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人手不足は低賃金が原因?中小企業の賃上げの実態と求められる施策を解説

人手不足は低賃金が原因?中小企業の賃上げの実態と求められる施策を解説

2024.12.11

少子高齢化にともない、労働人口が減少の一途をたどる中、人手不足に悩む企業が増えています。帝国データバンクの調査によると、2024年度上半期において、人手不足が原因で倒産した企業数は過去最高を記録しました。従業員の採用や定着に課題を抱えがちな中小企業にとって、人手不足を解消できるかどうかは、まさに企業としての生き残りをかけた深刻なテーマです。本記事では、人手不足の大きな要因のひとつである賃金に注目し、中小企業が直面している課題と賃金以外の解決策を含め、持続可能な対応策について解説します。

人手不足倒産件数が過去最高を記録

2024年10月4日、株式会社帝国データバンクは「人手不足倒産の動向調査(2024 年度上半期)」を公開しました。ここでは、同調査の結果をもとに、中小企業における人手不足の深刻度を解説します。

人手不足倒産が過去最多を更新

令和6年上半期|人手不足倒産

出典:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)|(2024年10月4日)

人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)」によると、2024年度上半期(4-9月)の人手不足倒産件数は163件でした。年度ベースで過去最多を記録した2023年度(313件)をさらに上回るペースを記録しています。

業種別では「建築」「物流」の2業種で約半数となる45.4%を占める結果となりました。この2業種は、2024年4月に完全施行された時間外労働の上限規制適用、いわゆる「2024年問題」の影響を受ける業種です。

時間外労働時間に上限が設けられたことにより、給与減による離職が進んだこと、また、1人あたりの業務時間が減少することで対応できる仕事量が減少したことなどが、倒産のきっかけとなったことが推察されます。

なお、従業員数別の数字を見てみると、倒産企業163社のうち、82.2%にあたる134社が10人未満の小規模事業者でした。大企業に比べ、従業員数が少ない中小企業ほど倒産しやすい実情が明らかになっています。

参考:厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

関連記事:2024年問題で労働時間はどう変わる?解決策をわかりやすく解説

中小企業における人手不足の深刻度

東京商工会議所人手不足

出典:日本商工会議所・東京商工会議所|「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」

中小企業の人手不足の実情についてさらに掘り下げていきます。

日本商工会議所・東京商工会議所は、2024年7月8日〜7月31日にかけて、全国2,392社の中小企業を対象に「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」を実施しました。

この調査では、全体の63.0%の中小企業が人手について「不足している」と回答しています。過去2年と比較すると、人手不足感は改善傾向にはありますが、依然として半数を大きく超えています。

さらに、その深刻度についての質問では「非常に深刻(事業運営に深刻な影響があり、廃業のおそれがある)」が4.2%・「深刻(事業運営に影響があり、今後の事業継続に支障が出るおそれがある)」が61.3%と、6割以上の企業が事業継続に不安を抱いていることがわかる結果となりました。

この調査からも、中小企業における人手不足の深刻度が明らかとなっています。

中小企業の人手不足における「賃金」の影響

同じ中小企業でも、人手不足を感じている企業もあれば感じていない企業もあるのが実情です。そこで、人手不足を感じている企業特有の要因について考えたとき、無視できないのが賃金の水準です。ここでは、低賃金が人手不足を招く実態と、中小企業の現状を解説します。

賃上げをした企業の多くが「人手は不足していない」

人手が不足していない理由

出典:株式会社 帝国データバンク[TDB]|特別企画:企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート|(2023年5月17日)

株式会社帝国データバンクが2023年に行った調査によると、「人手が不足していない」要因としてもっとも多かったのが「賃金や賞与の引き上げ」でした。複数回答ではありますが、半数を超える51.7%の企業に選択されています。

次点の「働きやすい職場環境づくり」が35.0%に留まっているところを見ても、人手不足解消における賃上げの有効性がわかります。

【2024年春闘から見る】中小企業における賃上げの厳しい現状

賃上げが人手不足解消に効果的な手段であることがわかったところで、注目したいのが中小企業における賃上げの実態です。

組合員数 定期昇給込み賃上げ計
平均賃上げ額 平均賃上げ率
〜99人 9,626円 3.98%
100〜299人 12,004円 4.62%
300人未満計 11,358円 4.45%

 

組合員数 定期昇給込み賃上げ計
平均賃上げ額 平均賃上げ率
300〜999人 14,032円 4.98%
1000人〜 16,362円 5.24%
300人以上計 15,874円 5.19%

