インフレ手当の助成金が話題になる中で、「自分も助成金の対象になるのだろうか」「自社で運用するにはどうしたらよいのだろうか」といった疑問を抱く人が増えています。
インフレ手当の現状や実施の支給事例など、インフレ手当にまつわる情報を整理していきましょう。インフレ手当で注目されるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても紹介します。
インフレ手当助成金の現状
未だ収束の兆しを見せないインフレですが、最新の毎月勤労統計調査では実質賃金の現金給与総額がプラス1.1〜2.4、決まって支給する給与がマイナス1.2〜マイナス0.7となるなど、労働者の実質賃金が徐々に改善されている兆候がみられています。とはいっても、生活支援のため引き続き求められているのがインフレ手当助成金です。現状について確認していきましょう。
出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果確報(令和6年8月23日)
国民1人あたり10万円の給付案が話題に
インフレとは、「Inflation」の略語で、モノやサービスの値段が上がり、貨幣の価値が下がることをいいます。
2022年、世界的な物価高騰を受け、立憲民主党をはじめとして他政党からもインフレ手当支給を含む対策案が公表されました。
特に注目を集めたのが、国民1人あたり10万円のインフレ手当給付の提言です。「1人10万円」のインパクトによって、この緊急経済対策案は大きな話題になりましたが、2024年9月時点で全国民への具体的な進展は見られないままです。
インフレの先行きや世界経済の動向・世論などがどうなっていくかにもよりますが、現状では、国から国民に対し全員一律という形式でのインフレ手当助成金が支給される予定はありません。
ただし、一部世帯を対象とした給付金の支給は実施されています。2023(令和5)年末より順次給付されているものは、住民税非課税世帯の方を対象としたもので、世帯主に1世帯あたり7万円、18歳以下の児童1人あたり5万円が給付されています。これは2023年夏以降、すでに住民税非課税世帯を中心に3万円の支給があったことから、合計10万円の給付です。
2024年には対象が拡大され、住民税均等割( 一定額以上の所得のある方が等しく同じ額を負担する税金)のみ課税される世帯の方にも世帯主に対し、1世帯あたり10万円と18歳以下の児童1人あたり5万円が給付されることになりました。給付は市区町村からとなるため、市区町村からの案内に従う形で実施されています。
出典:内閣官房|新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置
独自に支給する自治体も
一部自治体の中には、インフレを背景にした住民の生活補助として、独自にインフレ手当の支給を始めている所もあります。
例えば静岡県三島市では、物価高騰の影響をより強く受けやすい子育て世帯の生活支援として、「子育て世帯物価高騰特別給付金」の支給を決定しました。三島市内に住民票のある小学生以下の子どもが対象で、1人につき1万2,000円が2022年12月16日に支給されています。
また、同じく静岡県の牧之原市では、食料品や原油価格等の物価高騰の影響を受けている子育て世帯の経済的な負担軽減を目的とした「子育て世帯臨時特別給付金 市独自給付分給付事業」の実施を決定しました。対象は高校生以下の子どもがいる世帯で、2023年1月頃より子ども1人あたり1万円の支給を予定しています。
熱海市では、物価高騰などにより家計が影響を受けている子育て世帯のうち「令和4年度低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」の対象外となった18歳以下の子どもがいる世帯に対し、「子育て世帯生活支援特別給付金(地方単独事業分)」として子ども1人あたり3万5,000円を支給しています。
それぞれ子どもがいる世帯への給付金ですが、終わりの見えないインフレの中、追従する自治体の増加が期待されています。
出典:日本経済新聞|静岡県三島市、物価高支援で子育て世帯に1万2000円給付(2022年12月13日)
出典:牧之原市|定例記者懇談会【2022年11月24日】
企業が支給するインフレ手当助成金
公的なサポートが進まない現状にあって、インフレ手当助成金について積極的に取り組んでいるのが民間企業です。企業が取り組んでいるインフレ手当の実態を紹介します。
インフレ手当の支給に前向きな企業は26.4%
帝国データバンクが行った「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」によると、インフレ手当支給の有無について問われた企業の内、「支給した」と回答した企業は全体の6.6%、「支給を予定」は5.7%でした。これに「支給を検討中」の14.1%を加えると、全体の約1/4にあたる26.4%の企業がインフレ手当の支給に前向きといえます。
全体の半数以上にあたる63.7%の企業が「支給する予定はない」、9.9%が「分からない」と回答しているものの、話題性や従業員の満足度の高さを踏まえると、支給に取り組むことでより一層のブランディング効果が期待できます。
出典:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート(2022年11月17日)
支給方法と平均支給額は?
