コロナ禍以降、急速に取り入れられた企業でのテレワーク。
緊急対応から始まったテレワークもすでに働き方の主流となりつつあります。
本記事では、企業がテレワークを推進するメリットおよび、デメリットの解決方法を解説します。
デメリットが解決できると、テレワークには多くのメリットが見込まれますので、参考にしてみてください。
テレワークは企業・社員共にメリットしかない!?
公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部の 第9回 働く⼈の意識に関する調査(図47)(※1)によると、
「自宅での勤務にどちらかといえば満足しているまたは満足している84.4%」と過去最高となりました。
テレワークには企業と社員それぞれにどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
テレワークのメリット:企業側のメリット
企業側のメリットについては以下のような項目があげられます。
1.離職率の低下、人材確保
場所に縛られない働き方により、優秀な人材の確保が可能となります。
これまでは企業の所在地(オフィスのある場所)の近くに住んでいなければ、優秀な人材であっても企業が採用することは困難でした。
テレワークは場所に縛られることなく働くことができるため、遠距離在住であっても、例えば、海外在住であっても単身赴任することなく採用可能です。
また、育児や介護で離職を余儀なくされてきた社員も、テレワークにより自宅で仕事ができることで、離職せずに働き続けられるようになります。
2.経費削減、社会貢献
オフィススペースの縮小などによる経費削減が可能に。これまでは社員全てのワークスペースを確保しなければなりませんでした。
テレワークを実施することでオフィスに出社する人の数も限られます。
オフィスを借りている企業は、フリーデスク等で共有しながら使うことで、スペースを縮小することができます。固定費の削減が可能です。
さらにテレワークは通勤の必要がないため、通勤費の削減になることはもちろん、満員電車の緩和にも役立ちます。
紙で保存してきた資料をデータ化することで、ペーパーレスにもつながります。
満員電車緩和やペーパーレスは社会貢献にもつながる大切な要素です。
3.リスク分散
災害時でも業務を遂行することが可能になります。
日本は災害の多い国です。地震、津波、台風、集中豪雨など、自然災害が起こると業務がストップしてしまうリスクを、多くの企業が抱えていました。
災害時でもテレワークの環境があれば、被害のない地域で業務を遂行することができ、リスクを最小限に抑えることができます。
テレワークのメリット:社員側のメリット
次に社員のメリットをみていきましょう。
社員のメリットには以下のようなものがあります。
1.通勤ストレスの緩和、健康維持
テレワークはオフィスへの出社の必要がないため、通勤ストレスが緩和されます。
地域によっても異なりますが、特に首都圏の通勤ラッシュは社員にとって大きなストレスでした。
テレワークで働くことは、朝の通勤により心身共に疲労した状態で仕事に取り掛かる日常から開放されます。
通勤時間が無くなる分、睡眠時間を増やすこともでき健康維持にも役立ちます。
2.育児、介護との両立
企業のメリットでも触れましたが、テレワークができることにより、社員は仕事と、育児や介護などを両立しやすい環境が整います。
テレワークは通勤せずに家で仕事をすることができるため、家事や育児などの時間を確保しながら働くことが可能です。
3.ワーク・ライフ・バランスの充実
仕事だけでなく、プライベートの時間も充実させることができます。
平成28年の総務省統計局の調査によると、通勤時間の全国平均は1時間19分(※2)でした。
テレワークにより通勤時間が削減される分、社員はプライベートな時間にゆとりが持てるようになります。
ワーク・ライフ・バランスが確保されると従社員のモチベーションが上がるため、業務における生産性の向上も期待できます。
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テレワークのデメリットと解決方法
コロナ禍において、テレワークにおけるデメリットへの対策を行う時間もなく、実施を余儀なくされました。
年数が経ち、コロナとの共存を考える上で、テレワークにおけるデメリットへの対策も進んでいます。
テレワークにおける企業と社員それぞれのデメリットと、それに対する解決策にはどんなものがあるのかをみていきましょう。
テレワークのデメリット:企業側デメリットと解決方法
テレワークにおける企業側のデメリットには以下があります。
1.情報漏えい(セキュリティ)リスク
個人がそれぞれの場所で作業をしているので、情報漏えいリスクが高まります。
2.業務時間管理
対面ではないので、社員一人ひとりの勤務時間が正しく運用されているかを上司が把握するのは困難です。
3.人事評価制度
テレワークはプロセスが見えにくくなり、結果だけが評価に大きく影響しがちです。
上記はどのように解決したらよいのでしょうか。解決方法をそれぞれ考えていきましょう。
1.情報漏えい(セキュリティ)リスクの解決方法
ガイドラインを作成し社員に研修を行うなどして、遵守を徹底し、個人個人のセキュリティ意識を高めることが必要となります。