2024年の春闘結果を見ると、大企業(従業員300人以上)の平均賃上げ率が5.19%だったのに対し、中小企業(300人未満)は4.45%に留まりました。

全体の賃上げ率は5.10%で、連合が目標とした「5%以上の賃上げ」は実現したものの、詳細を見ると企業規模によって明暗が分かれた結果となっています。

参考:日本労働組合総連合|33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について~

関連記事:【2024春闘】賃上げ率5.10%を達成!持続可能な賃上げ戦略とは

中小企業の賃上げを妨げる要因

さまざまな調査結果や春闘の結果から、大企業と比べて中小企業の賃上げが進んでいない現状が明らかとなりました。では、その理由とはいったいどのようなものなのでしょうか。

東京商工リサーチは、2024年2月に「賃上げに関するアンケート」を公開しました。同調査において「賃上げを実施しない」と回答した企業に対し、その理由を尋ねたところ「コスト増加分を十分に価格転嫁できていないため」がもっとも多く「原材料価格・電気代・燃料費などが高騰しているため」が続く結果となりました。

東京商工リサーチ賃上げしない理由-1

出典:東京商工リサーチ|~2024年度「賃上げに関するアンケート」調査~

価格への転嫁が困難

帝国データバンク|価格転嫁率

出典:株式会社 帝国データバンク[TDB]|価格転嫁に関する実態調査-価格転嫁の状況分析(2024 年 2 月・7 月比較)ー(2024年9月26日)

帝国データバンクが実施した価格転嫁に関する実態調査によると、2024年2・7月に行われた両調査において、コストの上昇分を販売価格に完全に転嫁できている企業はわずか2.5%に過ぎません。また、まったく価格転嫁できていない企業も6.6%存在します。

中小企業の場合、この傾向はさらに深刻です。中小企業の多くは、取引先との力関係により、コスト上昇分を自社で負担せざるを得ないのが実情だからです。その結果、従業員への賃上げに必要な原資が削られ、賃上げに踏み切れない状況が続く実態があります。

参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|価格転嫁に関する実態調査-価格転嫁の状況分析(2024 年 2 月・7 月比較)ー(2024年9月26日)

原材料費・エネルギー費の高騰

原材料費・エネルギー費が高騰すると、同じ売上を上げていても企業の利益は減少します。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックや、ロシアのウクライナ侵攻により、原材料やエネルギーの価格は世界規模で高騰しました。

さらに日本国内では、インフレによる物価高が拍車をかけ、企業の潜在的なコストは高止まりしています。これらのコスト増は、企業から賃上げの余力を奪う直接的な要因となっています。

非正規雇用の従業員の増加

政府の女性活躍推進や高齢者の就業促進策により、近年パートタイム労働者やアルバイトなどの非正規雇用が増加しています。これらの労働者は、正規雇用の従業員と比較して低い賃金水準で就労するのが一般的です。結果として、賃金水準を押し下げる効果をもたらしています。

特に中小企業では、人件費の抑制を目的として非正規雇用の従業員の割合を増やす傾向にあります。短時間勤務をはじめ、柔軟な勤務形態を希望する労働者のニーズと、コスト削減を目指す企業の思惑が一致した結果、賃金水準が抑制される構造が定着してしまっているのが実情です。

関連記事:中小企業の賃上げができない原因と解決策|助成金と福利厚生をチェック

最低賃金の引き上げ

政府の方針により、最低賃金の引き上げが継続的に行われています。厚生労働省の発表によると、2024年度の全国加重平均額は1,055円です。前年から51円増という、過去最高水準の上げ幅となりました。

最低賃金は都道府県ごとに異なり、もっとも高いのは東京都の1,163円、次いで神奈川県の1,162円です。さらに、大阪府の1,114円・埼玉県の1,078円・愛知県の1,077円と続きます。大都市圏ほど賃金水準が高い傾向にあることがわかる結果となっています。

一方、もっとも低いのは秋田県の951円でした。最高額の東京都とは実に212円の差です。

最低賃金の引き上げは、労働者の生活向上を図る上で重要ですが、中小企業にとっては大きな財政負担となります。特に、業績改善が見られない状況下での防衛的な賃上げを余儀なくされる企業も多く、経営を圧迫する要因となっています。

参考:厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

関連記事:東京都の最低賃金は全国最高の1,163円!推移と2024年最新情報

低賃金でも人手不足を解消!中小企業向け4つの人材戦略

賃上げは人手不足解消に効果的な手段ですが、それだけがすべてではありません。ここでは、賃上げが難しく、一般的に「低賃金」とされる企業にも実現可能な人手不足対策を紹介します。

