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介護業界の人手不足の理由は?解決策や2024年に変わる介護報酬も

2023.11.02

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介護業界の人手不足は今後ますます進んでいくと考えられます。何が理由で起こっているのでしょうか?現状を把握した上で、2024年の介護報酬改定や、2025年問題の影響についても解説します。人手不足を解消するための対策も見ていきましょう。

介護業界が人手不足の理由

介護業界が人手不足に陥っているのは、高齢者が増加し、生産年齢人口が減少していることと関係しています。

2022年10月1日時点の人口ピラミッドを見ると、上下が細く中程にボリュームのあるつぼ型です。少子高齢化が進行していることを示す形状をしています。このような状況が、介護業界の人手不足にどのように関わっているのでしょうか?

人手不足 介護1

また職場の人間関係が離職につながる原因になっていることも、人手不足の理由の一つです。

参考:総務省統計局| 人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)結果の要約

高齢者の増加と生産年齢人口の減少

人口に占める65歳以上の高齢者の割合である高齢化率は、2022年10月1日時点で29.0%です。2020年からの割合を見てみると、年々高齢化率が高くなっているのが分かります。

西暦

高齢化率

2000年

17.4%

2005年

20.2%

2010年

23.0%

2015年

26.6%

2020年

28.6%

2022年

29.0%

また16歳~64歳の生産年齢人口は、1995年に8,716万人でピークを迎えてから減少中です。今後はますます少なくなっていくでしょう。介護業界にかかわらず、国内全体で人手不足が深刻化していく可能性があります。

人手不足 介護2

介護を受ける高齢者は増加し続けています。介護職員数も増え続けてはいますが、それ以上に需要が高まっているため、人手不足は進行するばかりで解消されません。

参考:内閣府|令和5年版高齢社会白書

職場の人間関係が原因の離職

介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査結果」によると、介護関係の仕事の離職理由の上位5位は以下の通りです。

離職理由

割合(全体)

職場の人間関係に問題があったため

27.5%

法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため

22.8%

他に良い仕事・職場があったため

19.0%

収入が少なかったため

18.6%

自分の将来の見込みが立たなかったため

15.0%

最も多い離職理由は「職場の人間関係に問題があったため」で、人間関係の悩みから離職を選ぶ人が多いと分かります。「収入が少なかったため」も4番目に多い理由ですが、人間関係の問題とは約9%の差があります。

離職が多く人手不足の事業所では、スムーズなコミュニケーションを取りやすくなるよう工夫すると、人材確保につながりやすくなるかもしれません。

参考:介護労働安定センター|令和4年度 介護労働実態調査結果

介護業界の人手不足は深刻

厚生労働省の「労働経済動向調査(令和5年2月)の概況」で、業界ごとの正社員の従業員の過不足感を見てみると、医療・福祉は産業全体での値を大幅に超えた63という値です。

以下の数値は労働者数が「不足」と回答した事業者の割合から「過剰」と回答した事業者の割合を差し引いた値で、数字が大きいほど正社員労働者の不足感が強いことを示します。医療・福祉は正社員労働者の不足感が最も強い業界と分かる数値です。

  • 産業全体:46
  • 医療・福祉:63
  • 建設業:56
  • 運輸業・郵便業:56
  • 学術研究、専門・技術サービス業:50
  • 情報通信業:49
  • 情報業:46
  • サービス業(他に分類されないもの):45
  • 生活関連サービス業・娯楽業 :44
  • 不動産業・物品賃貸業:41
  • 宿泊業・飲食サービス業:35
  • 卸売業・小売業:23
  • 金融業・保険業:18

介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査結果」からも、介護事業所の人手不足感が分かります。「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計は、事業所全体で66.3%です。

人手不足 介護3

過去5年間の不足感も60%代で推移しており、高い水準が続いている深刻な状態であると分かります。

人手不足 介護4

参考:厚生労働省|労働経済動向調査(令和5年2月)の概況|結果の概要
参考:介護労働安定センター|令和4年度 介護労働実態調査結果

実際にどれくらいの人手が不足するか

この先、実際にどれくらいの人手が不足するかを、2021年に厚生労働省が発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」をもとに見ていきましょう。

この資料によると2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護職員が必要になる見込みとされています。2019年の介護職員数約211万人を基準として、2025年に必要な介護職員数をクリアするには年間5万3,000人、2040年に必要な介護職員数をクリアするには年間3万3,000人の介護職員数の増員が必要です。

人手不足 介護5

また介護職員の人手不足は、都市部ほど深刻です。「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数(都道府県別)」をもとに、東京都と大阪府の介護職員の必要数と現状維持シナリオによる介護職員数の差を計算すると以下の通りです。

