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【医師の働き方改革】2024年に何が変わるか4つのポイントで解説!

【医師の働き方改革】2024年に何が変わるか4つのポイントで解説!

2024.02.01

日本の医療は、医師をはじめとする医療従事者の努力や長時間労働によって支えられてきました。しかし、少子高齢化が進みつつある今、医療を必要とする人の増加が予測され、現状の医療体制では対処できません。そこで、推奨されるようになったのが医師が働きやすい制度を整えるという「医師の働き方改革」です。本記事では、2024年4月にいよいよ開始される「医師の働き方改革」について「どのような変更点を意識すべきなのか」また「そのために取り組むべきことは何か」を詳しく解説していきます。

医師の働き方改革とは?

医師の働き方改革とは、医師の健康確保と長時間労働の改善を目的に実施される法改正および、法改正に向けて医療機関などに求められる取り組みを総じた動きです。2024年4月から新しい法が施行されます。大企業や中小企業向けの長時間労働を規制する「働き方改革」は2019年4月に施行済みです。勤務医については、医師不足という現状を配慮し適用が2024年4月に見送られたという背景があります。

医師といえども、すべての医師に対する法令ではありません。厚生労働省「医師の働き方改革に関する FAQ」によると、病院・診療所・介護老人保健施設又は介護医療院に勤務する「医業に従事する医師」が対象となります。つまり、産業医や、検診センターの医師などの患者への診療を直接の目的とする業務を行わない医師については、「医業に従事する医師」ではないため、規制の対象となりません。一般業種の労働者と同様の基準が適用されます。

出典・参照:厚生労働省「医師の働き方改革に関する FAQ

働き方改革に関する政府のこれまでの動き|各種関連法が順次施行

医師の働き方改革推進のために、政府はさまざまな取り組みに着手しています。

2016年9月:「働き方改革実現会議」が設置され、労働界と産業界のトップおよび有識者が集まり、一億総活躍社会実現に向けた議論を展開しました。
2017年3月:議論の成果としてロードマップを示した「働き方改革実行計画」が策定されました。この計画は、「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9分野における具体的な方向性を示すものです。
2018年6月:「働き方改革法案」が国会で成立します。この法案は、以下の法改正についての総称であり、労働者の健康を目的に労働時間の削減と、正社員と非正規社員の待遇格差の解消を目指すものです。
労働基準法
労働安全衛生法
パートタイム・有期雇用労働法
労働契約法
労働者派遣法

2018年7月:「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が交付されます。2019年4月より、労働基準法など関連する法律が順次施行されています。厚生労働省のホームページには、各政令新旧対象条文のリンクが掲載されていますので、必要に応じて参考にしてください。

出典・参照:
厚生労働省「働き方改革実現会議
厚生労働省「『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』について
首相官邸「働き方改革の実現

医師の働き方改革に向けたスケジュール|2024年4月より施行

医師 働き 方 改革 2024_01

出典:厚生労働省「医師の働き方改革について」ど

2024年4月1日より、2021年5月28日に公布された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が施行開始となり、医師についての時間外労働の上限規制が始まります。2024年4月1日までに対象となる各医療機関では、自らの状況を適切に分析し労働時間短縮に計画的に取り組む必要があります。また、年960時間を超える医師がいる医療機関では、2024年4月1日までに申請を行い、長時間労働となる医療機関であるという特例水準の指定を受けなければなりません。

出典・参照:厚生労働省「医師の働き方改革について

医師の働き方改革を実施する3つの背景

医師の働き方改革を実施する背景には、以下3つの背景があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

背景1.医師の長時間労働

医師の長時間労働が問題視されています。厚生労働省「令和元年 医師の勤務実態調査」では、以下図のとおり約40%の医師が年960時間の上限を超えて労働しているというデータが示されました。約10%の医師は、年1,860時間超の時間外・休日労働をしています。心身の健康を維持しながら働くためには、医師の長時間労働を防ぐための取り組み・法令が必要です。

医師 働き 方 改革 2024_02

出典:厚生労働省「令和元年 医師の勤務実態調査

背景2.労務管理が不十分

医療機関によって、時間外労働させる場合に必要不可欠な「36協定」が未締結である場合があります。36協定を締結している場合でも、特別条項付き協定であれば、「月45時間、年360時間」の上限を超えての労働が認められる点にも注意が必要です。加えて、客観的な時間管理が行われていない医療機関もあるなど、総じて労務管理が不十分と言える状況であり、見直しが求められました。

