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賃上げ2024年アンケート調査を解説|実施率84.2%で賃上げ手法は変化

賃上げ2024年アンケート調査を解説|実施率84.2%で賃上げ手法は変化

2024.10.31

東京商工リサーチによる2024年度8月実施の「賃上げに関するアンケート」調査では、賃上げ実施企業の割合は8割を超え、2年連続でコロナ禍前の水準を上回りました。ベースアップ実施企業が初めて6割を超えるなど、賃上げ手法にも大きな変化が見られます。
一方で、企業規模の格差は過去最大となり、持続可能な賃上げ実現への課題が確認されました。本記事では、2024年度の賃上げ動向を東京商工リサーチ「賃上げに関するアンケート」調査をもとに解説します。

2024年度賃上げを実施した企業は84.2%

東京商工リサーチが2024年8月に実施した「賃上げに関するアンケート」調査(※)によると、2024年度の賃上げ実施率(予定も含む)は84.2%に達しました。2016年度からの定期調査開始以来、2023年度の84.8%に次ぐ高い数値となります。物価高騰への対応や人材確保の必要性に加え、政府による賃上げ促進政策が企業の背中を押す形となったようです。

(※)東京商工リサーチが2024年8月1〜13日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答6,899社を集計・分析したものです。

出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

2024年賃上げ実施の背景

2024年5月まで実質賃金が26か月連続でマイナスを記録する現状において、従業員の生活水準維持と人材確保の両面から、賃上げへの社会的要請が高まっています。2024年問題によるドライバー不足、2025年問題による生産年齢人口の減少への対応として、製造業や運輸業では、事業継続に不可欠な人材の確保が必須です。賃上げを含む処遇改善が経営戦略上の最重要課題となっています。

関連記事:物流の2024年問題をわかりやすく解説!深刻な3課題と対応策
関連記事:【2025年問題】とは?企業に迫る危機と対策をかんたんに解説!

企業規模による賃上げ格差が過去最大に

賃上げ実施率を企業規模別に見ると、違いが明らかです。大企業(資本金1億円以上)の実施率は94.0%と前年度から4.1ポイント上昇し、高水準を保っています。対照的に中小企業(資本金1億円未満)は82.9%と前年度を1.3ポイント下回り、規模による開きは11.1ポイントまで拡大しました。企業規模による差は、2020年度の10.0ポイントを超え、過去最大の開きとなっています。

【企業規模ごとの賃上げ実施率】

  • 大企業:94.0%(前年度比4.1ポイント増)
  • 中小企業:82.9%(前年度比1.3ポイント減)

賃上げ 2024_01

出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

中小企業で賃上げが進まなかった要因

中小企業における賃上げ実施率の低下には、原材料価格の高騰や人件費負担の増加、価格転嫁の遅れなど、中小企業特有の経営課題が挙げられます。中小企業において、人件費高騰は持続可能性に関わる深刻な課題です。2024年1月から7月における人件費高騰による倒産件数は60件に達し、前年同期の29件から倍増となりました。中小企業では「賃上げ疲れ」が顕在化しています。

参考記事:防衛的賃上げの実態と中小企業の課題|人材確保のための厳しい選択

賃上げ手法は定期昇給からベースアップ重視へシフト

賃上げ実施企業5,628社の回答から、企業の賃金戦略に大きな変化が見られます。「定期昇給」を実施した企業は74.2%と最多を維持しているものの、4年連続で低下傾向です。

対して「ベースアップ」を実施した企業は61.4%に到達し、前年度から5.0ポイント上昇して3年連続で過去最高を更新しました。

定期賞与からベースアップへと転換する賃金戦略は、一時的な収益改善による賞与増額よりも、基本給の引き上げによる恒常的な処遇改善を重視する企業が増えていることを示します。コロナ禍での不安定な経営環境下では、賞与による一時的な対応が主流でしたが、現在は持続的な人材確保を見据えた戦略的な賃上げへと舵を切る企業が増加していると考えられるでしょう。

