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【社労士監修】女性管理職比率の公表義務化へ|企業の女性活躍はどう進めるのが正解?

【社労士監修】女性管理職比率の公表義務化へ|企業の女性活躍はどう進めるのが正解?

2025.01.14

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2024年11月26日、厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会において、従業員101人以上の企業に対し、女性管理職比率の公表を義務付ける方針が示されました。これは、女性活躍推進法の改正に関連する議案で、女性の社会進出を推進する目的で進められているものです。本記事では、女性管理職比率の公表義務化の詳細について、背景となる女性活躍推進法や、日本における女性管理職の現状とともに解説します。女性求職者へのアピール度の高い福利厚生についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

女性管理職比率の公表義務化とは

「女性管理職比率の公表義務化」は、女性活躍推進法で定められた情報公表に基づき、自社管理職※の中で女性が占める比率を公表する義務をいいます。

2024年11月26日、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の雇用環境・均等分科会において、非上場を含む従業員101人以上の企業に対し、女性管理職比率の公表を義務付ける方針が示されました。

当初は従業員301人以上の企業を対象に調整されてきましたが「行動計画の策定が義務となる101人以上の企業を対象とすべき」等の意見が挙がり、101人以上の案でまとまっています。

対象となる企業数は、301人以上の場合には約1万8千社・101人以上の場合には約5万社です。

なお「女性管理職比率の公表義務化」と併せて「男女の賃金差異の公表義務」の対象企業を現行の301人以上から101人以上の企業とする方針も示されました。

共に、賃金の観点から企業内における男女の不平等を是正し、男女共同参画社会を構築することを目的とするものです。

※「管理職」=「課⻑級」と「課⻑級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者

参考:厚生労働省|労働政策審議会 (雇用環境・均等分科会)
参考:女性の管理職比率 従業員101人以上の企業に公表義務の方針案 | NHK | 厚生労働省

女性活躍推進法の概要

女性活躍推進法は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。女性の職業生活での活躍を推進することを目的に、2015年に成立・2016年に施行され、2020年と2022年の2度の改正を経ています。

同法は、企業規模によって義務付けられる内容が異なるのが特徴です。まずは、2024年12月現在におけるそれぞれの詳細から解説します。

常時雇用する労働者が300名以上の企業

常時雇用する労働者数が300名を超える企業には、以下の三つの取り組みが義務付けられています。

1.自社の女性活躍の状況把握と課題分析

基礎項目による状況把握

出典:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!

 

2.状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定・社内周知・公表・労働局への届出:数値目標として、以下の①と②の区分から1項目以上(計2項目以上)を選択し、それぞれ数値目標を定める

数値目標に関する項目

出典:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!

 

3.女性の活躍に関する情報公表:以下の①の区分から「男女の賃金の差異」を含む2項目以上+②の区分1項目以上(計3項目以上)を公表する

女性の活躍に関する情報公表

出典:女性の活躍に関する情報公表|厚生労働省 埼玉労働局

常時雇用する労働者が101〜300名の企業

常時雇用する労働者数が101名以上300名以下の企業にも、300名以上の企業と同様の取り組みが義務付けられています。

ただし、行動計画で定める数値目標は1項目以上・情報公表も1項目以上と、企業規模に応じた義務内容となっています。

常時雇用する労働者が100名以下の企業

常時雇用する労働者数が100名以下の中小企業についても、101名以上の企業と同等の取り組みが求められますが、法律上の拘束力のない努力義務に留まります。

とはいえ、女性活躍推進法の取り組みは、企業規模にかかわらず重要なものです。自社の現状を正しく理解するためにも、努力して然るべきものとして取り組む必要があります。

日本における女性管理職の現状

女性活躍推進法において、女性管理職比率の公表が義務付けられる方針が明らかになりました。裏を返すと、女性活躍と男女共同参画社会を推進する上で、女性管理職の少なさが課題となっていることを意味します。

では、実際の女性管理職比率とはどのようなものなのでしょうか。

令和5年女性管理職割合の推移

出典:厚生労働省|令和5年度雇用均等基本調査|企業調査 結果の概要

厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、2023年度(令和5年度)の女性管理職比率(課長相当職以上)は前年と同じ12.7%でした。

