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2030年問題が不動産業界に与える影響とその対策を解説!

2030年問題が不動産業界に与える影響とその対策を解説!

2024.06.13

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2030年問題により、日本社会の人口構造が大きく変化することが予想されており、その影響は不動産業界にも及ぶと考えられております。少子高齢化の進行や人口減少、テクノロジーの進歩など、社会経済情勢の変化に伴い、不動産市場のニーズも大きく変化していくでしょう。本記事では、2030年問題が不動産業界に与える影響とその対策を解説します。

2030年問題とは

2030年問題とは、日本社会に大きな影響を及ぼすと予想されている人口構造の変化と、その影響の総称のことです。少子高齢化に伴う人口減少と人口構造の変化により、雇用環境や年金制度などさまざまな分野で課題が生じると見込まれています。

不動産業界でも、2030年問題の影響を無視することはできません。国土交通省の報告書「不動産業ビジョン2030」によれば、不動産業界は次のような9つの重要な変化に直面するとされています。

  1. 人口減少による市場の縮小
  2. 高齢化の進行に伴う住宅ニーズの変化
  3. テクノロジーの進歩による業務プロセスの変革
  4. 環境意識の高まりによる持続可能性の重視
  5. グローバル化の影響による国際競争の激化
  6. 働き方改革による労働環境の変化
  7. 地方分散化の動きによる地域間格差の拡大
  8. 災害リスクへの対応強化の必要性
  9. 不動産投資に関する規制変更の可能性

こうした社会構造の大きな変化に適応し、新たなビジネスモデルを構築することが不動産業界に求められています。次にそれぞれ解説します。

出典:国土交通省|不動産業ビジョン2030

参考記事:2030年問題とは何かを簡単に解説。問題による影響や備えも確認

2030年問題が不動産業界に与える影響

国土交通省の報告書「不動産業ビジョン2030」で説明されている、不動産業界を取り巻く環境を参考に、2030年問題や未来の環境変化が不動産業界に与える影響を確認しましょう。

1.少子高齢化・人口減少の進展

少子高齢化による人口減少が不動産業界においてどのような影響を与えるのでしょうか。少子高齢化による人口減少と人口構造の変化が一層進行し、世帯のあり方も変容することについて解説します。

少子高齢化による人口減少

日本の人口は2008年をピークに減少に転じ、令和5年度の国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(出生と死亡中位)によると、2030年には約1億2,011万人、2065年には約9,614万人になると推計されています。15歳未満の人口と16〜64歳の生産年齢人口は大幅に減る一方、高齢者人口は増加すると予測されており、今後少子高齢化が急速に進展します。

出典:国立社会保障・人口問題研究所|日本の将来推計人口

世帯数の変化

世帯数についても確認しましょう。令和6年度の国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国)」によれば、「世帯の単独化」を背景とし引き続き2030年(令和12年)まで増加を続け、5,773万世帯がピークと予測されました。

2030 年 問題 不動産01出典:令和6年度の国立社会保障・人口問題研究所|日本の世帯数の将来推計(全国)

世帯構造の変化

世帯構造の変化も顕著です。「夫婦と子からなる世帯」は1985年をピークに減少傾向が続きます。世帯数が65歳以上の世帯は2050年まで継続的に上昇を続けると予測されました。2030年における65歳以上の世帯主である割合は38.8%、78歳以上では23.7%、85歳以上では7.9%と見込まれるなど、世帯の高齢化も進展する見込みです。

2030 年 問題 不動産02出典:令和6年度の国立社会保障・人口問題研究所|日本の世帯数の将来推計(全国)

2.空き家や空き地などの遊休不動産の増加・既存ストックの老朽化

空き家や空き地などの遊休不動産の増加、既存ストックの老朽化は、2030年頃には次のような深刻な問題を引き起こすと予想されます。

空き家問題の深刻化

令和5年に公表された総務省統計「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、2023年度の空き家数は900万戸と過去最高です。これまでの推移については、一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となりました。 とくに利活用されていない「その他の空き家」の割合についても、前回統計値の2018年と比較して37万戸と増加しています。このような、管理不全による空き家の荒廃が進めば、防犯、防災、衛生、景観などの面で深刻な問題が多発することが危惧されます。

空き地の増加と有効活用の遅れ

人口減少に伴い、土地需要が低迷し、空き地がさらに増加すると予測されています。国土交通政策研究所紀要第80号2022年の「増加する空き地の現状について」では、2008年から 2018年にかけて、632㎢から1,364㎢へと2倍以上に増加していることが示されています。

