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【2025最新】在職老齢年金とは?シニア雇用と制度をわかりやすく解説

【2025最新】在職老齢年金とは?シニア雇用と制度をわかりやすく解説

2025.01.30

在職老齢年金制度は、高齢者の就労と年金受給のバランスを図る重要な仕組みです。度々の見直しにより、2024年4月には基準額となる支給停止調整額が50万円に引き上げられました。さらに2026年度に向けて、政府は62万円への引き上げを目指す方針を示しています。本記事では、制度の基本から最新の改正動向・企業の実務対応まで、在職老齢年金にまつわる知っておきたい情報を分かりやすく解説します。

「在職老齢年金」とは?わかりやすく解説

在職老齢年金制度は、企業の人事戦略に大きな影響を与える重要な制度です。まずは、その概要と仕組み・支給停止調整額の見直しの経緯など、基本的な情報について解説します。

制度の概要

「在職老齢年金」とは、働きながら(厚生年金に加入したまま)老齢厚生年金を受給している労働者の収入月額が支給停止調整額を上回ったとき、その度合いに応じて老齢厚生年金の受給額が減額される制度をいいます。

この制度は、シニアの就労を促進しつつ、現役世代との給付バランスを保つことを目的として創設されたものです。一方で、収入によってはいわゆる「働き損」となるため、働き控えの原因になるとの指摘もあります。

参考:日本年金機構|さ行 在職老齢年金

対象となる労働者

在職老齢年金の対象となるのは、次の条件を満たす労働者です。

  • 60歳以上
  • 厚生年金に加入している
  • 老齢厚生年金を受給している

在職老齢年金は、あくまでも厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給している労働者向けの制度です。個人事業主やフリーランスは対象外となります。

在職老齢年金の支給停止調整額の仕組みと計算方法

在職老齢年金制度では「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が支給停止調整額(2025年1月時点は50万円)を超えた場合に、支給される厚生年金の一部もしくは全額が支給停止されます。以下、用語の詳細や計算方法・計算の具体例を紹介します。

基本月額と総報酬月額相当額

在職老齢年金の支給停止額は、以下の式で求めます。

支給停止額 = (収入月額《老齢厚生年金の基本月額 + 総報酬月額相当額》 − 支給停止調整額) ÷ 2

「基本月額」と「総報酬月額相当額」の詳細は以下の通りです。

基本月額
加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額

総報酬月額相当額
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

※上記の「標準報酬月額」、「標準賞与額」は、70歳以上の方の場合には、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」となります。

出典:日本年金機構|在職老齢年金の計算方法

「基本月額」は、老齢厚生年金の月額(年金額÷12)です。また「総報酬月額相当額」は、標準報酬月額と直近1年間の標準賞与額の1/12を合計した金額です。

たとえば、月給30万円で年2回各60万円のボーナスがある場合、総報酬月額相当額は40万円『30万円 + (60万円 × 2 ÷ 12)』となります。

支給停止額の計算例

具体的な計算例を見てみましょう。

基本月額が15万円・総報酬月額相当額が40万円の場合、収入月額の計算は次のようになります。

15万円(基本月額) + 40万円(総報酬月額相当額) = 55万円 

2025年1月時点の支給停止調整額である50万円を超えていることが分かりました。そこで、在職老齢年金の支給停止額の計算式にあてはめます。

支給停止額 = (15万円 + 40万円 − 50万円) ÷ 2 = 2.5万円

つまりこのケースでは、毎月2.5万円が厚生年金から減額され、最終的な総収入は52.5万円となります。

支給停止調整額見直しの流れと背景

在職老齢年金の見直しに伴う支給停止調整額の段階的な引き上げにより、企業のシニア人材活用における選択肢が広がっています。ここでは、近年の見直しの過程と今後予想される流れについて解説します。

近年の支給停止調整額の見直し

在職老齢年金制度の支給停止調整額は、現役男性被保険者の平均的な月収(賞与含む)を基準に設定されています。

かつての支給停止調整額は「60歳以上65歳未満」と「65歳以上」とで異なっていましたが、2022年4月に47万円へ統一されました。その後、2023年4月に48万円、2024年4月に50万円と、段階的に引き上げられています。

