2030年問題とは少子高齢化の進行に伴い、2030年に表面化すると考えられている社会問題の総称です。企業にはどのような影響が考えられるのでしょうか?今から2030年問題に向けてできる対策とともに紹介します。
2030年問題とは?わかりやすく解説
2030年問題とは少子高齢化が進行することで表れてくるさまざまな社会問題の総称です。
日本の少子高齢化はどんどん進行しています。総務省統計局の「人口推計」によると、2023年の総人口は1億2,435万2,000人です。このうち15~64歳の生産年齢人口は7,395万2,000人、65歳以上は3,622万7,000人でした。
生産年齢人口は今後減り続けていくと考えられています。「令和5年版高齢社会白書」によると、2030年には生産年齢人口が2022年より約400万人減り7,076万人に、高齢化率は30.8%になると予測されています。
少子高齢化が進むことで、働き手の減少・社会保険の費用負担や医療費の増加などが懸念されているのが2030年問題です。
参考:総務省統計局|人口推計(令和5年(2023年)10月確定値、令和6年(2024年)3月概算値)(2024年3月21日公表)
他の社会問題も確認
少子高齢化による影響が懸念されている社会問題は、2030年問題以外にも複数あります。ここでは2025年問題と2040年問題の概要を見ていきましょう。
団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで引き起こされる社会問題のことです。これにより社会保険の費用負担の増加が懸念されています。加えて働き手が不足するため、企業の人手不足も深刻さが増していくでしょう。
2030年問題への対策を実施するためにも、まずは2025年問題へ早急に対応する必要があります。
5人に1人が後期高齢者になる「2040年問題」
2040年問題とは団塊ジュニア世代が65歳を超えることで起こる社会問題のことです。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2040年の高齢化率は34.8%と予測されています。
少子高齢化に伴う社会問題という点では、2025年問題・2030年問題と同様ですが、さらに深刻度が増すという点が違いです。医療・介護・年金などの各種制度の持続性が懸念されています。
関連記事:2025年問題と2040年問題はどう違う?企業に必要な対策も解説!
2030年問題による影響
2030年問題により、企業がどのような影響を受けるのかも見ていきましょう。
深刻な人材不足
生産年齢人口の減少により、企業は深刻な人材不足に陥ることが予想されています。事業の維持や拡大には人材の確保が欠かせません。ただし生産年齢人口が減っているため、希望する人材の獲得は今より難しくなるでしょう。
また企業が存続するには、縮小していく国内市場だけでなく、海外市場への進出が欠かせません。人材不足に陥ると、海外進出のために必要な人材を確保できず、事業を縮小せざるを得ない悪循環に陥ることも考えられます。
事業を継続するための人材確保に、今より多くのコストが必要です。
経営状況の悪化
企業が活動を続けるには人材が不可欠です。深刻な人材不足で事業の継続に必要な従業員を確保できない場合、商品やサービスを「欲しい」という顧客がいても、十分な量を提供できない可能性があります。
仕事があっても引き受けられないことから、事業の縮小や売却・廃業などを検討しなければならないケースも起こり得る事態です。
2030年問題に向けて企業が備えるべきこと
2030年問題は、企業に人材不足や経営状況の悪化などの影響をもたらすと予想されています。懸念されている深刻な事態に対応するために、企業が実施すべき備えをチェックしましょう。
多様な働き方ができる制度の導入
ますます進行していくと予想される人材不足に対応できるよう、従業員が望む働き方で仕事を続けられる制度づくりが必要です。
勤務先に出社して9:00~18:00の間働く、といった働き方しか認めない場合、働き続けたくても続けられない従業員が出てくる可能性があります。
例えば育児中の従業員は、保育園のお迎えに合わせて帰宅しなければいけないため、18:00まで働くのは難しいでしょう。家族の介護を自宅で行っている場合には、自宅を離れるのが難しいこともあります。
テレワーク・フレックスタイム・時短勤務など、多様な働き方を可能とする制度を導入すると、従業員それぞれの事情に合わせた働き方が可能です。
スキルや経験を持つ従業員が、どのような状況でも働き方を変えて仕事を続けられる体制により、人材不足に対応しやすくなります。
リスキリング
リスキリングとは、これから必要となる新たな技術やスキルを習得することです。技術の進歩に伴い、人材が不足すると考えられる分野がある一方、このままでは人材が過剰となる分野もあります。
求職者数に対する求人数の割合を示す有効求人倍率をチェックすると、人材が過剰な職種をチェック可能です。2024年1月時点の「一般職業紹介状況(令和6年1月分)」であれば、「事務従事者」と「運搬・清掃・包装等従事者」は全体の有効求人倍率1.21も、求職者数と求人数が同数になる1も下回っており、求人が過剰になっていると分かります。
社内でもシステムの導入でバックオフィスの人材が過剰になることがあるでしょう。このときリスキリングを実施し、他部署へ異動することで人材不足に対応可能です。
参考:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年1月分)について
デジタル化やDX化
人材不足を解消する手段は採用や定着による人材確保だけではありません。デジタル化により業務効率化を進められれば、その分必要な人材が少なくなり、人材不足を解消できます。
またデジタル技術により事業構造や商品・サービスの付加価値向上などを実施するDX化も重要です。デジタル化やDX化を同時に推進することで、人材不足への対策とともに経営状況の改善にも取り組めます。
シニア世代の活用に向けた制度づくり
15~64歳の生産年齢人口が減り、65歳以上の人口が増える中、シニア世代の活躍も期待されています。時短勤務や通院のための休暇を取得できる制度などを導入すると、シニア世代の働きやすさを確保可能です。
「長年専業主婦で社会経験が少ない」という人や「退職後に数年のブランクがある」という人がチャレンジしやすいよう、研修制度の充実度を高めるのも効果的といえます。
福利厚生の充実度アップ
自社に必要な人材を確保するには、従業員が働きやすい環境を整えることもポイントです。働きやすい環境づくりには、福利厚生の充実度アップが役立ちます。
例えば食事補助を提供できるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入すれば、従業員の食事を企業がサポート可能です。一定の要件を満たして導入すれば、従業員の税負担を増やすことなく手取り額を上げられます。
その他にも、住宅手当や通勤手当など、従業員の負担を減らす福利厚生が人気です。喜ばれる福利厚生を導入することで、従業員の採用や定着に有利に働きます。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
2030年問題に備えよう
少子高齢化が進んでおり、2030年には高齢化率が30.8%になると予測されています。生産年齢人口の減少に伴い発生する、さまざまな社会問題の総称が2030年問題です。企業は人材不足や経営状況の悪化などの影響を受けることが予想されています。
2030年問題に備えるには、社内制度の整備や、デジタル化・DX化の推進、福利厚生の充実度アップなどの取り組みが必要です。今後も事業を継続していくには、早いタイミングで備えましょう。
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