老朽化した空き地の増加は、雑草、ごみ問題、防災上の危険性など、地域環境の悪化を引き起こすかもしれません。公園化など空き地の有効化が遅れれば、土地が有効活用されない状態が続いてしまうでしょう。

2030 年 問題 不動産03出典:国土交通政策研究所紀要第80号2022年|増加する空き地の現状について(国土交通省「世帯土地統計」より作成)

老朽化した分譲マンションの増加

国土交通省の「マンションを取り巻く現状と課題」によると、築40年以上の老朽マンションが2031年末には249.1万戸を超えると推計されました。20年後の2041年末には、425.4万個に急増します。

高経年マンションは、大規模修繕が必要になることや、管理組合の高齢化などでその対応が困難になるケースが増えていることが問題視されています。また、オフィスビル、工場、公共施設の老朽化も深刻さを増し、建替えや大規模改修がさらに必要になるでしょう。巨額の維持管理費用の確保が課題です。

2030 年 問題 不動産04-1出典:国土交通省|マンションを取り巻く現状と課題

3.新技術の活用・浸透

インターネットなど情報技術の進展は、今現在でも不動産業界に大きな変化をもたらしています。ここでは、2030年の不動産業界が置かれる技術活用についても確認します。

不動産取引の効率化・利便性向上

新型コロナウイルス感染症流行などをきっかけに、オンライン内見や重要事項の説明など、実際に現地を訪れずに内覧や商談が可能になりつつあります。AIチャットボットの導入により、24時間365日の問い合わせ対応も実現しています。ブロックチェーンの技術の活用で、不動産取引の透明性が高まり、トラブル防止にもつながるでしょう。2030年には、インターネットやAIを活用した新技術への対応力がより一層求められます。

不動産ビジネスモデルの変容

リモートワーク需要の高まりから、オフィスは縮小しつつあります。遠隔地でも仕事ができるため、立地の重要性が低下しつつあるのです。近い将来、自動運転 、ドローン 、IoT、ロボット、AI、ビッグデータの活用 といった新技術が、生活スタイルを大きく変えると予測されます。

4.働き方改革の進展

2017年より政府が推進している「働き方改革」が着実に進展しており、「働き方改革実行計画」でロードマップとして掲げられた2026年という期限が近づいています。2030年には、非正規雇用者の労働格差の解消、労働者のモチベーション向上、育児や介護と両立できる労働制度などがより一層、実現していると考えられます。2030年には、働きやすい職場環境であることが前提になっていることが大切です。

出典:厚生労働省|働き方改革実行計画

5.グローバル化の進展

2030年には、大都市への人口集中が進むことで、アジア主要都市間の競争が一層激しくなると予想されます。さらに、外国人観光客や在留外国人の増加に伴い、新たな住宅需要の高まる可能性も高いです。

不動産業界にとっても、国際競争力の向上と、外国人の多様な住宅ニーズへの対応が重要な課題となってくるでしょう。都市間競争が激化する中で、外国人の受け入れ態勢の整備が、業界の発展につながる可能性があります。

6.インフラ整備の進展による国土構造の変化

2027年には、品川・東京間、2037年には名古屋・大阪間でリニア中央新幹線が開通を予定しており、三大都市圏間の移動時間が大幅に短縮されます。これにより、従来の常識を覆す新しいライフスタイルが実現するかもしれません。たとえば、デュアルライフ(二拠点生活)の選択肢が広がることが予測されます。

このようなライフスタイルの変化に対応するため、不動産業界では月々の契約制賃貸住宅や、サブスクリプション型の柔軟な居住スタイルなど、多様な住宅ニーズに適切に応えていく必要があります。

7.地球環境問題の制約

不動産業界では、地球温暖化対策が重要な課題となっています。2030年に向け、省エネ住宅やZEH(ゼッチ)(※)、低炭素建築物など、環境配慮型住宅の普及が求められているからです。気候変動へ長期的に取り組むため、持続可能な社会実現に向けた先進的な取り組みが業界に求められています。

※Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅のこと。

8.健康志向の高まり

不動産業界においては、高齢化の進展に伴い、健康志向や就労ニーズの高まりへの対応がますます重要になっています。

令和5年度版の高齢化白書によると、現在収入のある仕事をしている60歳以上の者については約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しており、70歳くらいまで又はそれ以上との回答と合計すれば、約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることがわかりました。先ほど解説した働き方改革の一環として、高齢者雇用の促進が求められます。

同時に、健康で快適な生活を送れる住環境やサービスの提供も実現しなければなりません。2030年の高齢化社会への備えとして、不動産業界を含め日本全体で高齢者の就労と健康面での支援が期待されています。