自由度の高い働き方の整備

自由度の高い働き方の推進は、人材確保・定着の重要な鍵です。テレワークや時差出勤・短時間勤務・副業や兼業など、多様な働き方の選択肢を提供することで、シニア層や、子育て・介護に携わる従業員など、幅広い人材の活用が可能となります。

特に、高度な技術や豊富な経験を持つシニア人材の活用は、技術の継承や若手育成の観点からも重要です。

なお、2025年4月には「65歳までの雇用義務化」が控えています。これをきっかけに、シニア人材を最大限に活用する仕組みづくりを推進することが求められています。

関連記事:【社労士監修】定年延長とは?2025年の法改正と企業の準備・助成金を詳しく解説

外部人材の効果的な活用

人材を一から育てるには時間とコストが必要です。しかし、一定のスキルを持つフリーランスや副業人材などを雇用することで、即戦力の確保が可能です。

特に、IT関連をはじめとする高い専門性が求められる業種では、外部からの人材調達が人手不足解消の有効な選択肢になるでしょう。

ただし、外部人材の活用には、受入体制の整備や教育訓練の実施、コミュニケーション面での配慮など、適切なマネジメントが必要不可欠です。

明確な業務範囲の設定や、社内人材とのスムーズな連携体制の構築、キャリアパスの提示など、十分な環境や制度の準備が求められます。

リスキリングによるキャリア支援

「リスキリング」は、職業能力の再開発・再教育を指す言葉で、経済産業省では以下のように定義しています。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

出典:経済産業省|リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―

デジタル化が進む中、企業に必要な人材も変化しています。リスキリングを通じた従業員のキャリア支援は、企業の人的資本価値を高めるだけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながる重要な施策です。

関連記事:経済産業省が補助金を交付するリスキリングとは?定義やメリットも

福利厚生の充実

福利厚生の充実は、人材の採用・定着における重要な差別化要因です。

福利厚生には、健康保険や厚生年金保険のような、提供が企業の義務として定められている「法定福利厚生」と、企業が独自で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。

このうち「法定外福利厚生」は、提供が義務ではないだけに、充実させることで「従業員を大切にする企業」としての強力なアピールになります。

企業から大切にされていると感じられる従業員は、そうでない従業員に比べ、満足度やエンゲージメントが向上し、積極的に仕事へ取り組むのが一般的です。働きやすい環境が整うことによって求職者からの注目度も高まり、人手不足の解消も期待できるでしょう。

なお、主な法定外福利厚生としては「社宅の提供」「食事補助」「慶弔見舞金」「休暇制度」「余暇・レクリエーション」「メンタルヘルスサポート」などが挙げられます。

関連記事:福利厚生をまとめてチェック!導入メリットから課税についてまで網羅

日本一の実績を持つ食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」

法定外福利厚生の中でも、従業員の暮らしを直接サポートできる施策として、近年特に人気を集めているのが「食事補助」です。

たとえば、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、一定の条件下であれば食事代が半額になる食事補助の福利厚生サービスです。コンビニやファミレス・三大牛丼チェーン店など、全国25万店舗以上の加盟店で利用可能で、勤務時間内であれば、場所や時間の制限もありません。

また「チケットレストラン」は、一定の利用条件下で福利厚生費として経費で計上できます。これにより、企業の法人税が軽減されるほか、従業員にとっても非課税枠で運用できるため、賃金として同金額を支給するよりも、実質的な手取りを増やせます。

これらのメリットが高く評価され「チケットレストラン」は、コストを抑えながら従業員への還元が可能な福利厚生として、すでに3,000社を超える企業に導入されています。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

人手不足解消法は賃上げだけではない!中小企業の持続可能な人材戦略とは

中小企業の人手不足問題は、低賃金が大きな要因のひとつですが、賃上げだけが解決策ではありません。自由度の高い働き方の整備、外部人材の活用、リスキリング、そして福利厚生の充実など、多角的なアプローチによって効果的な対策が可能です。

特に「チケットレストラン」のような福利厚生は、コストを抑えながら従業員の実質的な処遇改善が図れる施策として従業員の満足度向上と企業の魅力アップに貢献します。これらの施策を組み合わせることで、コスト面での制約がある中小企業でも、持続可能な形で人材確保・定着を実現できるでしょう。

自社の実情に合わせた施策を取り入れ、持続可能な形での人材確保・定着を目指してはいかがでしょうか。

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