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【社労士監修】同一労働同一賃金で派遣社員の働き方はどう変わる?企業のメリットも

公開日: 2024.05.31

更新日: 2026.09.30

【社労士監修】同一労働同一賃金で派遣社員の働き方はどう変わる?企業のメリットも

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2020年4月、改正労働者派遣法により、派遣社員に対し「同一労働同一賃金」が適用されました。「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2つの待遇決定方式で、派遣社員の待遇改善が図られています。さらに2026年10月には、施行後初となる同一労働同一賃金ガイドラインの改正が予定され、派遣元・派遣先ともに新たな対応が求められます。

「同一労働同一賃金」とは

「同一労働同一賃金」とは、同じ企業で働く正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間で、不合理な待遇差を設けることを禁止する制度です。この制度は、働き方改革関連法の一環として、2020年4月1日から順次施行されました。

同一労働同一賃金では、正社員と非正規雇用労働者という雇用形態の違いではなく、職務内容や職務に必要な技能など、職務に関連する要素に基づいて待遇を決定することを求めています。ベースにあるのは「同じ価値の仕事をしているのであれば、正社員であるか非正規雇用労働者であるかを問わず、同じ待遇を受けるべき」という考え方です。

待遇差が問題となる具体的なポイントとしては、基本給・賞与・各種手当・福利厚生・教育訓練が挙げられています。

同一労働同一賃金の実現は、非正規雇用労働者のモチベーション向上や、優秀な人材の確保につながるものです。派遣社員をはじめとする非正規雇用労働者の待遇改善は、企業にとって重要な課題となっています。

参考:厚生労働省|同一労働同一賃金ガイドライン
参考:厚生労働省|派遣労働者の同一労働同一賃金について

関連記事:【社労士監修】同一労働同一賃金とは?企業が知っておくべき基本と取り組み手順

派遣労働者の待遇を決める2つの方式

比較項目 派遣先均等・均衡方式 労使協定方式
比較対象 派遣先の正社員 地域の同種業務の一般労働者平均賃金
待遇の変動 派遣先が変わるたびに変動 派遣先が変わっても安定
情報提供の負担 派遣先の協力が必要 派遣元内で完結
採用状況 一部 多くの派遣元が採用

派遣労働者の同一労働同一賃金を実現する主体は派遣元です。派遣元は「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2つの方式から待遇決定方式を選択し、派遣社員の待遇を決定していくことになります。厚生労働省が公開している「派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要」をもとに、それぞれの詳細を解説します。

参考:厚生労働省|派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要

派遣先の正社員と待遇を比較する派遣先均等・均衡方式

「派遣先均等・均衡方式」は、派遣先の正社員と派遣社員の待遇を比較し、均等・均衡を図る方式です。具体的には、派遣社員と派遣先の正社員の職務内容・配置の変更の有無や範囲などを比較します。

それらが同じであれば、派遣社員にも正社員と同じ待遇を提供しなければなりません。一方、職務内容などに違いがある場合は、その違いに応じた待遇の設定が求められます。

派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員の待遇が比較対象となるため、派遣先企業の協力が不可欠です。派遣元は派遣先から必要な情報を得て、派遣社員の待遇を決定していくことになります。

労使協定で待遇を決定する労使協定方式

「労使協定方式」は、派遣元の過半数労働組合もしくは過半数代表者と、派遣元事業主との間で労使協定を締結し、派遣社員の待遇を決定する方式です。

この方式では、派遣社員の賃金は、派遣先の正社員ではなく、その地域で同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金以上とすることが求められます。派遣元ですべての協議が行われるため、派遣社員の待遇について派遣先は関わりません。

「派遣先均等・均衡方式」では、派遣先が変わるたびに待遇が変わりますが、労使協定方式の場合、派遣先が変わっても待遇水準に変動がありません。派遣社員にとって、収入が安定しやすいというメリットがあります。

なお、労使協定方式では、退職金相当額についても確保が義務付けられています。退職手当制度の導入、賃金への一定割合の上乗せ、中小企業退職金共済等への加入のいずれかの方法で対応することが求められ、賃金に上乗せする場合の割合は令和8年度で一般賃金水準の5%とされています。

職務内容等の向上で賃金アップの可能性も

労使協定方式では、派遣社員の職務内容・職務の成果・意欲・能力・経験などが向上した場合に、それに応じて賃金が改善される仕組みを労使協定に盛り込むことが義務付けられています。つまり、派遣社員の頑張りが賃金に反映され、もらえる賃金が上がっていく仕組みを作らなければなりません。

スキルアップが将来の待遇改善につながる点は、派遣社員にとって大きなモチベーションになります。派遣会社には、この仕組みを適切に運用し、派遣社員のキャリアアップを支援していくことが求められます。

