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【税理士監修】令和7年度税制改正大綱をわかりやすく解説。103万円の壁や扶養控除は?

【税理士監修】令和7年度税制改正大綱をわかりやすく解説。103万円の壁や扶養控除は?

2025.01.04

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

令和7年度税制改正大綱が2024年12月20日に発表されました。2025年の税制はどのように変わるのでしょうか?企業で働く人への影響が大きく、話題になっている税制を取り上げて、制度の概要と今後の変化について解説します。併せて税制の影響を受ける従業員に対して、企業ができるサポートについても見ていきましょう。

令和7年度税制改正大綱の特徴

令和7年度税制改正大綱では「将来に夢や希望と安心を持てる、公正で活力ある社会を目指すための税制」を構築することを基本として、以下にあげる3つを重視しています。

1.持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること。(設備投資の促進等)

2.若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること。(所得向上、社会インフラの整備等)

3.わが国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと

出典:自由民主党・公明党|令和7年度税制改正大綱

また近年、国内経済はデフレを脱却し成長経済へ移行していると考えられています。令和7年度税制改正大綱は、この移行に対応してさらに経済を成長させていくことに重点を当てているのも特徴です。

従業員の暮らしに影響する税制改正

令和7年度税制改正大綱では、個人所得課税・資産課税・法人課税・消費課税・国際課税・防衛力強化に係る財源確保のための税制措置・納税環境整備・関税についての、具体的な方向性が示されています。

今回はこの中から、企業で働く従業員の暮らしへの影響が考えられる、以下の税制についてチェックしましょう。

  • 年収103万円の壁
  • 高校生年代の扶養控除の見直し
  • ガソリン減税
  • 子育て世代の住宅ローン減税
  • 退職金にかかる所得税

それぞれの制度の概要と、令和7年度税制改正大綱に示された内容を見ていきましょう。

年収103万円の壁はどうなる?

年収103万円の壁とは、年収が103万円を超えると所得税が課税されるようになることです。所得税額を計算するときには、年収から基礎控除48万円と給与所得控除が最低55万円の、合計103万円が差し引かれます。

パートやアルバイトで年収103万円までは、基礎控除と給与所得控除により課税所得が0円になり、所得税がかからない仕組みです。税負担を避けるために年収103万円以下になるよう勤務時間を調整するケースがあることから、年収103万円の壁とよばれています。

令和7年度税制改正大綱で示されている内容をチェックしましょう。

関連記事:【税理士監修】「103万の壁」学生やパートタイム労働者が直面する年収の壁とは?

年収103万円の壁見直しの経緯

基礎控除と給与所得控除の合計額である103万円という金額は1995年から変わっていません。ただしこの間、最低賃金の全国加重平均は611円から1,055円となり、約1.73倍に上がっています。

これに伴い、年収103万円の壁を引き上げるために、見直しの議論が行われ始めました。

関連記事:【税理士監修】178万の壁とは?社会保険加入との関係やメリット・デメリット

年収の壁は123万円へ引き上げ

国民民主党が掲げているのは、最低賃金の上昇率に合わせて年収の壁を103万円から178万円になるよう引き上げる案です。

これに対して令和7年度税制改正大綱で自由民主党と公明党は、2025年から基礎控除額と給与所得控除額の合計額を123万円に引き上げると明記しました。国民民主党の主張する178万円を目指して、まずは123万円に引き上げる考えです。

基礎控除額を48万円から58万円に、給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に引き上げることで、年収の壁を123万円とします。

基礎控除額が上がるため、配偶者の扶養内で働くパートはもちろん、仕事をしている全ての人に影響する変更です。

子どもの扶養控除の見直し

家族がいる従業員は、扶養控除の対象となっているケースが多いでしょう。同一生計の子どもであれば、16歳以上でその子どもの給与収入が103万円以下であれば、控除の対象です。令和7年度税制改正大綱では子どもの扶養控除にも言及しています。

関連記事:【税理士監修】2025年度の税制改正で扶養控除はどう変わる?企業ができることも解説

特定扶養控除は子の年収の上限を引き上げ

19~23歳未満の子どもがいる場合、年収103万円以下であれば、保護者は63万円の特定扶養控除を受けられます。これまでの制度では、子どもの年収が103万円を超えると、保護者が特定扶養控除を受けられず、世帯全体で見ると手取り額が下がるケースがありました。

令和7年度税制改正大綱では、子の年収の上限を150万円に引き上げることを示しています。加えて特定親族特別控除を導入し、子どもの年収が150万円を超えると、段階的に控除額が減っていく仕組みとしました。

高校生年代の扶養控除見直しは先送り

現在15歳以下の子どもは、扶養控除の対象となる控除対象扶養親族ではありません。かつては15歳以下の子どもも扶養控除の対象でしたが、児童手当の拡充により2010年の税制改正で廃止されました。

16~18歳の高校生年代の扶養控除見直しの議論は、15歳以下の子どもの扶養控除が廃止されたのと同じように、児童手当の拡充により起こったものです。

2024年10月から児童手当が18歳の誕生日以降最初に迎える3月31日までに延長されたことで、15歳以下が扶養控除の対象外であることとバランスを取るために検討されています。

これまでに所得税の控除額を38万円から25万円に、住民税の控除額を33万円から12万円に引き下げる案が出ていますが、令和7年度税制改正大綱では結論が出ておらず、2026年以降に持ち越されました。

ガソリンの暫定税率は廃止

ガソリンの価格には、石油石炭税や消費税など複数の税金が課されています。令和7年度税制改正大綱で廃止が明言された以下の文言の対象となっているのは、揮発油税と地方揮発油税のうちの上乗せ分にあたる、1リットルにつき25.1円の暫定税率です。