さらに厚生労働省は、2026年に向けて、在職老齢年金の支給停止調整額を現行の50万円から62万円へ引き上げる方針を示しました。

実際に62万円への引き上げが行われた場合、高齢者への年金給付額は2200億円増加する見込みです。現在の構成老齢年金受給者の受給額が増加する一方で、現役世代が将来受け取る厚生年金額の減少が想定されることから、さらなる慎重な議論が求められています。

参考:厚生労働省|年金制度の仕組みと考え方_第10_在職老齢年金・在職定時改定
  :厚生労働省|令和6年度の年金額改定について
  :47NEWS(よんななニュース)|満額年金、26年4月から拡大 シニアの月収62万円に引き上げ

関連記事:【社労士監修】在職老齢年金の基準額が47万円になったのはいつから?2024年の制度改正も

支給停止調整額見直しの背景

在職老齢年金の支給停止調整額は、2022年以降、毎年見直しが行われています。ここでは、その背景について解説します。

深刻化する人手不足

少子高齢化の進行により、多くの業界で労働力不足が深刻化しています。特に中小企業では人手不足による倒産が過去最高を記録しており、シニア人材の活用が急務です。支給停止調整額の見直しは、このような人材不足への対応策としても期待されています。

参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)|(2024年10月4日)

高齢者の就労促進効果

在職老齢年金の支給停止調整額引き上げは、高齢者の「働き損」を減らし、就労を促進する狙いがあります。

現行制度では収入増加に伴う年金減額が就労意欲を低下させる要因となっていましたが、支給停止調整額引き上げによってこの課題が緩和され、シニア人材の活用が進むことが期待されています。

在職老齢年金制度の将来的な廃止の可能性

2024年1月に行われた厚生労働省の年金部会では、在職老齢年金の将来的な廃止を求める声も挙がりました。支給停止調整額の引き上げは、その過程の一部との声も少なくありません。

参考:社会保険研究所|年金制度改正の議論を読み解く|12 在職老齢年金、標準報酬月額上限の見直し

在職老齢年金にまつわる注意点

企業が在職老齢年金制度を運用する上で、いくつかの重要な注意点があります。特に人事実務においては、以下の点への理解が求められます。

70歳以上の従業員への適用

70歳以上の従業員に対しても在職老齢年金制度は適用されますが、厚生年金保険料の負担はありません。つまり、70歳以上の従業員は保険料を支払うことなく、在職中でも老齢厚生年金を受給できます。

ただし、月額総収入が支給停止調整額を超えた場合には、70歳以下の高齢労働者と同様に老齢厚生年金の支給額が減額されます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い

在職老齢年金制度において、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金のみです。老齢基礎年金は、就労状況に関わらず全額支給されます。