出典:内閣府|令和5年度版の高齢化白書

9.自然災害の脅威

不動産業界においては、気候変動に伴う自然災害の増加や、今後30年以内に大規模地震発生の高い確率が予測されていることから、防災・減災対策が重要な課題となっています。

住宅は人々の生活の基盤であり、安全で安心して暮らせる住環境づくりが不動産業界のコンセプトになるでしょう。災害リスクに適切に備えることで、人々の生命と資産を守ることが可能です。住宅の供給と管理において、災害に強い都市づくりに貢献することが期待されています。

不動産業界における2030年問題対策

不動産業界は2030年に向けて多様な課題に直面しています。国土交通省の「不動産業ビジョン2030」では、業界が果たすべき役割や対策が示されているため、不動産業界ではどのような対策が求められるのか資料を参考に解説します。

1.市場のニーズを充足

ここまでで解説したように、不動産業界の市場ニーズが変化していきます。そのためには、時代に応じたニーズを満たす必要があります。

快適な居住環境の提供

高齢化の進展に伴い、バリアフリー化やユニバーサルデザインに配慮した高齢者向け住宅、介護付き住宅の供給が必要となります。また、働き方改革の浸透に伴い、リモートワーク環境の整備も不可欠です。

人々の交流の「場」を創出

たとえ人口減少下であっても、地域コミュニティを維持することが大事です。集会施設や商業施設など、人々が集う「場」の確保が求められます。

各種不動産の提供で国の持続的成長を促進

産業用地、物流施設、観光施設など、経済活動の基盤となる不動産を提供することで、日本の持続的な経済成長を支える役割が期待されます。

2.各種サービスの充実

IT技術が飛躍的進展しているため、各種サービスもそれに合わせて充実させることが大切です。たとえば、IT活用によるサービス向上は必須でしょう。AI、IoTなどの新技術を活用し、効率的な不動産管理や個々のニーズを満たした住宅提案など、質の高いサービスを実現する必要があります。

3.政府の支援で課題に対応

政府の指針を理解し、その内容を実現させた不動産を提供することが大切です。政府による支援策が新設される場合もあるため、情報を見落とさないよう注意が必要です。

省エネ住宅の普及促進

地球温暖化対策として、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など省エネ住宅の普及拡大がかかせません。また、そのための政府の支援策、ZEH補助金も活用するようにしましょう。

防災・減災対策の強化

自然災害リスクの高まりに対応し、耐震化や防災まちづくりなど、災害に強い住宅・都市の形成が不可欠です。

4.そのほかの各種課題への対策

海外市場に目を向け、新興国の不動産需要を確実に取り込むため、海外事業の拡大も重要な課題です。制度面では、マンション管理の適正化、老朽化した住宅ストックの再生対策などの検討が求められます。また、住宅の「たたみ方」など不動産の出口戦略や、心理的瑕疵を巡る課題についても整備が必要とされています。情報基盤の強化として、不動産関連情報の充実化と個人情報保護の両立が課題です。

新たな取り組みとして、不動産分野での新技術活用方策の検討、高齢者や外国人による円滑な不動産取引の実現、国民向け不動産教育の推進、産学官連携による不動産政策研究、事業承継のあり方の検討、ESGに即した不動産投資の推進方策の検討などが挙げられています。

加えて、宅地建物取引士制度やインスペクション制度など、現行の不動産関連制度についても検証を行う必要があるでしょう。

「チケットレストラン」で働き方改革を実現

不動産業界では、従業員がフィールドワークをこなしながら営業活動を行うケースが多くあります。そうした業務スタイルに合わせられる働き方改革推進の取り組みとして、福利厚生に注目してみませんか。

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また「チケットレストラン」は、福利厚生費として計上が可能であることがメリットです。国税庁が定める条件である、「1人月3,500円(税抜)までの金額上限」と「従業員が同額以上の自己負担」を満たせば、法人税の控除対象となります。

働き方改革が進む中、このようなサービスを活用し、従業員がいつでも食事を確保できる環境を整備することは、企業の生産性向上や優秀な人材確保につながるでしょう。福利厚生の充実で、従業員の満足度アップと企業の発展が狙えます。

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高齢化社会に適切なサービスが必要

2030年問題を受け、不動産業界では、今後の高齢化社会の到来に向けて、バリアフリー化やユニバーサルデザインに配慮した高齢者向け住宅や、介護付き住宅の供給が求められます。働き方改革の浸透を受け、リモートワーク環境の整備なども重要な課題です。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生サービスの導入は、従業員の皆様の福利厚生を充実させ、満足度を高めることにもつながり、課題解決の一助となり得るため、導入を検討してみませんか。

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