賃上げ 2024_02出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

中小企業は賃上げ限界か

賃上げ手法の調査では、「新卒者の初任給の増額」において大企業が45.63%であるのに対し、中小企業は22.10%と20ポイント以上の差が見られました。再雇用者の賃金の増額についても、同じように大企業21.4%に対し、中小企業11.24%となるなど、約10ポイントの差が生じています。企業規模ごとで差が生じたのと同じように、ここでも中小企業では賃上げに対して体力が乏しい状態であることが考察されます。

出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

産業別2024賃上げ動向は業種により二極化

産業別の賃上げ実施率では、業界ごとの特徴的な動きが明らかになりました。製造業は89.6%という最高の実施率を記録し、トップとなりました。円安による輸出環境の改善や半導体需要の回復を背景に、積極的な賃上げ姿勢が目立ちます。

運輸業は88.9%で第2位につけ、前年度から6.6ポイント増という大幅な上昇を見せました。深刻化するドライバー不足や「2024年問題」への対応から、人材確保を最優先課題とする企業が増加しています。

反面、不動産業は62.9%にとどまり、唯一の60%台となりました。業界特有のインセンティブ型報酬体系や業績変動が少ない小規模事業者の多さが影響したと見られます。情報通信業も72.1%と予想を下回る実施率となり、業界内での二極化が進む傾向です。

順位 業種 賃上げ実施率 実施企業数/調査企業数 前年度比
1 製造業 89.6% 1,476/1,646社 -
2 運輸業 88.9% 266/299社 +6.6ポイント
3 建設業 88.6% 763/861社 -
4 卸売業 87.7% 1,133/1,291社 -
5 農・林・漁・鉱業 85.9% 55/64社 -
6 金融・保険業 82.6% 95/115社 -
7 小売業 80.4% 260/323社 -
8 サービス業他 79.4% 1,336/1,682社 -
9 情報通信業 72.1% 290/402社 -
10 不動産業 62.9% 136/216社 -

出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

賃上げ率は5%以上への流れが加速

賃上げを実施した企業における「賃上げ率」については、「5%以上6%未満」が26.8%で最多となりました。「3%以上4%未満」が25.6%、「2%以上3%未満」の13.1%へと続きます。全体の42.6%が5%以上の賃上げを実施し、前年度から6.3ポイントという大幅な伸びを示しました。

企業規模別においては、賃上げ率「5%以上」となったのは大企業44.4%、中小企業は42.4%であり、2ポイントの差が生じています。

業種別では、農業・林業・漁業・鉱業が54.2%で最高の賃上げ率を記録し、不動産業50.6%、建設業49.5%が続きます。賃上げ実施率でトップとなった製造業の賃上げ率は36.7%とやや抑制的な水準にとどまり、広く薄い賃上げ戦略を採用する傾向が見られました。

賃上げ 2024_03出典:東京商工リサーチ|2024年度「賃上げに関するアンケート」調査

持続可能な賃上げに向けて企業ができること

調査結果から、今後の賃上げ施策を検討する上で重要となる3つの視点が浮かび上がってきます。

賃上げ手法の選択

ベースアップは固定費増加を伴う一方で、人材定着に効果があります。企業の財務状況と人材戦略を総合的に判断し、最適な手法を選択することが重要です。

初任給水準の見直し

初任給水準の適正化も、持続的な賃上げのための大事な要素です。新卒初任給の増額について、大企業45.6%に対し中小企業は22.1%にとどまり、23.5ポイントの差が生じています。採用市場における競争力維持の観点から、各社の状況に応じた対応の検討が必要となるでしょう。

生産性向上との両立

生産性向上との両立も行います。持続可能な賃上げの実現には、業務効率の改善や人材育成を通じた付加価値向上への取り組みが不可欠となります。同時に、適正な価格転嫁の実現も重要な課題となるでしょう。