一方、世界に目を向けてみると、日本の女性管理職比率はマレーシアや韓国を下回り、最低水準にあることがわかります。

世界の女性管理職の割合

出典:労働政策研究・研修機構 (JILPT)|データブック国際労働比較2023

こうした状況を踏まえ、政府は「女性版骨太の方針2024 ( 女性活躍・男女共同参画の重点方針2024 ) 」の中で、プライム市場上場企業の女性役員について「2030年までに30%以上/2025年までに19%」、さらに「2025年までに女性役員ゼロ企業を0%」との目標を掲げました。

しかし、課長クラス以上の管理職が12.7%に過ぎない現状を踏まえると、目標達成は容易ではないといえそうです。

参考:厚生労働省|令和5年度雇用均等基本調査

日本の女性管理職比率が低い3つの要因

日本の女性管理職比率が低い背景には、さまざまな社会的・組織的要因があります。ここでは、特に重要な三つのポイントについて紹介します。

性別による役割分担意識

内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」(2022年)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する人の割合は、男性で39.5%・女性で28.4%でした。

この意識は、企業の人事評価や昇進の仕組みにも大きな影響を与え、女性のキャリア形成の大きな障壁となっています。また、女性自身も無意識のうちにこの考え方を内面化し、管理職を目指すことをためらう傾向があります。

参考:内閣府|男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査) | 世論調査

キャリアパスの不透明さ

女性特有の課題に、結婚や出産にまつわるキャリアパスの不透明さがあります。多くの企業では、女性従業員のキャリアパスが明確に示されていません。長期的なキャリア形成を見通せない不安が、女性の管理職志向を低下させています。

また、企業の土壌として男性中心の昇進・昇格システムが構築されており、女性の管理職登用が想定されていない企業も少なくありません。こうした状況を打破するには、キャリアパスの可視化と、ライフイベントに応じた柔軟な支援体制の整備が不可欠です。

ワークライフバランスの課題

多くの日本の管理職は、長時間労働が常態化しています。これが女性の管理職登用を妨げる大きな要因のひとつとなっています。

一般的に、女性は家庭内で育児や介護などの責任を担いがちです。長時間労働は必然的に不可能なため、管理職を目指すハードルも高くなります。

両立支援制度そのものは整備されていたとしても、実際の利用は実質不可能な企業も珍しくありません。制度の充実だけでなく、利用しやすい職場風土の醸成が重要です。

関連記事:【社労士監修】ワークライフバランスの取り組み事例を紹介。メリットや注目の理由も解説

女性管理職比率を高めるメリット

女性管理職比率の上昇は、企業にさまざまなメリットをもたらします。これらのメリットを理解することにより、女性の登用の推進と企業の持続的な成長が期待できます。

ダイバーシティの実現とイノベーション創出

女性管理職比率の上昇は、企業のダイバーシティ実現を促進させ、新たな発想や解決策を生み出す可能性を高めます。異なる経験や価値観を持つ人材が意思決定に参加することで、より多角的な視点が得られ、イノベーションの創出につながるからです。

また、多様な視点が加わることで、企業の抱える潜在的なリスクをより早く、幅広く特定できるようになるため、リスク管理の強化も期待できます。

優秀な人材の獲得と定着率向上

女性管理職比率の高い企業では、従業員満足度が高く、離職率が低い傾向が見られます。

それというのも、女性管理職比率の高さは、一般的に求職者に対して以下のようなプラスイメージを与えるからです。

  • 性別をはじめとする条件にとらわれない公平なキャリアアップのチャンスがある
  • ライフイベントと仕事の両立がしやすい環境が整っている

実際に、女性管理職比率の高い企業では、従業員満足度が高く、離職率が低い傾向が見られます。優秀な人材の獲得と定着は、長期的な企業の成長と競争力強化につながる重要な要素です。

企業イメージと投資家からの評価向上

ESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した投資)の重要性が年々高まっていく中で、女性活躍推進は、投資家にとって重要な評価項目のひとつとなっています。

内閣府の「ジェンダー投資に関する調査研究」(2021年)を見ても、投資判断において女性活躍情報を活用している機関投資家が6割を超えているのが実情です。

投資判断における女性活躍情報の活用状況

出典:内閣府男女共同参画局|ジェンダー投資に関する調査研究(令和4年度)

また、「えるぼし認定」や「くるみん認定」など、女性活躍推進に関する認定の取得は、企業イメージの向上や公共調達における加点評価などの具体的なメリットをもたらします。