都道府県

2025年

2040年

東京都

3万949人

7万2,338人

大阪府

2万4,420人

6万7,539人

東京都も大阪府も数万人規模で介護職員が不足する見通しとなっています。人手不足が進行すると介護職員1人あたりの仕事量が増え、労働環境が悪化し、離職率が高まる可能性があるでしょう。さらに人手不足となれば、サービスの質の低下や経営状態の悪化にもつながりかねません。

参考:厚生労働省|第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
参考:厚生労働省|第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数(都道府県別)

2024年の介護保険制度改正と人手不足

介護保険制度改正は3年に1度のペースで行われており、次は2024年に行われる予定です。2024年の改正に向け、以下についての見直しが検討されています。

  • 福祉用具の貸与に関する介護報酬や貸与の見直し
  • 小規模法人の大規模化
  • 室料負担の見直し
  • 人員配置基準の見直し

人手不足と関連が深いのは、人員配置基準の見直しです。介護事業所では利用者数に対して配置しなければならない介護職員の人数が決まっています。これが人員配置基準です。

人手不足で介護職員を確保できないと、人員配置基準を満たせず、介護施設を運営し続けられなくなる可能性があります。しかし、2024年の改正により、人員配置基準が現状の3対1から、4対1といった状態に緩和されれば、施設の運営を継続しやすくなるでしょう。

一方で、介護職員1人に対する利用者数が増えれば、業務の負担は増加します。ITツールや介護ロボットなどの設備投資による業務効率化の推進が求められるようになるかもしれません。

2025年問題と介護業界の人手不足

2025年問題とは、人口の多い団塊の世代が75歳を迎え始めることで起こる社会問題のことです。社会保障費の負担増加や経済規模の縮小などの他に、介護業界の人手不足にも大きな影響を与えます。

高齢者が大幅に増えることで介護職員が増加していても、現場の人手不足は進行するでしょう。必要なタイミングで介護サービスを利用できない高齢者が出てくる恐れもあります。

介護業界の人手不足対策

介護サービスの需要の高まりに対し、介護職員は不足しています。このまま人手不足が進行すれば、「介護難民」「介護崩壊」とよばれる事態にもなりかねません。十分な人材を雇用し、人手不足を解消するための対策をチェックしましょう。

対策1:イメージアップの取り組み

リクルートの実施した『HELPMAN JAPAN』介護職未経験者・介護事業者に対する意識調査(2021 年度)で、「介護業界への就業をためらう理由」を介護職未経験者へ質問すると、「体力的にきつい仕事の多い業界だと思うから」「精神的にきつい仕事の多い業界だと思うから」「給与水準が低めの業界だと思うから」という理由が多かったそうです。人手不足 介護6

これらの先入観のみで「介護業界への就業・転職意向なし」と回答した人のうち、およそ10人に1人は、介護業界の就労実態を知ることで「介護業界への転職意向あり」に変化しました。適切なアピールによって、介護業界を目指す人材を増やせることを示す一例です。

厚生労働省でもイベント・テレビ・SNSなどを通して、多くの人が介護の仕事を理解できるよう「介護のしごと魅力発信等事業」に取り組んでいます。

介護事業所ごとの魅力発信も人材確保のポイントです。例えば介護職員が仕事を通して感じたやりがいや、利用者との関わり方のエピソードなどを伝えることで、事業所の魅力を知ってもらうきっかけになります。

参考:リクルート|『HELPMAN JAPAN』介護職未経験者・介護事業者に対する意識調査(2021 年度)

対策2:求人を掲載する媒体を変える

大手求人サイトへ求人を出せば応募が集まるというわけではありません。ポイントは介護の仕事に興味を持っている人材が多く集まる媒体へ掲載することです。例えば介護の仕事に特化した求人サイトを利用するとよいでしょう。

人材派遣業者を利用する方法もあります。求人で必要な人手が集まらないときに紹介を受けられるよう、あらかじめつながりを作っておくのが有効です。

対策3:外国人材の受け入れ

人手不足を解消する方法として、外国人材の受け入れを検討してもよいでしょう。雇用できる在留資格には4種類あり、それぞれ特徴が異なります。受け入れの仕組みも異なるため、要件について詳細を確認した上で、期待する活躍に合致する在留資格の人材を採用しましょう。

  • 特定技能1号:人手不足へ対応する目的での受け入れ
  • 技能実習:本国へ技能移転する目的での受け入れ
  • 在留資格「介護」:専門的・技術的分野の外国人材の受け入れ
  • 特定活動(EPA介護福祉士):二国間の経済連携を目的とした受け入れ

外国人材を受け入れる場合には、定着に向けて事業所側で受け入れ態勢を整えることも重要です。文化や信仰を尊重できるよう、現場で協力し合う体制作りに取り組みましょう。

対策4:介護の資格取得サポート

介護職員のキャリア形成を支援するために、介護福祉士の資格取得に対するサポートを実施するのも有効です。介護の仕事は保有している資格によって、行える業務の幅や待遇が異なります。介護職員の待遇アップにもつながる取り組みです。