「同一労働同一賃金」で派遣社員が得られるメリット

同一労働同一賃金の実現により、派遣社員の待遇は改善が進められています。

「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」のいずれの方式を採用する場合でも、派遣先の正社員との不合理な待遇差の解消が図られ、派遣社員のモチベーション向上につながります。派遣先によっては、これまで支給されていなかった交通費の支給が始まったり、福利厚生の内容が充実したりするなど、よい変化が期待できるでしょう。

また、正社員との不合理な待遇差がなくなることで、派遣社員としてのキャリアに対する不安が軽減されます。労使協定方式では、職務内容や能力の向上に応じて賃金が改善される仕組みも設けられているため、派遣を長期的なキャリアの選択肢として考える人も増えるでしょう。

さらに、育児や介護と仕事の両立を考える人にとって、柔軟な働き方ができる派遣は魅力的な選択肢の一つとなります。これまで派遣として働くことをためらっていた人材も、派遣に目を向けるようになるかもしれません。

待遇の改善は、派遣で働くことの魅力を高め、より多くの人材が派遣という働き方を選択する後押しにもなります。多様な働き方を求める人が派遣で活躍する機会が広がれば、社会全体の生産性向上にもつながるはずです。

「同一労働同一賃金」で派遣先企業が得られるメリット

同一労働同一賃金の実現は、派遣社員の待遇改善だけでなく、企業の人材確保にも好影響をもたらします。派遣会社が魅力的な待遇を提示できれば、より多くの求職者が派遣に興味を持つようになるからです。

特に、即戦力となる経験者層にとって、待遇面の不安は派遣を選択するうえでの大きな障壁となっていました。この不安が解消されれば、豊富なスキルを持つ人材が派遣市場に流入し、企業は即戦力となる派遣社員を活用しやすくなります。

派遣社員の活用は、人手が足りない企業にとって有効な人材確保の手段です。派遣であれば、募集から採用までのプロセスを派遣会社に任せられるため、自社で採用活動を行うよりも迅速に人材を確保できます。加えて、派遣社員には経験豊富な即戦力人材が多いことも魅力です。

企業は派遣社員を活用することで、即戦力不足の解消や、業務の属人化防止など、様々なメリットを得られるのです。

関連記事:同一労働同一賃金の手当とは?2026年10月改正のポイントと企業の対応
関連記事:同一労働同一賃金で退職金はどう変わる?2026年10月ガイドライン改正対応完全ガイド

派遣先企業が対応すべき実務

上記のようなメリットを十分に得るためには、派遣先企業側にも一定の対応が求められます。同一労働同一賃金への対応にあたり、派遣先企業に求められる主な実務は次のとおりです。

  • 比較対象労働者の待遇情報の提供(契約前・更新時)

  • 教育訓練の機会提供

  • 食堂・休憩室・更衣室などの福利厚生施設の利用機会の付与

  • 派遣料金の交渉における配慮

これらの詳細な待遇差の判断基準については、『【同一労働同一賃金】福利厚生の不合理な差とは?リスクと対処法を完全解説』でも解説しています。

2026年10月改正で派遣の同一労働同一賃金はどう変わる?

2026年10月1日、派遣労働者に関する同一労働同一賃金のルールが、施行後初めて改正されます。改正省令・告示は2026年4月28日に公布されており、派遣元指針・派遣先指針もあわせて見直されました。ここでは、企業が押さえておくべき2つの変更点を解説します。

雇入れ時・派遣時の「説明を求めることができる旨」の明示義務化

現行の労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)第31条の2第4項では、派遣労働者から待遇差について説明を求められた場合に、派遣元が説明する義務が定められています。これはあくまで派遣労働者からの申し出があって初めて発生する義務です。

2026年10月からは、派遣労働者の雇入れ時および派遣時に交付する書面(労働条件通知書や就業条件明示書)に、「待遇の相違の内容及び理由等について説明を求めることができる」旨をあらかじめ明記することが新たに義務付けられます。あわせて、説明の申出窓口(部署・担当者・連絡先)の記載も必要です。

労使協定方式を採用している場合は、協定により待遇が決定されていることを含めた待遇決定の考慮事項や、派遣先の教育訓練・福利厚生施設に関する相違の内容・理由についても、説明を求められる対象に含まれます。

説明を求められたことを理由に、解雇や契約不更新などの不利益な取扱いをすることは禁止されています。明示を怠った場合は行政による処分や指導の対象となりうるため、就業条件明示書などの様式を早めに見直しておくことが望まれます。

参考:厚生労働省|派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要
参考:e-Gov 法令検索|労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|第31条の2