参考:職場情報総合サイト しょくばらぼ|職場情報開示に積極的な企業紹介女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」

関連記事:えるぼしとくるみんの違いを徹底解説!認定基準やメリットを比較

女性管理職比率を高めるための取り組み

女性管理職比率を高めるには、組織全体での計画的かつ継続的な取り組みが必要です。ここでは、多くの企業で効果を上げている具体的な施策を紹介します。

キャリア支援・育成プログラムの充実

女性従業員のキャリア支援と育成は、女性管理職比率向上の要です。効果的なプログラムや取り組みには、以下のようなものがあります。

  • メンター制度
  • 選抜型研修
  • ロールモデルの可視化
  • キャリアデザインワークショップ

これらを通じ、女性従業員のキャリアアップに対する意欲が高まり、管理職候補の育成を計画的に進めることができます。

柔軟な働き方の推進

ワークライフバランスの実現に向けて、柔軟な働き方を提供することは、女性管理職の増加に不可欠です。具体的には、以下のような制度の導入が効果的です。

  • フレックスタイム制度
  • テレワーク・在宅勤務
  • 短時間勤務制度
  • 時間単位の有給休暇

これらの制度により、女性従業員が家庭生活と仕事を両立しやすい環境を整備し、長期的なキャリア形成を支援できます。

アンコンシャスバイアス研修の実施

無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)は、女性の昇進や評価に大きな影響を与えます。これを排除するためには、役職に応じた研修や事例の研究が非常に重要です。

  • 全従業員向け研修
  • 管理職向け特別研修
  • 事例研究
  • 定期的なフォローアップ

これらの研修を通じて、組織全体でアンコンシャスバイアスへの認識を高め、公平な評価や登用の実現につなげることができます。

福利厚生の充実

福利厚生の充実は、従業員のモチベーション向上と、企業の持続的成長の双方に大きな影響を与えます。特に女性管理職比率においては、以下のような多面的な効果が期待できます。

  • 企業の採用力が強化され、管理職候補となる女性を獲得できる
  • ワークライフバランスの実現(育児・介護支援や柔軟な勤務制度など):仕事と私生活の両立が可能になります。これにより、管理職を目指す女性の後押しが可能です
  • 自己啓発の促進(研修プログラムやキャリアカウンセリングなど):スキルアップとキャリア形成を支援できます。これは女性従業員の管理職志向を高める効果があります
  • 経済面のサポート(住宅手当や食事補助など):従業員の生活の質を向上させることができます。経済的な安定は、キャリアへの集中を可能にします

これらの福利厚生を提供することで、女性従業員は安心して長期的なキャリアを築くことができ、管理職を目指す意欲の向上にもつながります。

また、充実した福利厚生は、優秀な人材の獲得・定着に寄与するほか、生産性の向上や企業イメージの向上といったうれしいメリットもあります。福利厚生の充実を通じた女性活躍推進は、個人と組織の双方にとって大きな価値をもたらすのです。

3,000社以上が導入「チケットレストラン」

近年、多くの企業から注目を集めている福利厚生のひとつに、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」を利用する従業員は、一定の条件下において加盟店で食事代が半額になります。利用するタイミングは個人の自由で、勤務時間内であれば、時間も場所も問いません。そのため、ランチだけでなく、おやつや休憩時の軽食などの購入にも利用できます。リモートワークや出張中でも問題ありません。

女性従業員の声で導入を決定する事例が見られる点からも、女性従業員の獲得や定着に効果的な食事補助の福利厚生サービスといえます。

こうした利便性の高さが広く評価され「チケットレストラン」は、導入企業数3,000社以上を誇る、日本最大級の食事補助の福利厚生サービスとなっています。

参考:株式会社エデンレッドジャパン導入事例|食の福利厚生 - チケットレストラン

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

女性管理職比率の公表義務化で加速する女性活躍推進

従業員101人以上の企業に対し、女性管理職比率の公表が義務付けられる方針が示されました。日本の女性管理職比率は12.7%と低水準ですが、その向上は企業にダイバーシティ実現や人材獲得・ESG投資における評価向上などの多くのメリットをもたらします。

キャリア支援や柔軟な働き方の推進・「チケットレストラン」のような福利厚生の充実など、具体的な施策を通じて女性活躍推進と男女共同参画社会の実現を目指してはいかがでしょうか。

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