パソコンの紛失リスクなどに備えて、クラウドサービスを利用することも有効です。
情報はパソコン上に保存されないので、万が一ということが起こっても最小限のリスクで済みます。
2.業務時間管理の解決方法
勤怠管理ツールの導入をすることで、パソコンを使用した時間などがわかるものもあり、自己申請時間と乖離がないか確認することが可能です。
時間外勤務の把握など、長時間労働の防止にも役立ちます。
3.人事評価制度の解決方法
タスク管理ツールなどを利用することにより、社員がそれぞれ今、どんな作業をしているのかを可視化。チーム全体が共有できる環境を整えることによって、プロセスも評価できるようになります。
また、主観的な評価にならないよう、テレワークに適した評価項目や基準を明確化しなおすことも必要です。
テレワークのデメリット:社員側デメリットと解決方法
次に社員のデメリットには以下のようなものがあります。
1.コミュニケーション不足
対面でのやり取りが少なくなるため、コミュニケーションが希薄となり、相談しにくい環境になりがちです。
2.オンオフの切り替え
テレワークは自宅で勤務できるため、仕事とプライベートのオンとオフの切り替えがうまくできず、「作業に取り掛かるまで時間がかかる」などの問題もあげられています。
3.オーバーワーク(働きすぎ)
自宅に帰る必要がないため、あともう少しと作業時間を延長しすぎてしまう場合があります。
上記はどのように解決したらよいのでしょうか。解決方法をそれぞれ考えていきましょう。
1.コミュニケーション不足の解決方法
ビジネスチャットツールを導入し、複数人のチームを作って作業を進めていくことで、円滑なコミュニケーションを気軽にとることが可能です。
オフィスで会話する感覚で、チャットを送り合うことができます。
2.オンオフの切り替えの解決方法
簡単にできるのは服を着替えることで、仕事モードに切り替えられるよう習慣化することです。とはいえ、服を着替えるだけではなかなか切り替えが難しいこともあります。
そんな時にはいつもと違う部屋や、(企業が許可した)サテライトオフィスやコワーキングスペースで作業するとリフレッシュされ、集中力もアップします。
就業後は、リラックスできるよう部屋着に着替えることで、プライベートモードに切り替えましょう。
3.オーバーワーク(働きすぎ)の解決方法
勤怠管理システムを導入し、作業時間や休憩時間の可視化を行うことで解決できます。
長時間労働や時間外の申告を正しく把握できるような仕組みや制度を採用し、企業全体がメリハリをつけて作業することを意識する。このような環境を整えることが大切です。
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テレワークに関する国内アンケート
政府も国内のテレワークを推進しています。総務省ではテレワークにおける個人向けアンケートを実施し意識調査を行いました。
テレワークをするうえでのメリットやデメリットについて現場の声をアンケートからみてきましょう。
テレワークに関するアンケート「総務省」
総務省が公開した「令和3年 情報通信白書」の個人向けアンケートで見るテレワーク事情(※3)において、テレワーク実施者に対し、テレワークの利点を尋ねたところ以下のような回答が上位で挙げられていました。
1.通勤時間が削減される(81.5%)
2.好きな場所で作業をすることができる(53.8%)
3.自分や家族のための時間をとりやすくなった(45.1%)
4.作業に集中できる(32.9%)
逆にテレワークの実施の有無にかかわらず、テレワーク実施に当たっての課題・障壁について尋ねた結果は以下のような回答でした。
1.テレワークに適した仕事ではないため(36.3%)
2.勤務先にテレワークできる制度がないため(27.9%)
3.会社に行かないと利用できない資料(19.4%)
4.社員同士のコミュニケーション(17.8%)
5.上司からの確認・指示を得にくい(10.8%)
課題の上位が勤務先にテレワークできる制度がないことだとわかりました。
テレワークを導入するためには初期投資がかかりますが、企業と社員に双方にとってメリットが多く得られます。
厚生労働省では、テレワーク総合ポータルサイト(※4)でテレワーク導入に関する資料を公開しています。
企業が良質なテレワークを導入できるよう助成金やコンサルティングなどの支援(※5)も行っていますので有効活用してください。
さいごに
テレワークを導入することは、企業と社員の双方に多くのメリットをもたらします。
政府の提供している助成金やコンサルティングを活用することでデメリットを解消し、これからの時代に合った働きやすい環境を手に入れてください。
【参考資料】
(※1)第 9 回 働く⼈の意識に関する調査 調査結果レポート/公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部
(※2)『夜更かし!?ランキング 』&『通勤・通学時間が長い!?ランキング』/総務省統計局
(※3)「令和3年 情報通信白書」(2)個人向けアンケートで見るテレワークの実情/総務省
(※4)テレワーク総合ポータルサイト テレワーク関連資料/厚生労働省
(※5)テレワーク総合ポータルサイト 啓発・導入支援:コンサルティングのご案内/厚生労働省