福利厚生の充実は、中小企業が人材定着や業績向上を目指す上で重要なポイントです。中でも近年注目を集めているのが食の福利厚生で、社員食堂や関連するサービスを検討する企業は年々増加傾向にあります。
従業員にとって魅力ある企業であり続けるために、企業側が知っておきたい情報を整理していきましょう。
福利厚生を充実させるメリット
福利厚生の提供には一定のコストがかかります。にもかかわらず、多くの企業が充実した福利厚生の提供を目指すのはどういった理由からなのでしょうか。
まずは、福利厚生を充実させることで企業が得られるメリットから確認していきましょう。
人材の安定的な確保
少子化が進む現代日本では、今後ますます人材確保が困難になっていくと考えられています。
また、価値観やライフスタイルの変化に伴い、キャリアアップのための転職も一般的なものとなりました。正社員として雇い入れた人材が、長期的に在籍するとは限らないのが現状です。
とはいえ、人材なくして企業の継続、発展はかないません。人材の安定的な確保は、多くの企業にとって喫緊の課題といってよいでしょう。
では、人材にとって魅力的な企業となるにはいったいどうしたらよいのでしょうか。
「リクルート 就職みらい研究所」は、学生調査モニターの大学生・大学院生を対象に行った『就職プロセス調査(2023年卒)「2022年12月1日時点 内定状況」』の中で、「就職先を確定する際に決め手となった項目」について質問しています。
この結果、もっとも多かったのが「自らの成長が期待できる」、次いで「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」となりました。
このうち福利厚生の充実は、企業側が独自に行える人材確保のための施策です。従業員にとって魅力的な企業となることで、新たな人材の確保はもちろんのこと、既存従業員の離職防止も期待できるでしょう。
従業員エンゲージメントの向上
従業員が企業に対して抱く貢献意欲や愛着を「従業員エンゲージメント」といいます。
従業員エンゲージメントが高い企業とは、すなわち従業員一人ひとりの「もっと会社に貢献したい」「成果を上げたい」との気持ちが大きい企業です。
従業員エンゲージメントを高めることにより、企業は以下に挙げるメリットを得られるとされています。
- 従業員一人ひとりの仕事に対するモチベーションが高まる
- 従業員同士の関係性が良くなる
- 職場の雰囲気が良くなる
- 業績向上が期待できる
- 顧客満足度が高まる
各従業員が前向きに業務に取り組めば、作業効率もおのずと高まります。企業への帰属意識や従業員間の連帯感も強まり、品質やサービスの向上、ひいては顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
充実した福利厚生を用意することは、「従業員を大切にする企業」としての姿勢を示す意味で、従業員エンゲージメントの向上に役立ちます。長期的な視点で見てみると、コスト以上の利益をもたらす可能性も十分考えられるでしょう。
企業イメージの向上
福利厚生の充実を通じたポジティブなアピールは、企業イメージの向上にもつながります。
前述のとおり、充実した福利厚生は、「従業員を大切にする企業」としての強力なアピールになります。
このポジティブな効果は、企業内だけに留まるものではありません。企業外へと伝わることで企業イメージが向上し、企業価値を高める効果も期待できるでしょう。
特にインターネットが発達した現代では、企業の業績向上とイメージ戦略とは切っても切れない関係にあります。企業にまつわるポジティブな話題もネガティブな話題もたちまち拡散され、株価や消費者の消費行動に大きな影響を与えているのが現状です。
たとえば、同じサービスを同じ価格で提供する2社の企業のうち、一方は企業イメージが良く、もう一方は悪かった場合、投資家や消費者が選択するのは基本的に前者です。
充実した福利厚生を用意することにより企業イメージが向上し、結果として業績の向上が期待できるでしょう。
節税効果
福利厚生を充実させればさせるほど、企業のコストは増大します。特に規模の小さい中小企業にとって、コスト増は大きな懸念となるでしょう。
一方で、福利厚生費として計上された費用は、会計上「損金(経費)」として扱われます。企業の利益から除外されるため、法人税の節税が可能となるのです。