一、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する。

上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める。

出典:自由民主党・公明党|令和7年度税制改正大綱

廃止は明言されましたが、どのように廃止していくかについてはまだ決まっていません。具体的な実施方法を議論していく段階です。

住宅ローン減税の子育て世代の優遇は延長

住宅ローン減税とは、年末の住宅ローン残高に対して0.7%を最大13年間にわたり、所得税から控除する制度のことです。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で制度を利用するには、取得する住宅が定められた省エネ性能を満たしている必要があります。

また住宅ローン減税の対象となる借入額の上限は省エネ性能により異なり、2024年入居分から以下のように引き下げられました。

住宅の省エネ性能

~2023年入居分

2024年入居分~

省エネや耐震性に優れた長期優良住宅

5,000万円

4,500万円

消費エネルギー実質0の水準を満たした住宅

4,500万円

3,500万円

省エネ基準に適合した住宅

4,000万円

3,000万円

ただし子育て世帯であれば、2024年入居分に限り、借入額の上限は引き下げ前の金額とする優遇策が取られています。この優遇策を1年間延長することも、令和7年度税制改正大綱に盛り込まれました。

退職金にかかる所得税はどうなる?

退職金には所得税がかかります。ただし長年の勤務に対する褒賞であることや、一時的に支給されるものであることから、税負担が大きくなりすぎないよう、以下のように退職所得控除が設けられています。

勤続年数

退職所得控除額

20年以下

40万円×勤続年数

20年超

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数が長いほど控除額が上がる現行制度は、終身雇用を前提に設けられた仕組みです。近年は転職する人材が増えていることから、制度を見直す必要性が問われています。

退職金に関する制度の変更は、老後の生活設計に大きな影響を与えかねません。時間をかけた議論を行うため、令和7年税制改正大綱では結論が見送られました。

参考:国税庁|退職金と税

iDeCoは受け取り時に注意

iDeCoには掛金を全額所得から控除できる優遇措置があり、この限度額が引き上げられます。控除額が増える分、税負担が抑えられる可能性があるでしょう。

ただしiDeCoや企業型確定拠出年金の一時金を受け取るタイミングで行われる課税を強化することも、令和7年税制改正大綱に盛り込まれています。

退職金よりもiDeCoや企業型確定拠出年金の一時金を先に受け取る場合、これまでは5年間空けなければ控除が縮小される仕組みでした。この期間が令和7年税制改正大綱により10年間になることとされました。

例えばiDeCoの一時金を60歳で受け取った場合、退職所得控除を通常通り受けるには、勤務先の退職金を70歳以降に受け取らなければいけません。

税負担をできる限り抑えつつ、iDeCoの一時金や退職金を受け取るには、タイミングを十分考える必要が出てきています。

関連記事:【iDeCo】2024年12月の制度改正で何が変わる?必要な手続きは?

「家計が苦しい」従業員へ企業ができること

令和7年税制改正大綱では、従業員の暮らしに影響するさまざまな税制の変更が示されています。中には税負担が軽減する変更もあります。

ただしエデンレッドジャパンの「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、賃上げの動きが広がっているにもかかわらず「家計が苦しい」と感じているビジネスパーソンはおよそ80%いることから、税負担の軽減だけでは家計が上向いていかないかもしれません。

このような状況の中、従業員をサポートするために企業ができることとして「賃上げ」と「第3の賃上げ」について解説します。

関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」

賃上げに取り組む

2024年春闘では歴史的な賃上げが行われました。多くの企業に賃上げの動きが広がる一方、中小企業を中心に十分な賃上げができていないケースも見られます。

このような格差是正に向けて、連合は「2025 春季生活闘争方針」で、中小企業に6%以上の賃上げを求めました。

賃上げはコストアップのデメリットがある反面、人材確保やモチベーションアップにつながります。業務効率化や価格転嫁、助成金の活用などを行いながら、継続可能な範囲内で賃上げに取り組むとよいでしょう。

参考:日本労働組合総連合会|2025 春季生活闘争方針

関連記事:春闘で中小企業の賃上げはどうなる?2025年春闘の動向を予測

第3の賃上げを活用する

エデンレッドジャパンでは、定期昇給を「第1の賃上げ」、ベースアップを「第2の賃上げ」としたとき、実質的な手取りアップにつながる福利厚生を「第3の賃上げ」と位置づけました。

現金で支給する給与の賃上げは、税金の負担も高まる可能性があり、従業員が賃上げを実感しにくいこともあります。

賃上げとともに税制優遇を受けられる第3の賃上げを活用することで、従業員の実質的な手取り額アップが可能です。

関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

第3の賃上げには「チケットレストラン」がおすすめ

第3の賃上げを実施するなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。

全国にある25万店舗以上の加盟店で利用できる「チケットレストラン」は、対象となる従業員が公平に利用できますし、バランスのよい食事をとるサポートにもなります。従業員満足度向上にもつながる福利厚生です。

従業員の暮らしをサポートするなら「チケットレストラン」が有効

令和7年税制改正大綱では、年収103万円の壁見直しや、子どもの扶養控除の見直し、退職金の所得控除などさまざまな税制の変更や結論の見送りなどが発表されました。企業で働く従業員に影響を与える変更も多い内容です。

中には税負担が減る可能性のある制度変更も見られましたが、それだけで「家計が苦しい」と感じている従業員の状況が改善するとは限りません。

このような状況の中、企業では賃上げや第3の賃上げに取り組むことで、従業員をサポート可能です。

第3の賃上げを行うなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。対象となる従業員に公平に提供できる福利厚生で、従業員の手取りアップに取り組めます。

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