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【社労士監修】高齢者雇用に関する助成金一覧!パート・アルバイトにも活用

【社労士監修】高齢者雇用に関する助成金一覧!パート・アルバイトにも活用

2024.12.06

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

日本の労働市場において、高齢者の雇用促進は重要な課題です。本記事では、高齢者雇用に関する助成金制度をわかりやすく解説します。

主な高齢者雇用に関する助成金制度

政府が推進する高齢者雇用支援制度には、大きくわけて3つの柱があります。施策により、政府は高齢者の雇用機会の創出、雇用環境の改善、そして処遇の向上を総合的に支援しています。

高齢者雇い入れを支援

働き手と企業の橋渡しを担う「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」が該当します。高齢者の雇用維持、転職支援のバックアップ、新規採用時のサポートなど、高齢者の雇用創出にかかわる幅広い支援を展開しています。

雇用環境の整備を支援

高齢者が働きやすい環境をつくるための支援をする「65歳超雇用推進助成金」が該当します。働く環境の質的向上につながる以下のような内容をサポートする助成金です。

  • 定年を65歳以上に延長する企業
  • 高齢者向け職場環境の改善に取り組む企業
  • 有期契約から正規の従業員への転換を進める企業

関連記事:【社労士監修】令和6年度「65歳超雇用推進助成金」を徹底解説!申請方法も詳しく紹介

高齢者の処遇改善を支援

「高年齢労働者処遇改善促進助成金」が該当します。この助成金は60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善を実施する事業主を補助します。

以下は、高齢者雇用に関する助成金制度をまとめたものです。

助成金名 対象 支給額 助成内容 助成金名
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 60歳以上の高齢者を雇用する事業主 最大60万円(中小企業)

最大50万円(中小企業以外)

60歳以上の高齢者を雇用した場合に支給 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)短時間労働者 60歳以上の高齢者を短時間勤務(週20時間以上30時間未満)で雇用する事業主 最大40万円(中小企業)

最大30万円(中小企業以外)

60歳以上の高齢者を短時間労働者で雇用した場合に支給 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)短時間労働者
65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) 65歳以上への定年引上げ等を行う事業主 15万円〜160万円(対象被保険者数と引上げ年齢に応じて変動) 65歳以上への定年引上げ、定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入等を実施した場合に支給 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)
65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース) 高年齢者の雇用管理制度の整備等を行う事業主 経費の60%(中小企業)

経費の45%(中小企業以外)、上限50万円

高年齢者向けの評価・賃金制度の導入・改善、労働時間制度の導入・改善等を実施した場合に支給 65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース) 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換する事業主 1人あたり30万円(中小企業)

23万円(中小企業以外)

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合に支給 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)(60歳以上が対象)

ハローワーク等の紹介により就職された方の賃金の一部を、事業主に対して助成し、高齢者の継続的な雇用機会の創出を支援します。

対象労働者

60歳以上の高年齢者が対象です。

対象事業主

助成対象になるのは、対象労働者をハローワーク等の紹介により、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められる雇用保険適用事業所の事業主です。

支給額

中小企業で最大60万円、中小企業以外では最大50万円です。助成対象期間は1年で、2回にわけて支給されます。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の60歳以上の高年齢者 60万円

(50万円)

1年 30万円 × 2期

(25万円 × 2期)

60歳以上の短時間労働者の高年齢者 40万円

(30万円)

1年 20万円 × 2期

(15万円 × 2期)

※( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。

出典:厚生労働省|雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(改正入管法の施行に伴う改正)職業安定分科会(第 199 回)(令和5年11月21日)
出典:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

65歳超雇用推進助成金(65歳以上が対象)

生涯現役という高齢者の活躍を支援するため、65歳以上へと定年引上げ、高齢者の雇用管理制度の整備、高齢者の雇用を無期雇用労働者へと転換を行う事業主を助成します。助成金の種類は、3つです。

65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度のいずれかを導入を実施した事業主を助成します。

支給額

支給額は、措置の内容や年齢の引上げ幅などの実施内容により変わります。以下の表のとおりです。

【65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止】

人数 65歳 66〜69歳5歳未満の引上げ 66〜69歳5歳以上の引上げ 70歳以上 定年の定めの廃止
1〜3人 15万円 20万円 30万円 30万円 40万円
4〜6人 20万円 25万円 50万円 50万円 80万円
7〜9人 25万円 30万円 85万円 85万円 120万円
10人以上 30万円 35万円 105万円 105万円 160万円

【希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入 】

人数 66〜69歳 70歳以上
1〜3人 15万円 30万円
4〜6人 25万円 50万円
7〜9人 40万円 80万円
10人以上 60万円 100万円

他社による継続雇用制度の導入

措置内容 66〜69歳 70歳以上
支給上限額 10万円 15万円

※上記表の支給額を上限に、他社における制度の導入に要した経費の1/2額を助成します。

主な支給要件

以下支給要件を満たす他、努力義務である「高年齢者雇用等推進者の選任」および「高年齢者雇用管理に関する措置(※1)」を1つ以上実施している事業主である必要があります。

  • 制度を規定した際に経費を要した事業主であること。
  • 制度を規定した労働協約または就業規則を整備している事業主であること。

出典:厚生労働省|令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内

※1高齢者雇用管理に関する措置とは以下の対応です。

  • 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
  • 作業施設・方法の改善
  • 健康管理、安全衛生の配慮
  • 職域の拡大
  • 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
  • 賃金体系の見直し
  • 勤務時間制度の弾力化

