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【社労士監修】2025年4月育児・介護休業法改正とは?ポイント、改正履歴を解説

【社労士監修】2025年4月育児・介護休業法改正とは?ポイント、改正履歴を解説

2024.08.19

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

近年の日本社会では、少子高齢化の進行や働き方の多様化が急速に進んでいます。これに伴い、仕事と育児・介護の両立支援の重要性はさらに増しています。とくに、労働力人口の減少が懸念される中、女性の就労継続や男性の育児参加を促進することは、社会全体が抱える課題です。
このような背景を踏まえ、政府は育児・介護休業法の改正を決定し、2025年4月より段階的に施行が開始されます。この改正は、働く人々が仕事と家庭生活をより円滑に両立できる環境を整備することを目指すものです。この法改正の背景や目的、そして主要な改正ポイントについて詳しく解説します。

【2024年5月公布】育児・介護休業法改正とは

育児・介護休業法は、正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を担う労働者の福祉に関する法律」といい、働く人々が仕事と育児や介護を両立できるよう、さまざまな制度や措置を定めています。具体的には、育児休業や介護休業の取得、子の看護休暇や介護休暇の付与、所定外労働の制限などです。

今回の法改正は、2024年5月31日に公布され、2025年4月1日から段階的に施行されることが決まっています。主な目的は、男女がともに仕事と育児・介護を両立できる環境をさらに整備することです。子育て世代の働き方の柔軟性を高めることや、介護離職防止のための措置の強化などが盛り込まれました。次節では、この法改正の背景について詳しく見ていきます。

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【2024年5月公布】育児・介護休業法改正の背景

育児・介護休業法改正の背景には、以下のような社会的課題があります。

  • 少子化の進行:令和4年の合成特殊出生率は1.20など長期的な低下傾向
  • 働き方の多様化:コロナ禍を契機に、多くの企業でリモートワークが導入
  • 男性の育児参加促進:政府による男性の育児休業取得推進
  • 介護離職の防止:年間約10万人が介護を理由に離職
  • ワーク・ライフ・バランスの重視:働き方改革の推進により、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進が進展

上記のような背景を踏まえ、より実効性の高い両立支援制度の整備が必要とされ、今回の法改正に至りました。そのため、子育て世代の柔軟な働き方の実現や、介護離職の防止に焦点が当てられています。

また、少子高齢化による労働力人口の減少も大きな課題となっています。女性や高齢者の就労を促進するためにも、仕事と育児・介護の両立支援は不可欠です。近年のダイバーシティ&インクルージョンの推進の観点からも、多様な働き方を認める制度の整備が求められています。

出典:厚生労働省|令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要
出典:総務省|令和4年就業構造基本調査 結果の要約

【2024年5月公布】育児・介護休業法改正の目的

働く人々が仕事と育児や介護を両立しやすい仕組みを整えるため、今回の法改正の目的として以下があります。

  • 男女ともに仕事と育児・介護を両立できる環境の整備
  • 子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現
  • 育児休業取得の促進と透明性の向上
  • 次世代育成支援対策の推進・強化
  • 介護離職の防止

これらの目的を達成するため、今回の改正では大きく3つのポイントが設けられました。

  1. 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充【育児・介護休業法】
  2. 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化 【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】
  3. 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】

上記のポイントに基づき、具体的な制度改正が行われます。たとえば、小学校就学前の子を持つ労働者に対する所定外労働免除の対象拡大や、テレワーク導入の努力義務化などが含まれています。

育児休業の取得状況の公表義務の範囲を拡大することは、企業の取り組みの透明性を高め、社会全体で育児休業の取得を促進する環境作りを目指すことが目的です。さらに、介護離職の防止に向けて、介護に直面した労働者への両立支援制度の周知や、テレワークなどの柔軟な働き方の導入促進が図られます。