関連記事:同一労働同一賃金ガイドラインとは?2026年改正のポイントをわかりやすく解説

同一労働同一賃金ガイドラインの明確化・公正な評価の促進

あわせて、同一労働同一賃金ガイドラインについても、裁判例等を踏まえた記載の明確化が行われます。

派遣元指針・派遣先指針の改正では、派遣労働者の能力・スキルを公正に評価し待遇に反映させる取り組みの強化や、待遇差説明の実効性向上、制度周知の強化が示されました。

前章で紹介した各種実務についても、これまで以上に丁寧な情報提供・協力が求められることになります。

関連記事:同一労働同一賃金、パート同士の待遇差は対象外?根拠と企業の実務対応

賃上げが難しい中で効果的な福利厚生とは

派遣先均等・均衡方式・労使協定方式のいずれにおいても、福利厚生施設の利用機会や食事手当は、正社員との均等・均衡待遇が求められる待遇のひとつです。賃上げが難しい中小企業にとって、こうした福利厚生の充実は、待遇差を解消しながら従業員満足度も高められる有効な選択肢となります。

中でも食事補助は、従業員の出費を抑えつつ、栄養バランスのよい食事を提供できるため、健康経営の観点からも注目される施策となっています。

食事補助をはじめとする福利厚生は、求職者が勤務先を選ぶ際の重要な指標のひとつです。また、充実した福利厚生は、社員のモチベーション向上だけでなく優秀な人材の獲得につながります。これらの理由から、福利厚生の拡充は近年多くの企業が注目する重要な施策となっています。

日本一の食事補助サービス「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、専用のICカードでの支払いを通じ、従業員の食事代を企業が半額負担するサービスです。

正社員・非正規従業員を問わず全国25万店舗以上の加盟店で利用でき、勤務時間内であれば、利用する場所や時間も問いません。加盟店のジャンルは、三大牛丼チェーン店からコンビニ・ファミレス・カフェなど幅広く、あらゆる利用者のニーズに対応します。

また、Uber Eatsを介して利用すれば、マクドナルドやスターバックスなどの人気チェーン店も利用できます。さらに、導入後は月に1度のチャージのみで運用できるため、バックオフィスの負担も最小限です。

食事補助として日本で約40年、世界6,000万人に利用されてきた実績と安心のサポート体制が高く評価され、すでに 4000社以上が導入する人気サービスとなっています。

【2026年4月|非課税限度額の上限が3,500円→7,500円に】

2026年4月、食事補助の非課税上限額が3,500円から7,500円へ引き上げられ、より大きなメリットを従業員へ提供できるようになりました。

あわせて、深夜勤務者への夜食代についても、非課税上限が1食300円から650円へ拡大されています。

非課税枠の拡大によって、従業員1人あたり年間最大9万円の食事補助が非課税対象となりました。食事補助の導入を検討する企業にとって強力な追い風となっています。

参考:国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて

関連記事:食事補助とは?福利厚生に導入するメリットや種類・支給の流れを解説
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説

導入事例:関西エアポートオペレーションサービス株式会社

空港運営を手がける「関西エアポートオペレーションサービス株式会社」では、正社員・契約社員・パートなど、雇用形態を問わずチケットレストランを支給しています。

24時間シフト制で働く従業員が、勤務時間帯を問わず自由に食事を選べる点や、ICカードのタッチだけで手軽に利用できる点が評価され、利用率・継続率はほぼ100%を実現。

雇用形態にかかわらない公平な福利厚生の提供が、健康経営の実現をはじめ、従業員満足度・定着率・生産性の向上、採用力の強化につながっています。

導入事例:関西エアポートオペレーションサービス株式会社

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関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

同一労働同一賃金で派遣社員の活躍を

非正規雇用の拡大が進み、同一労働同一賃金の実現は企業にとって待ったなしの課題となっています。2026年10月には施行後初めてのガイドライン改正も控えており、派遣元・派遣先双方が対応を求められる場面が増えていくでしょう。

派遣社員の待遇を改善することは、派遣社員のモチベーション向上につながるだけでなく、優秀な人材の獲得や人手不足の解消にも寄与します。賃上げが難しい状況においては、福利厚生の充実も検討すべき施策の一つです。特に「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生は、社員の満足度アップに加えて、健康経営の推進にもつながる施策として注目されています。

同一労働同一賃金の時代に発展していく企業であり続けるためにも、派遣社員がさらに活躍できる環境を整備していきましょう。

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社会保険労務士 吉川明日香

社労士と民間企業の人事部で働くハイブリッド型社労士。労働者、経営者、人事担当者それぞれの視点から、バランスのとれたサポートを心がけています。子育て世代の生活環境や就業環境の課題を探るために保育士の資格を取得し、特定の専門分野を作らず、給与計算、手続き業務、労務相談、助成金等、幅広く実践的なアドバイスを行っています。
吉川社会保険労務士事務所
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