人材確保の新戦略「第3の賃上げ」|福利厚生で実現する実質賃上げ

従来の定期昇給やベースアップによる賃上げに加え、近年、福利厚生の拡充による処遇改善策「第3の賃上げ」が注目されています。企業の財務状況に応じて柔軟な導入が可能であり、従業員の生活支援と企業の負担軽減を両立できる手法として評価されています。仕組みを見ていきましょう。

福利厚生を活用した実質手取りアップの仕組み

福利厚生費として計上される食事補助や社宅は、所得税非課税での処理が可能です。そのため、従業員の所得税に影響を与えず、現金給与で支給するよりも実質的な手取りアップになります。

企業側にもメリットがあるのも魅力です。福利厚生費は経費として扱えることから、法人税の軽減効果が見込めます。エデンレッドジャパンの調査では、福利厚生による賃上げ効果を認識している企業の約8割が、実質手取りアップとなる「第3の賃上げ」効果をサービス導入・継続の理由に挙げました。

参考:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

参考:「第3の賃上げ」実態調査報告:約8割が、賃上げよりも「他社との差別化になる」「導入ハードルが低い」と回答

食事補助の福利厚生サービス導入で実現する新しい賃上げ戦略

食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、「第3の賃上げ」の代表例です。全国25万店舗以上の加盟店での食事代の支払いにおいて、一定の利用条件下で食事代が半額となります。支払いは専用ICカードで行い、あらかじめチャージ代の半分を企業が補助する仕組みです。全国にあるコンビニ、ファミレス、カフェなど、幅広い加盟店で利用できます。

在宅ワークにも対応できます。 Uber Eatsとの連携により、テイクアウトやデリバリーにも対応可能で、朝食から夕食まで、時間を問わず使用可能です。出張やリモートワーク時など勤務場所や勤務時間を問わず利用できる柔軟性も、導入企業から高く評価されています。

すでに3,000社以上が導入し、契約継続率99%、利用率98%、従業員満足度93%という高い実績があるサービスです。エデンレッドジャパンの調査では、導入企業の87%が「実質手取りが増えるため従業員の満足度が高い」と回答し、78.8%が「他社との差別化になる」点を評価しています。

出典:エデンレッド|「第3の賃上げ」実態調査報告:約8割が、賃上げよりも「他社との差別化になる」「導入ハードルが低い」と回答

「第3の賃上げ」のポテンシャルに期待

実質賃金の低下が続く中、「第3の賃上げ」は持続可能な処遇改善策として、今後さらなる普及が見込まれます。エデンレッドジャパンの調査では、「第3の賃上げ」による賃上げ効果を知っている企業のうち、7割以上が通常の賃上げと福利厚生による賃上げを組み合わせたハイブリッド型の賃上げを導入していることが明らかになりました。ハイブリッド型の賃上げにより、各企業の実情に即した持続可能な処遇改善を実現できる可能性が広がっています。

出典:エデンレッド|「第3の賃上げ」実態調査報告:約8割が、賃上げよりも「他社との差別化になる」「導入ハードルが低い」と回答

2024年賃上げ動向と今後の方向性

2024年度の賃上げ実態調査からは、2つの重要なトレンドが明らかになりました。第一に、賃上げ実施率84.2%と高水準を維持する一方で、大企業と中小企業の格差が過去最大の11.1ポイントまで拡大しています。

第二に、賃上げ手法が変化し、ベースアップ実施企業が初めて6割を超えました。一時的な賞与増額から基本給引き上げへと、企業の賃金戦略がシフトしています。物価高が続く中、持続的な人材確保を見据えた計画的な賃上げへと企業の姿勢が変化していることが読み取れました。

こうした状況下において、従来の賃上げ手法に加え、福利厚生の拡充による賃上げ、従業員支援も検討に値します。賃上げと福利厚生を適切に組み合わせることで、企業の財務状況に応じた持続可能な処遇改善が可能になるでしょう。「第3の賃上げ」が実現できる食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入してみませんか。

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