【2024年5月公布】育児・介護休業法改正のスケジュール

今回の法改正は、2024年5月31日に公布され、以下のスケジュールで段階的に施行されます。

2024年5月31日:公布日

育児・介護休業法の改正が2024年5月31日に公布されました。また、育児・介護休業法の改正目的と密接であることから、「次世代育成支援対策推進法」の有効期限が10年間延長されます。

2025年4月1日:主要な改正事項の施行

今回の主要な改定事項が施行となります。

  • 所定外労働免除の対象拡大
  • 子の看護休暇の適用範囲拡大
  • 育児休業取得状況
  • 育児休業取得状況の公表義務範囲拡大
  • 常時雇用する労働者数が300人超の企業に対象が拡大
  • 介護離職防止のための措置の義務化
  • 次世代育成支援対策推進法関連の改正

公布後1年6か月以内の政令で定める日

今後施行日が1年6か月以内に政令で定められるものとして、以下があります。

  • 柔軟な働き方実現のための措置及び個別周知の義務化
  • 仕事と育児の両立に関する個別聴取の義務化

スケジュールに応じて、企業には段階的な対応が求められます。主要な改定事項が盛り込まれている2025年4月1日の施行に向けては、就業規則の改定や社内制度の整備など、十分な準備期間を設けることが重要です。

次世代育成支援対策推進法の改正も同時に決定

前述で触れたように、「育児・介護休業法」の改正と同時に、「次世代育成支援対策推進法」の改正も決定し、すぐに施行されています。この法改正の背景には、現在の少子化の進行等の状況や「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指すという観点があります。

育児休業取得の実効性を促す「くるみん認定制度」が定められているのが「次世代育成支援対策推進法」の特徴です。延長は、男性の育児休業取得等をはじめとした仕事と育児の両立支援に関する事業主の取り組みを一層促すことが狙いです。

企業においては、男性の育児休業取得状況や労働時間の状況把握、数値目標の設定など、より具体的な行動計画の策定が必要となります。

【2025年4月〜順次施行】育児・介護休業法改正のポイント

育児・介護休業法改正の主なポイントについて、詳しく見ていきましょう。全体像の把握には、厚生労働省作成の以下イメージが参考になります。

育児・介護休業法改正01出典:厚生労働省|リーフレット「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント」

1.柔軟な働き方実現のための措置及び個別周知の義務化

3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関して、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できる環境作りが義務付けられます。事業主は、以下の5つの中から2つ以上を選択して、措置を講じなければなりません。

柔軟な働き方への措置 内容
始業時刻等の変更 フレックスタイム制やシフト勤務などを含む、労働者が勤務時間を柔軟に選択できる制度

テレワーク等
(1か月10日)

在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務など、場所を問わない働き方の導入
保育施設の設置運営等 事業所内保育施設の設置や、保育サービスの利用支援
新たな休暇の付与
(1年に10回)
子育て関連の特別休暇の新設
短時間勤務制度 1日の所定労働時間を短縮する制度

また、これらの措置について、労働者への個別周知と意向確認を行うことも義務付けられていました。

2.残業免除の対象拡大(小学校就学前まで)

所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲が、現行の3歳になるまでの子を養育する労働者から、小学校就学前の子を養育する労働者に拡大されます。子育て中の労働者がより長期にわたって残業を免除される権利を持てるようになりました。

3.育児(3歳未満)によるテレワーク導入の努力義務化

3歳になるまでの子を養育する労働者に関して、事業主が講ずる措置の内容にテレワークが追加され、努力義務となります。育児中の労働者がより柔軟な働き方を選択できる可能性が高まりました。

4.子の看護休暇の適用範囲を拡大

子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大します。また、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みが廃止されます。

年齢と事由への配慮が加わり、より多くの労働者が子の看護休暇を利用しやすくなりました。たとえば、子どもの運動会や授業参観などの学校行事への参加も、この休暇を利用して行えるようになります。アフターコロナで大流行したことが記憶に新しい、インフルエンザなどの感染症に伴う学級閉鎖のケースも取得も可能です。

