンで自由に活用できます。
同一労働同一賃金が浸透しつつある近年、雇用形態や勤務形態を問わず平等に利用できる福利厚生サービスとして、ますます注目度を高めているサービスです。
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導入や運用が簡単なのも魅力
「チケットレストラン」は、契約から約1カ月で利用開始できます。導入にあたり、事前に特別な機器を購入したり、スペースを確保する必要もありません。
運用に必要なのは、月に1度一括で行うチャージのみのため、バックオフィスの負担も最小限です。人的コストを抑えられるため、人的リソースに限りがある中小企業でも導入しやすいメリットがあります。
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一定の条件下で経費として計上可能
福利厚生にまつわるコストは、一定の条件を満たすことで企業の経費になります。経費は利益から控除できるため、企業は法人税の節税効果があります。
また、同じく一定の条件下で従業員の課税所得からも差し引かれるため、従業員の所得税にも影響を与えません。つまり、給与として支給するケースよりも、実質的な手取りを増やすことが可能です。
なお、国税庁は、食事(食事手当)が給与として課税されないための条件について、以下のように定めています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
つまり、1カ月あたりの利用金額を7,000円以内(企業側・従業員側それぞれ最大3,500円ずつ)に収めることで「チケットレストラン」を食事補助の非課税枠で利用できます。
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フィンランドで人気の福利厚生を貴社のアピールポイントに
人手不足が深刻な社会問題化している近年、優秀な人材の獲得や定着に苦慮する企業は少なくありません。
その点、福利厚生は、従業員を大切にする企業姿勢の表れとして求職者から強い関心を寄せられる項目です。採用市場での競争力強化や従業員の満足度向上を目指す企業にとって、無視できない重要な要素といえます。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、幸福度世界一の国フィンランドをはじめ、世界45カ国で愛されている福利厚生の食事補助サービスです。日本全国25万店を超える飲食店を社員食堂のように利用できるサービスは、従業員のニーズを満たし、貴社のブランディングにも寄与するでしょう。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を、貴社の人材戦略の選択肢として検討されてはいかがでしょうか。
参考:Lounari 50 years - how did used movie tickets become Finland… - Edenred
参考:Happiness of the younger, the older, and those in between | The World Happiness Report