背景3.業務が医師に集中

医師の行う業務は、多様です。医師でなければできない業務も医師以外でもできる業務も行っています。たとえば、血圧測定や電子カルテの記載など、タスク・シフトできる業務も医師が行うケースがあるようです。

出典・参照:厚生労働省「第2回医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会

2024年4月開始!医師の働き方改革による変更点4つ

ここからは医師の働き方改革による変更点を4つのポイントに絞って解説していきます。

1.時間外労働の上限規制が開始|A・B・C水準で規制

医師 働き 方 改革 2024_03

出典:厚生労働省いきサポ「医師の働き方改革~患者さんと医師の未来のために~

これまで青天井とも言われていた、医師の労働時間について、上限規制が始まります。一般企業の従業員と同様に規制される原則に加えて、「A・B・C」の3つの水準による規制が始まります。ベースとなるのがA水準です。A水準を超える労働時間の医師を擁する医療機関では、労働時間について暫定的な緩和措置が認められるB・C水準で規制されます。

◆原則

一般企業の従業員同様、36協定により医師が締結できる時間外労働は以下のとおりです。

  • 休日労働を含む通常の時間外労働:月45時間以下、年360時間以下
  • 特別条項付きの36協定での上限時間:月100時間未満(年960時間)
  • 時間外労働が月100時間を超える場合の面接指導:義務

100時間以上の労働は一般企業では認められませんが、医師の場合、面接指導を受けることで100時間を超える労働が可能となることがポイントです。

◆A水準|上限960時間

A水準は、36協定を締結している一般労働者と同程度の水準を規制したものです。原則、すべての医療機関が対象となります。なお、後ほど詳しく解説しますが、休憩時間の確保とは連続勤務時間制限や勤務間インターバル規制のことです。

  • 年の上限時間:960時間以下
  • 休息時間の確保:努力義務

【参考:960時間の根拠】

36協定では、月45時間、年360時間とされています。そのうえで、「臨時的必要がある場合」の上限「複数月平均80時間以下、休日労働込み」という心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準を考慮し、年960時間とされました。

出典・参照:厚生労働省いきサポ「医師の働き方改革~患者さんと医師の未来のために~

◆連携B水準・B水準|上限1,860時間

地域医療の確保を目的に、派遣される医師に適用されるのが連携B水準、自院内で救急医療などの長時間労働が必要な医師に適用されるのがB水準です。どちらの場合も、以下のように規制されます。なお、2035年度末を目標に終了することが予定されています。

  • 年の上限時間:1,860時間
  • 休息時間の確保:義務

◆C-1水準・C-2水準|

臨床研修医や専攻医の研修による労働時間の規制がC-1水準、専攻医を卒業した医師の技術研修のための労働時間の規制がC-2水準です。どちらの場合も、以下のように規制されます。

  • 年の上限時間:1,860時間
  • 休息時間の確保:義務

出典・参照:
厚生労働省「医師の働き方改革
厚生労働省いきサポ「医師の働き方改革~患者さんと医師の未来のために~

医師の当直アルバイトは労働時間に加算される

医師の働き方改革制度において、「複数の医療機関で働く場合は、労働時間を通算して計算をする」とされている点には注意が必要です。常勤と非常勤に加えて、当直などのアルバイトもすべて通算の対象となります。水準を守るため、各医療機関では勤務医の総労働時間(常勤・非常勤・アルバイトの総合計)を把握し、必要に応じて労働時間の調整が必要です。当直アルバイトなどが時間外労働時間に加算されることで、働き方の見直しを迫られる医師がいる場合、その医師への配慮も欠かせません。

「宿日直許可」が得られた勤務は労働時間に加算されない

勤務先の医療機関が「宿日直許可」を得ている場合、その医療機関での宿日直は、労働時間とみなされれません。労働基準法や、A・B・C水準の労働規制の適用から除外され、宿日直を休息時間として扱えるようになります。そのため、当直アルバイトを必要とする医療機関では、「宿日直許可」の承認を得ることが医師の働き方改革での重要事項となり、当直アルバイトを希望する医師は、「宿日直許可」を取得済の医療機関を希望することが考えられます。

出典・参照:厚生労働省「断続的な宿日直の許可基準について

2.医療機関勤務環境評価センターによる指導の実施

2024年4月より、医師の健康状態について、第三者機関である医療機関勤務環境評価センターによる評価が実施されるようになります。医師による良質かつ適切な医療の効率的な提供をすることを目的としており、そのために以下の評価・助言指導がなされます。