5.仕事と育児の両立に関する個別聴取の義務化

妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付けます。労働者個別のニーズに応じたきめ細やかな両立支援が提供するためです。具体的には、以下のような聴取・配慮が求められます。

  • 育児休業の取得意向や取得予定期間
  • 職場復帰後の働き方の希望(短時間勤務、フレックスタイム等)
  • 保育施設の利用状況や今後の見通し
  • キャリアプランに関する希望

面談については、制度の利用開始時以降にも、定期的に実施することが望ましいと指針化されています。

6.男性の育児休業の取得状況の公表を義務付け範囲拡大(300人超の企業)

男性の育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1,000人超)の事業主に拡大されます。より多くの企業で男性による育児休業取得の状況が可視化されれば、取得促進効果が期待できます。以下を含んだ内容の公表が必要です。

  • 育児休業の取得割合
  • 育児休業等と育児目的休暇の取得割合

育児休業の取得割合は、「育児休業等をした男性労働者の数」/「配偶者が出産した男性労働者の数」にて算出します。つまり、育児休業の男女の取得率の違いを確認するものです。

育児休業等と育児目的休暇の取得割合については、「育児休業等をした男性労働者の数」と「小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数」を足した数/「配偶者が出産した男性労働者の数」で算出します。この計算でも、育児休業や育児を目的とした休暇の男女の取得率の差が可視化されます。

7.介護離職防止のための措置の義務化

介護離職防止のため、以下の措置が事業主に義務付けられます。

  • 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
  • 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を行うこと
  • 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止すること

上記に加え、家族を介護する労働者に関して事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークが追加されます。

改正により、労働者の仕事と育児・介護の両立がより一層支援されるでしょう。企業は、これらの新たな義務や努力義務に対応するため、社内制度の見直しや従業員への周知、管理職への教育などを計画的に進める必要があります。

出典:厚生労働省|令和6年改正法の概要
出典:厚生労働省|リーフレット「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント」

次世代育成支援対策推進法の改正ポイント

2024年5月31日公布の育児・介護休業法改正に続いて、次世代育成支援対策推進法改正の主なポイントも確認しましょう。

1.法律の有効期限の延長

次世代育成支援対策推進法の有効期限(現行は令和7年3月31日まで)を令和17年3月31日まで、10年間延長します。あわせて、くるみん認定制度も継続が決まりました。

2.育児休業取得に関する状況把握の義務付け・強化

次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付けます。これまで以上に、企業における育児休業取得の促進がより具体的に進められることを意識した内容です。

出典:厚生労働省|リーフレット「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント」

育児・介護休業法これまでの改正履歴

育児・介護休業法は、社会情勢の変化に応じて何度も改正されてきました。改定内容の履歴を知ることで、「育児・介護と仕事の両立」を過去30年間においてどのようにして解消してきたかが見えてきます。ここでは、主な改定履歴を見ていきましょう。

1992年(平成4年)4月1日施行:育児休業法施行

1992年4月1日に、「育児休業等に関する法律」(通称は、「育児休業法」)が施行されました。育児休業制度が法制化され、1歳未満の子を養育する労働者に育児休業の権利が認められます。法律の施行により、働く親が子育てと仕事を両立させやすい環境が整備されました。

1995年(平成7年)10月1日施行:育児・介護休業法に改称

介護休業制度が創設され、法律名が現在の「育児・介護休業法」に変更されました。高齢化社会の進行に伴い、介護と仕事の両立支援の必要性が認識されたことが背景にあります。

1999年(平成11年)4月1日施行:介護休業の義務化

それまで努力義務だった介護休業が事業主に義務付けられます。また、深夜業の制限制度(午後10時から午後5時までは働かせてはならない)が創設されました。介護を担う労働者の権利がより強く保護されるようになりました。