前述の帝国データバンクの調査結果を見てみると、インフレ手当の支給方法として、「一時金」を選んだ企業は66.6%、「月額手当」を選んだ企業は36.2%でした。月額手当よりも圧倒的に一時金での支給を選ぶ企業が多いという結果になっていますが、これにはインフレ解消時の対応の難しさが大きく関わっているといえます。
月額手当でインフレ手当の支給をした場合、インフレが収束するまでの期間、継続的な従業員の生活補助が可能です。一方、従業員にとっては毎月もらえるのが当然となりかねません。インフレ解消時に支給を取りやめる際、従業員の反発が大きくなることが予想されます。
従業員のための施策が、最終的にネガティブな事態を引き起こす可能性を踏まえると、一時金での支給を選ぶ企業が多いのも無理はないといえるでしょう。なお、支給金額を見てみると、一時金の平均が5万3,700円、月額手当の平均が6,500円となっています。
出典:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート(2022年11月17日)
企業のインフレ手当支給例
実際にインフレ手当を導入する企業では、どのような形で支給しているのでしょうか。主な支給例を見ていきましょう。
サイボウズ株式会社
世界的なインフレへの対応として、サイボウズ株式会社は同社と直接雇用契約を結ぶ従業員(無期・有期雇用問わず)を対象に「インフレ特別手当」の支給を決定しました。
支給額は各拠点におけるサイボウズの給与やインフレによる影響額・税金・社会保険負担等をもとに算出され、日本では以下のようになっています。
- 128時間超/月(8時間/日で週4日超勤務):15万円
- 96時間超128時間以下/月(8時間/日で週3日超勤務):12万円
- 64時間超96時間以下/月(8時間/日で週2日超勤務):9万円
- 64時間以下/月(8時間/日で週2日以下勤務):6万円
なお海外赴任中の従業員については、駐在先・駐在元拠点との支給額を比較し、多い方の金額が選択されています。
出典:cybozu|サイボウズ、インフレ特別手当を支給世界的なインフレ傾向に際し、日本・グローバル拠点にて支給(2022年07月13日)
株式会社ノジマ
株式会社ノジマは、物価上昇に伴う従業員の生活費支援として、正社員・契約社員の約3,000名を対象に2022年6月度給与(7月支給分)より「物価上昇応援手当」の支給を開始しました。
当初は毎月1万円の支給でしたが、支給開始後も続く継続的な物価上昇を背景に、2022年12月度給与より、物価上昇応援手当に1万円を上乗せした合計2万円の一律ベースアップが実施されています。
出典:Nojima|ノジマ、物価上昇に伴う従業員応援手当の支給開始(2022年7月26日)
出典:Nojima|ノジマ、社員給与 一律2万円のベースアップを決定(2022年12月5日)
オリコン株式会社
オリコン株式会社は、急激な円安や物価上昇に伴う従業員の生活支援として、2022年10月より1カ月あたり一律1万円の「インフレ特別手当」の支給を開始しています。対象はオリコングループの正社員・契約社員・嘱託社員・アルバイトで、当面は終了時期を決めず運用するとしています。
出典:オリコン株式会社|オリコン、急激な物価上昇に対する生活支援として「インフレ特別手当」を新設、22年10月より支給開始(2022年10月11日)
三菱自動車工業株式会社
三菱自動車株式会社では、急速な円安進行などに伴う物価高への対応として、2022年12月に「特別支援金」の支給を行うことを決定しました。約1万2000人の正社員(管理職を除く)は10万円、約2000人の期間従業員やアルバイトには7万円の支給とし、総支給額は約13億円を見込んでいます。
出典:日本経済新聞|「インフレ手当」支給広がる 三菱自動車は最大10万円(2022年12月13日)
ケンミン食品株式会社
ケンミン食品株式会社では、急激な物価上昇への対応措置として2022年7月に、正社員・契約社員190名を対象とした「インフレ手当」を支給しました。このときの支給内容は、在籍日数1年以上の正社員・契約社員170名が5万円、1年未満の正社員・契約社員20名は1〜3万円となっています。