◯医療機関に勤務する医師の労働時間の短縮のための取り組みの状況等について評価
◯労働時間の短縮のための取り組みについて、医療機関の管理者に対して必要な助言・指導

出典・参照:医療機関勤務環境評価センターホームページ

3.追加的健康確保措置の実施

2024年4月より、やむを得ず月100時間未満を超えて働く場合、追加的健康確保措置が必要となります。一般的な従業員と同様、健全な労働環境で健康を確保するためには「健康福祉確保措置」が必要という考え方に基づき、健康及び福祉を確保するための措置が設けられました。対象は、B・C水準です。

連続勤務時間制限28時間

当直明けの連続勤務時間について、前日の勤務開始から28時間までに制限されるようになります。A水準では努力義務、B・C水準では義務です。

勤務間インターバル

仕事から離れ、連続した休息時間を確保するためのルールとして、勤務間インターバルが必要になります。以下の2つの方法により、確保が必要です。

  • 始業から24時間以内に9時間の連続した休憩時間を確保(通常の日勤および宿日直許可のある宿日直に従事させる場)
  • 始業から46時間以内に18時間の連続した休憩時間を確保(日直許可のない宿日直に従事させる場合)
出典・参照:厚生労働省「勤務間インターバルと代償休憩について

代償休憩

勤務時間内にやむを得ず働く場合も多い医師の職業性を考慮して設けられたのが代償休憩です。仕事に従事した労働時間と同じ時間の休憩時間として、代償休憩が与えられるようになります。

4.時間外労働の上限超えで「罰則」が科される

医療機関に所属する医師が、水準を超えて時間外労働をした場合、労働基準法141条により、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科されるようになります。長時間労働の上限違反が公表されるといった風評リスクを考え、誠意を持って医師の働き方改革に取り組む必要があるでしょう。

医師の働き方改革に向けて取り組むべき4つのポイント

医師の働き方改革による変更点を踏まえ、医療機関が取り組むべきことを解説します。

1.労働時間を把握

労働時間の適正な把握は、医師の働き方改革に取り組む上での大前提です。厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」などを参考に、適切な労働時間が把握できているか確認していきましょう。盲点になりがちなのが、どのような業務を医師の労働時間とみなすかです。

厚生労働省の「医師の研鑽に関わる労働時間に関する考え方について」では、前述したガイドラインとともに、労働時間の判断基準についての記載があります。「一般診療における新たな知識、技能の習得のための学習は労働時間に該当しないが、診療の準備又は診療に伴う後処理として不可欠なものは、労働時間に該当する」と述べられており、今一度医師の労働時間の捉え方についての確認が必要かもしれません。

出典・参照:
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省「医師の研鑽に関わる労働時間に関する考え方について

2.労働時間の削減に取り組む

ICT機器の導入による業務効率化や人材の確保など、医師の労働時間の削減に取り組みましょう。医師への業務集中を避けるために、厚生労働省では、医療従事者・医師事務作業補助者へのタスク・シフティングやタスクシェアを推進しています。そのための検討が重ねられ、議論の整理結果も公表されました。

出典・参照:厚生労働省「タスク・シフト/シェア推進に関する検討会 議論の整理

3.医師の働きがいを確保する

医師が働きやすく、働きがいを感じられる企業を目指すための取り組みも欠かせません。医師の働き方改革により、新しい制度への適応が求められることは、医師の負担となり得ます。オンコールで勤務時間外に対応したり、自己研鑽のために時間を費やす医師も多いことから、医師の心身の負担は高いと考えられます。多様な勤務環境に対応できる福利厚生などで、医師の働きがいを確保できているか、目を向ける必要があるでしょう。

4.勤務医の収入源に配慮する

医師によっては、バイトにより収入を得ているケースがあります。医師の働き方改革により、勤務先の医療機関と派遣先の医療機関との時間調整がうまくいかず、大きく収入が減るケースもあるかもしれません。医師の勤務先や勤務時間を適切に把握し、収入への不安がないよう配慮が必要です。

働きやすさを底上げする福利厚生で医師の働き方改革を推進

2024年4月1日に開始される「医師の働き方改革」に向けて、医療機関ではさまざまな準備が必要です。残業時間の規制ルールの把握や、上限時間を押さえる取り組みを確実に進めていきましょう。新しいルールの遵守に向けて、医師の労働環境も見直す取り組みも、改革を円滑に推進するのに役立ちます。

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