例えば介護福祉士の取得を目指す場合、ルートは複数あります。福祉系高校や養成施設を卒業していない場合には、実務経験3年以上で目指せる実務経験ルートを選ぶ人が多いでしょう。

実務経験ルートで介護福祉士を取得する場合、初任者研修や介護職員基礎研修を修了しているかどうかで、3~12万円を目安とした費用がかかります。この費用を資格取得手当として介護事業所で負担すれば、介護福祉士を目指す人材が集まりやすくなるかもしれません。

「介護職員のキャリアをサポートする事業所である」という求職者へのアピールにもつながります。

対策5:働きやすい環境の整備

介護職員が働きやすい環境を整えることも、人手不足解消に役立つ取り組みです。例えば休暇制度が整っており、必要なときに取得できる体制があれば、結婚・出産・闘病・家族の介護などの変化があっても働きやすく、離職を避けられる可能性があります。

また新しく介護職員が入職したとき、未経験者であれば実技に不安を覚えるのは当たり前です。このようなときに適切な教育やフォローを実施できる体制が整っていれば、安心して仕事に取り組めるため、定着につながりやすくなります。

最近では10人前後の小グループを固定スタッフがサポートする「ユニットケア」を取り入れる事業所も増加しています。集団ケアでは介護職員は全体のスケジュールに合わせて利用者のケアをしなければいけません。ユニットケアではユニットごとに利用者の希望を尊重したケアに取り組めます。

小規模のユニットごとに業務に取り組むため、アイデアを実行に移しやすく、やりがいを実感しやすいでしょう。介護職員同士の良好な人間関係の構築にも役立つといわれています。

対策6:ITツールや介護ロボットの活用

ITツールの活用による業務効率化の取り組みは、介護職員の働きやすさにつながります。例えばスマートフォンやタブレットを使った研修や介護記録の共有ができれば、教育や記録の作成にかかる時間を短縮可能です。

介護職員の離職理由に多い人間関係の問題も、組織の課題を把握できるマネジメントツールの導入で改善できるかもしれません。

ほかにも、介護ロボットの導入も人手不足の解消に役立ちます。身体的介助をサポートする介護ロボットを導入すれば、介護職員の体への負担を軽減でき、腰痛といった不調を原因とした離職を減らせるかもしれません。

見守り支援を行う介護ロボットや、歩行リハビリ支援ツールの導入により、介護サービスの質の向上につながった事例もあります。

働きやすさアップに役立つ「チケットレストラン」

介護職員の働きやすさアップには、福利厚生を充実させる取り組みも役立ちます。手軽に導入できる福利厚生として、食事補助サービスの「チケットレストラン」がおすすめです。

全従業員が平等に使える

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国に25万店舗以上ある加盟店で食事を購入できる福利厚生サービスです。シフト制で休憩時間が一人ひとり異なる場合や、全国に介護事業所がある場合にも、全従業員が平等に使えます。

導入した職場では、休憩時間のタイミングが合う職員同士でランチに誘い合ったり、上司が部下へ飲み物をおごったりするケースもあるそうです。コミュニケーションのきっかけになり、職場の人間関係改善にもつながるサービスといえます。

介護業界の導入事例|株式会社ハートコーポレーション

企業名:株式会社ハートコーポレーション
事業内容:介護・高齢者施設の運営・経営
従業員数:281名(2023年7月時点)
URL:http://www.heartco.jp/

株式会社ハートコーポレーションでは、給与以外の方法で介護職員へ還元できる方法がないか探していた当時、職員の多くは出勤前にコンビニで食事を買っていることが分かりました。その費用をサポートできるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全職員が満足できるサービスとして大変好評でした。

補助が出ることでプチ贅沢を味わえるようになり、ちょっとしたストレス発散や、職員同士のコミュニケーションのきっかけにもなっているそうです。

また他に導入している介護事業所が少ないことから、人材確保において同業他社との差別化にもつながっています。

関連記事:株式会社ハートコーポレーション

介護業界の人手不足解消に「チケットレストラン」を役立てよう

介護業界の人手不足は深刻な状況です。高齢者の増加による需要の高まりから、介護職員数が増加しているにもかかわらず、常に人手が足りていません。何も対策をしなければ、利用者が集まっていても、人手不足から介護事業所の運営が立ち行かなくなる可能性もあります。

人手不足解消にはイメージアップのためのアピールや、資格取得のサポートなどが有効です。加えて福利厚生の充実度アップによる働きやすい職場作りにも取り組むとよいでしょう。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」で食事補助サービスを導入し、職員の定着に役立っている事例もあります。全職員が平等に利用できる福利厚生サービスを、人手不足解消に役立てませんか。

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