加えて2022年12月、終わりの見えない物価上昇への不安を和らげるための第2弾の措置として、「生活応援一時金」を支給しました。第2弾では、従業員やフルタイム勤務のパート(アルバイト含む)本人への1万円に加え、家族1人あたり1万円(最大6万円)の支給となっています。
出典:ケンミン食品株式会社|ケンミン食品 インフレ手当支給の報道について(2022年8月2日)
出典:ケンミン食品株式会社|まだまだ続く物価上昇を受け、夏に続いて冬も支給 第2弾「生活応援一時金」を社員全員に支給します(2022年11月17日)
企業がインフレ手当を支給するメリット
企業が従業員へのインフレ手当支給を検討するにあたって、1つの懸念材料となるのが「果たしてどれだけのメリットが得られるのか」という点です。まとまった支出となるからこそ、一定のメリットがなければ決断できないと考えるのも無理はありません。
以下、インフレ手当の支給によって企業が得られる主なメリットを整理します。
従業員エンゲージメントの向上
企業がインフレ手当を支給することで得られるメリットとして、まず挙げられるのが「従業員エンゲージメントの向上」です。従業員エンゲージメントとは、従業員の企業に対する信頼や貢献意欲をいいます。従業員エンゲージメントが高い企業=従業員に強い愛着や思い入れを持たれる企業といえるでしょう。
従業員エンゲージメントが高い企業は、仕事に対する従業員の意欲が高く、社内の雰囲気もよい傾向にあります。誰にとっても気持ち良く働ける環境が整い、結果として業績の向上が期待できるでしょう。
企業イメージの向上
インフレ手当の支給は、「従業員の生活を支え、守っていく」という企業の強い意思表示となります。内外へ強力なアピールとなり、企業イメージの向上につながるでしょう。このアピールは、従業員を大切にする企業として他社との差別化に一役買うことになります。ブランディングが成功することで知名度も向上し、最終的には企業へのプラスの貢献が期待できるでしょう。
人材不足の解消
従業員を大切にする企業は、従業員にとって魅力的な企業です。インフレ手当の支給は、離職防止の一つの手段になり得るでしょう。もちろん、効果があるのは既存従業員に対してだけではありません。就職先を探す新規人材に対しても、強力なPRポイントとなります。
このように人材不足の解消につながるというのは、転職が一般的なものとなり、また少子化が人材確保を困難にする現代社会において有益なポイントといえそうです。
企業がインフレ手当を支給する際の注意点
いざインフレ手当を支給するにあたっては、あらかじめ押さえておきたいいくつかの注意点が存在します。中でも特に大切なポイントを紹介します。
「一時金」と「月額手当」
インフレ手当を支給するにあたって、第一に決めなければならないのが「一時金」「月額手当(ベースアップ)」のどちらの方法を選ぶかです。「一時金」は、基本的に1度のみの支給です。必要なコストの計算がしやすい一方で、長期的に続くインフレへの対応としては不十分であり、支給のインパクトが薄れてしまう可能性があります。
対する「月額手当」の場合、継続的な生活補助が行えるメリットがあるものの、前述の通りインフレが終わったからといって金額を元に戻しにくいというデメリットがあります。また、必要なコストについても見通しが立てにくいでしょう。それぞれ一長一短があるため、企業内の状況を踏まえて検討する必要がありそうです。
関連記事:インフレ手当は賞与での支給がベスト?インフレ手当の基礎知識を解説!
税金・保険料の負担
インフレ手当を支給する場合、企業側・従業員側の両方に税金や保険料の負担が増します。インフレ手当を一時金として支給した場合、賞与扱いとなって所得税・社会保険料・雇用保険料の対象となります。
また、月額手当として支給した場合には、毎月一定の給与増となるため、一時金と同様に所得税・雇用保険料・社会保険料もそれぞれ増額の対象となるほか、必要に応じて随時改定(月額変更届)や就業規則改定の手続きをしなければなりません。
なお、所得税は累進課税です。場合によっては、インフレ手当の支給を受けたために負担する所得税額が大幅に増えてしまうケースがないとも限りません。また、配偶者の扶養から外れてしまう可能性についても合わせて考慮しておくのがおすすめです。
関連記事:【税理士監修】「103万の壁」学生やパートタイム労働者が直面する年収の壁とは?