2002年(平成14年)4月1日施行:子の看護休暇の創設

子の看護休暇が努力義務として創設され、小学校入学までの子を養育する場合、年に5日の休暇の請求ができるようになりました。なお、子の看過休暇は2005年に義務化されます。時間外労働の制限制度(労働者が請求した場合は、1か月24時間、1年について150時間を超えて働かせてはならない)も創設されました。子育て中の労働者が、子どもの急な病気などに対応しやすくなりました。

2005年(平成17年)4月1日施行:育児休業期間の延長・子の看過休暇の義務化等

保育所に入所できない場合等に、子が1歳6か月に達するまで育児休業を延長できるようになります。また、有期雇用労働者への適用が拡大されました。この改正では、待機児童問題に対応し、より多くの労働者が育児休業を取得しやすい環境を整えます。

育児・介護休業法改正02出典:厚生労働省|改正育児・介護休業法について

2010年(平成22年)6月30日施行:パパ・ママ育休プラス等の創設

  • 「パパ・ママ育休プラス」制度の創設
  • 所定外労働の免除制度の創設
  • 短時間勤務措置の内容変更
  • 看護休暇の付与日数の変更
  • 介護休暇制度の創設
  • 配偶者が専業主婦(夫)である場合の除外規定を廃止
  • 法違反に対する企業名公表制度と過料の創設

働く女性が第一子の出産前後で離職していることが明らかになった状況を反映し、大きな改正が行われました。両親がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月までの間に通算1年間育児休業を取得可能になります。専業主婦(夫)除外規定も廃止されます。男性の育児参加を促進するための制度が導入されました。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法について 平成21年改正法の概要
参考:厚生労働省|改正育児・介護休業法のあらまし

2017年(平成29年)1月1日施行:介護休業の分割取得等

介護休業を家族1人に対し最大3回まで分割して取得でき、子の看護休暇・介護休暇の半日単位での取得も可能となります。より柔軟な介護休業の取得が可能となり、仕事と介護の両立がしやすくなりました。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法が改正されます!平成29年1月1日施行

2022年(令和4年)10月1日施行:産後パパ育休の創設等

出生時育児休業(産後パパ育休)が創設され、さらに育児休業を2回まで分割して取得できるようになりました。男性の育児参加をさらに促進するための改定です。

参考:厚生労働省| リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」

福利厚生で育児・介護との両立を支援しませんか

今回の法改正は、企業に新たな対応を求めるものですが、同時に、より働きやすい職場環境を整備し、企業の競争力を高める機会でもあります。企業は、社内制度の見直しや従業員への周知など、さまざまな取り組みを通じて、仕事と育児・介護の両立支援を強化することが求められます。

働きやすい職場作りには、新たな制度の導入も選択肢の一つです。たとえば、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、福利厚生として従業員の食事代を実質半額支援するサービスです。事前に金額がチャージされたICカードを配布して、それを従業員が支払い時に使うことで食事代を補助します。全国25万店舗の加盟店には、コンビニ、ファミレス、 Uber Eats があり、食事代、飲み物代、おやつ代などさまざまな用途で活用可能できます。

介護や育児は体力勝負です。食事代を補助し、食事内容をより充実させることで、従業員の体力・活力の向上が期待できます。多忙な育児中・介護中の従業員がエネルギッシュに活躍するための支援として「チケットレストラン」が有効です。

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法改正を契機に育児・介護と仕事をより両立しやすい企業へ

2025年4月から段階的に施行される育児・介護休業法の改正は、働く人々の仕事と育児・介護の両立をさらに支援し、少子高齢化社会における労働力の確保と生産性の向上を目指すものです。

この改定を踏まえて企業に求められているのは、仕事と育児・介護の両方にエネルギーを要する従業員への支援です。仕事の合間の食事・休憩時間は、多くの従業員にとってリフレッシュと楽しみの時間となっています。それならば、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」で、勤務中の食事、軽食をさらに充実させ、仕事と育児・介護の両立に奮闘する従業員をサポートしませんか。

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