たとえば、月額6.5万円の老齢基礎年金と月額10万円の老齢厚生年金を受給している場合、支給停止の計算対象となるのは老齢厚生年金の10万円のみです。

加給年金への影響

支給停止額の計算結果が老齢厚生年金の基本月額を上回る場合、老齢厚生年金(加給年金額を含む)は全額支給停止となります。

たとえば、老齢厚生年金の基本月額が10万円・総報酬月額相当額が100万円の場合、

「支給停止額 = (10万円 + 100万円 - 50万円) ÷ 2 = 30万円」

となるため、理論上の厚生年金支給額はマイナス20万円(=10万−30万)です。このようなケースでは、加給年金を含む厚生年金全額が支給停止されます。

参考:日本年金機構|在職老齢年金の計算方法
  :日本年金機構|加給年金額と振替加算

高年齢雇用継続給付との関係

「高年齢雇用継続給付」は、次の要件を満たす高齢労働者を対象に、最高で賃金額の15%に相当する額が雇用保険から支払われる制度です。

  • 60歳以上65歳未満
  • 雇用保険の被保険者
  • 雇用保険の加入期間が5年以上
  • 賃金額が60歳到達時の75%未満

高年齢雇用継続給付を受給すると、標準報酬月額の最大6%にあたる金額が老齢厚生年金から支給停止されます。

参考:日本年金機構|在職老齢年金の支給停止の仕組み

関連記事:【社労士監修】高年齢雇用継続給付とは?申請方法や支給額の計算方法をチェック

シニア雇用のメリット6選

企業におけるシニア人材の活用は、単なる人手不足対策を超えた数々のメリットを企業へもたらすものです。ここでは、主なメリットを6つピックアップして紹介します。

人手不足を解消できる

豊富な実務経験を持つシニア人材は、現場での即戦力として活躍し、業務の質を維持しながら人手不足を解消することができます。

また、現役世代に比べ、短時間勤務や週3日勤務などの柔軟な働き方に対応しやすい点も、人材不足解消の観点から重要な利点となっています。

豊富な経験や知識を活用できる

数十年の実務経験から得た専門知識と業界慣習への深い理解は、シニア人材の大きな強みです。過去の経験を生かした問題解決能力とリスク回避能力に優れ、業務改善やトラブル対応に力を発揮します。

また、長年の人脈や商習慣の理解により、取引先との円滑なコミュニケーションも期待できます。

即戦力として活躍できる

シニア人材は、ビジネスマナーや職場での振る舞いを熟知しているため、採用直後から実務に取り組めます。

専門用語や業務フローへの理解も深く、環境適応も早いため、新人教育コストを抑えながら、迅速な戦力化が可能です。

若手従業員の育成ができる

シニア人材は、技術的スキルに加え、実践的な業務上の知識やスキルを若手従業員に伝えられます。

長年の経験から得た人材育成ノウハウを生かし、個々の特性に応じた効果的な指導が可能なため、組織の持続的発展に寄与します。

離職率の低下と生産性向上

シニア人材は、すでに一定のキャリア形成を終えているために、ひとつの職場での長期的な就労を望む傾向にあります。

また、給与面だけでなく、やりがいや社会貢献を重視して業務へ取り組むため、企業の離職率低下と生産性の向上が期待できます。

企業イメージの向上が期待できる

シニア人材の積極的な採用は、企業の社会的責任(CSR)の観点からも高評価を得られます。

年齢に関係なく個人の能力を重視する姿勢は、ダイバーシティ推進の象徴となり、企業ブランド価値の向上、ひいては優秀な人材確保につながります。

シニアの雇用と活躍を支える福利厚生

在職老齢年金制度のもとで優秀なシニア人材を獲得する手段として、近年注目度を高めているのが福利厚生の充実です。ここでは、充実した福利厚生がシニア人材の獲得や活躍に有効な理由と、おすすめの福利厚生サービスについて紹介します。

給与以外のサポートがもたらす効果

在職老齢年金制度に伴う働き控えにより、シニア人材の賃金は実質的に一定の範囲内に抑えられる傾向にあります。このため、企業が優秀なシニア人材を獲得し、活躍を推進するには、賃金以外での差別化が重要です。

その点、健康サポートや食事補助などの充実した福利厚生は、他社との差別化に効果的なのはもちろんのこと、健康管理支援による生産性向上や実質的な手取りアップなど、多面的な効果をもたらします。

福利厚生の充実は、コストを抑えながらさまざまなメリットを享受できる、企業にとって非常に魅力的な施策といえます。

食事補助で働きやすい環境を実現「チケットレストラン」

数ある福利厚生の中でも、近年特に注目を集めているのが、食事補助に関する福利厚生です。食事は日々の健康維持に直結し、かつ経済的負担も大きい項目であることから、シニア人材の支援策として高い効果が期待できます。

そんな食事補助の福利厚生として、日本一の実績を持つサービスが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、一定の条件を満たすことにより全国25万店舗以上の加盟店での食事が半額になる福利厚生サービスで、勤務時間内であれば時間や場所の制限もありません。正規従業員・非正規従業員・アルバイト・パートなどの雇用形態を問わず提供できる平等性も魅力です。

加盟店のジャンルはコンビニ・ファミレス・カフェなど幅広く、若手従業員からシニア人材まで、あらゆる年齢層の従業員が利用しやすい点も人気の秘密となっています。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

在職老齢年金を理解し、柔軟な人材戦略を

企業の持続的な成長には、シニア人材の活用が不可欠です。今後も実施が予想されている在職老齢年金制度の改正を見据え、企業には、福利厚生の充実を含めた総合的な人材戦略の構築が求められています。

シニア人材の豊富な経験と知識を生かしつつ、適切な待遇と働きやすい環境を整備することで、世代を超えた組織の発展が実現できます。在職老齢年金制度への理解を深め、戦略的な人材活用を推進されはいかがでしょうか。

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