インフレ対策に使われないリスク
一時金や月額手当でインフレ手当を支給した場合、支給後の使われ方について企業側は把握できません。実質賃金低下への対応として支給した手当が、遊興費に使われてしまったり、貯蓄に回されてしまったりする可能性も十分に考えられます。
もちろん、支給された手当をどう使うかは従業員の自由です。しかし、支給する企業側からすると、本来の目的からあまりにも離れた使われ方をされてしまうのは好ましいことではありません。現金でのインフレ手当支給には、このようなリスクがある点も理解しておく必要があります。
インフレ手当の支給に「チケットレストラン」
インフレ手当としてより効果的、かつ現金での支給に伴うリスクを回避する手段として、注目度を高めているのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。その詳細や、多くの企業に選ばれる理由について見ていきましょう。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」とは
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、約30年の運用実績を持つICカード配布型の食事補助の福利厚生サービスです。導入企業の従業員は、従業員・企業それぞれが半額ずつ負担でチャージしたICカードを提携店舗での支払に使用することで、実質半額の食事補助が受けられます。
ファミレスやコンビニはもちろんのこと、カフェやチェーン店など、全国25万店舗以上の加盟店から好きな店舗を選び、食事、おやつ、飲み物を購入可能です。その利便性の高さから、サービス導入企業は3,000社以上、1日あたりの利用者数も15万人を超え、現在もなお増え続けています。
「チケットレストラン」の魅力
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、ICカードによる食事補助という特徴から、使う場所や時間を選びません。一般的な社員食堂のようにランチに利用するのはもちろんのこと、おやつの購入にあてたり、お弁当にプラスするおかずを購入したりなど、臨機応変に利用できるのも大きな魅力です。
こうした自由度の高さによって、職種や職場の立地を選ばす、誰もが平等に利用できます。いうなれば、全国各地にメニュー豊富な社員食堂を設置したかのようなサービスを提供できるのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」なのです。実際に導入した企業で、利用率98%・継続率99%・従業員満足度93%との高評価を得ているのも納得の充実したサービスといえるでしょう。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
「チケットレストラン」がインフレ手当にぴったりな理由
前述の通り、一般的なインフレ手当には「一時金・月額手当それぞれにメリット・デメリットがある」「税金・保険料の負担」「インフレ対策に使われないリスク」といった課題があります。
しかし、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、上記の課題を払拭する材料として、以下のような特徴を持っています。
- 食事補助カードのため、例えば現金など支給方法に悩む必要がない
- 非課税での運用が可能*
- 目的を限定した運用が可能
*チケットレストランは、国税庁の確認のもと運営される食事補助の福利厚生サービスです。「食事に限定」「管理・証明ができること」の2つの条件が揃い、かつ従業員が企業支給額より多く負担している場合、従業員1人あたり毎月3,500円(税別)を上限として課税対象にはなりません。
このように、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、従来のインフレ手当に伴う課題を一掃するサービスです。課題を解消できずインフレ手当の導入を見送っていた企業にとって、魅力的です。
なお、食事補助という誰からも分かりやすい福利厚生を提供することは、従業員エンゲージメントの向上や人材流出の抑止・人材獲得に向けたアピールとしても大いに役立ちます。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」をインフレ手当として導入することで、企業が得られるメリットは非常に大きいでしょう。
参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
インフレ手当助成金で他社との差別化を図ろう
独自にインフレ手当の支給を開始している自治体や企業が存在します。一方、インフレ手当の支給を検討する企業の中には「一時金・月額手当それぞれにメリット・デメリットがある」「税金・保険料の負担」「インフレ対策に使われないリスク」といった課題が原因で二の足を踏んでしまうケースが少なくありません。
インフレ手当としてエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入すれば、課題を克服しつつ満足度の高いサービスの提供が可能です。インフレ手当支給の選択肢の1つとして、「チケットレストラン」の導入を検討されてはいかがでしょうか。