出典:厚生労働省|高齢者の雇用促進に向けて【三重局版】

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者向けの雇用管理制度の整備等の措置を実施した事業主に対して、一部経費を助成します。対象となる措置の実施期間は1年以上です。以下に該当する措置が助成対象となります。

  1. 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善
  2. 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善
  3. 高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善
  4. 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入又は改善
  5. 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善
  6. 法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入 等

支給額

  中小企業 中小企業以外
支給上限額 60% 45%

支給額については、中小企業は経費の60%、中小企業以外では経費の45%を助成します。ただし、初回に限り中小企業では50万円、中小企業以外では22.5万円が経費とみなされます。

2回目以上の申請では、制度導入に関する委託費、コンサルタントへの相談などの費用と、措置の実施にかかった費用とを合計して50万円が経費の上限です。

主な支給要件

次の4つの要件を満たす必要があります。

  • 高齢・障害・求職者雇用支援機構に「雇用管理整備計画書」を提出し、計画の認定を受けていること。
  • 認定された計画に基づいて雇用管理整備を実施し、その実施状況および計画終了後6か月間の運用状況を記録した書類を保管していること。
  • 申請日の前日時点で1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者で、計画終了後も6か月以上継続して雇用されている者が1人以上いること。
  • 雇用管理整備の実施に必要な経費を申請日までにすべて支払っていること。

出典:厚生労働省|令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)

高齢者無期限雇用転換コース

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用に転換させた事業主に対して助成します。実施期間として2年〜3年が必要です。

支給額

対象労働者一人につき、中小企業では30万円、中小企業以外では23万円まで補助します。1事業所では、年度の合計が10人まで申請可能です。

  中小企業 中小企業以外
労働者一人当たりの支給額 30万円 23万円

出典:厚生労働省|令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内

主な支給要件

  • 有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度を、労働協約や就業規則等に明確に規定していること(※通算5年以内の有期契約期間であることと、実施時期が明示されていることが必要)
  • 上記の制度に基づき、50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること。(※無期雇用転換時に64歳以上の者は対象外)
  • 転換後6か月以上継続して雇用し、その期間の賃金を支給すること(※月の勤務日数が11日未満の月は、6か月の計算から除外)

出典:厚生労働省|令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内

高年齢労働者処遇改善促進助成金(60歳から64歳が対象)

60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善を実施することで支給される助成金です。就業規則等で高年齢労働者に対して賃金改定に取り組む事業主が対象です。

支給額

事業所に雇用される労働者にかかわる、賃金規定等改定前後を比較した高年齢雇用継続基本給付金の減少額に助成率に2/3(中小企業以外は1/2)を乗じた額が支給されます。

  中小企業 中小企業以外
労働者一人当たりの助成率 2/3 1/2

出典:厚生労働省|「高年齢労働者処遇改善促進助成金」をご活用ください

主な支給要件

以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 就業規則等に基づき賃金規定を改定し、すべての算定対象労働者の時給(毎月決まって支払われる賃金)を、60歳時点と比較して75%以上に増額すること。
  • 賃金増額後6か月間の高年齢雇用継続基本給付金の受給総額が、賃金増額前6か月間の受給総額と比較して減少していること。
  • 支給申請時点で、改定後の賃金規定等を継続して運用していること。

その他、雇用関係助成金共通の要件があるため、詳細は支給申請窓口へ問い合わせください。申請においては、「賃金規定等改定計画書」を作成し、管轄の労働局への提出と労働局長の認定も必要となります。

出典:厚生労働省|「高年齢労働者処遇改善促進助成金」をご活用ください

高齢者雇用に関する助成金はパート・アルバイトで使えるのか

高齢者雇用に関する助成金は、一定の条件を満たせばパート・アルバイトの就業形態でも利用できます。紹介した助成金の活用例をみてみましょう。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

60歳以上の高年齢者を短時間労働者として雇用した場合、中小企業の事業主は40万円、大企業の事業主は30万円の助成が受けられます。短時間労働者(1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の者)に該当し、継続して雇用が見込まれる場合は、パート・アルバイト従業員も対象です。

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、パート・アルバイトなどの有期契約労働者を無期雇用に転換する際にも活用できる制度です。50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者には、パート・アルバイトも含まれます。

待遇の変更はなく、無期契約にするのみで助成されることから、注目している企業も多い制度です。ただし、就業規則や雇用契約書の整備が必要となり、申請手続きは慎重に行う必要があります。

福利厚生で従業員満足度もアップ

高齢者を積極的に採用する企業で人気を集めているのが、食の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。食事代の支払いは、企業から配布されたICカードで決済するだけです。世代を問わず、誰でも簡単に利用できます。

チャージ金額の半分は企業負担のため、ランチ代が一定の条件下で実質半額になります。物価高が続く今「チケットレストラン」は従業員の家計の強い味方です。

パート・アルバイト従業員も対象に含まれるので、「今はこれほど便利なサービスがあるのか」とシニア層の従業員からも喜ばれます。働く意欲と満足度を高め、人材定着にも効果が期待できる時代にマッチした福利厚生といえるでしょう。

パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~

助成金を活用して高齢者の就労を促進

高齢者雇用に関する助成金制度は、企業規模や雇用形態、高齢者の年齢によって適用される制度や金額が異なります。年度ごとに内容が変更されたり廃止されたりすることも多いため、最新情報の確認は欠かせません。

積極的に助成金を活用し、高齢者の雇用促進と企業経営支援の両立を目指しましょう。また、アルバイト・パートの従業員も利用できる食の福利厚生「チケットレストラン」は、高齢者の就労意欲を高め、経済的な負担も軽減できる魅力的なサービスです。

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