同時に、福利厚生として提供された手当やサービスは非課税枠を活用できるため、課税対象となりません。これにより、従業員は同額を給与として受け取るよりも多くの手取りを受け取ることができます。
企業側・従業員側それぞれに節税効果を期待できるのが福利厚生と言えそうです。
賃上げの代替策として

出典:「第3の賃上げ」実態調査2026を公開。約8割が、賃上げに加え「福利厚生の充実も重要」と実感。「第3の賃上げ」は、従業員の生活と企業の競争力を支える経営戦略へ
物価高が深刻化する近年、減少が続く実質賃金を補い、従業員の生活を抜本的にサポートする手段として、実質手取り額を増やす賃上げ機運が高まっています。
賃上げを望む従業員の声も高まりを見せており、「#第3の賃上げアクション※」が2025年12月に実施したアンケート調査『「第3の賃上げ」実態調査2026』では、「物価高の中、賃上げは”当然”という意識は強まりましたか」との問いに対し、約9割にあたる87.9%が「そう思う」と回答しました。
とはいえ、不安定な社会情勢の中、大幅な賃上げは現実的ではありません。特に原資に制限のある中小企業にとって、大きなコストとなる賃上げは企業経営の視点から見ると諸刃の剣です。
そこで注目を集めているのが福利厚生です。
同じく「#第3の賃上げアクション※」の調査では、「賃上げだけでなく、福利厚生の充実も重要と感じるようになった?」との問いについて約8割(78.4%)が「そう思う」と回答しました。
非課税枠を活用できる福利厚生の充実は、実質的に賃上げの代替策としての効果も期待できるのです。
こうした実質的な手取りアップがかなう福利厚生などを活用した賃上げは、「第3の賃上げ」としてメディアでも多く取り上げられるなど、注目度を高めています。
※食事補助サービス「チケットレストラン」を提供する株式会社エデンレッドジャパン、「freee福利厚生 ベネフィットサービス」を展開するフリー株式会社、旅行特化型福利厚生「リゾートワークス」を運営する株式会社リゾートワークスの3社が展開する、福利厚生を通じた“実質的な手取りアップ”に貢献する「第3の賃上げ」を社会に広める取り組み
「食の福利厚生」が注目される理由
多くの企業が取り組む福利厚生ですが、中でも特に注目度を高めているのが「食」にまつわる福利厚生です。
数ある福利厚生の中で、「食の福利厚生」がことさら注目されるその背景にはいったい何があるのでしょうか。
従業員の要望を満たせていないから

出典:エデンレッドジャパン|「働き方・待遇に関する意識調査」
エデンレッドジャパンが2020年10月に公開した「働き方・待遇に関する意識調査」によると、全国の中小企業に勤める30〜50代男女のうち、半数以上にあたる53.1%の人が、「転職先に導入されていてほしい福利厚生」として「食事補助」と回答しています。
また、『「第3の賃上げ」実態調査2026』によると、導入されて嬉しい「第3の賃上げ(福利厚生)」として、「食事補助」が61.1%と、他を大きく引き離して最多となりました。
出典:「第3の賃上げ」実態調査2026を公開。約8割が、賃上げに加え「福利厚生の充実も重要」と実感。「第3の賃上げ」は、従業員の生活と企業の競争力を支える経営戦略へ
なお、令和8年度税制改正によって、令和8年中に従業員1人あたりの補助額上限が月3,500円から7,500円へ引き上げられる予定です。この改正も食事補助の注目度が高まる一因となっています。
新たな福利厚生の導入を検討するにあたり、まず「食の福利厚生」に注目するのは理にかなっていると言えそうです。
食費を負担に感じる人が多いから
エデンレッドジャパンが行った「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、「節約を意識する項目」としてもっとも多かったのは「食費(73.1%)」でした。次点が「光熱費(49.9%)」、「日用品費38.9%」と続きます。
注目したいのが、食費とその他の項目とのポイント差です。多くのビジネスパーソンにとって、食費の負担が深刻であることが改めて分かる結果となりました。
多くの企業が食の福利厚生の導入を検討しているのも、ごく当然流れといえそうです。
参考:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」
健康経営への注目度の高まり
近年、厚生労働省の推奨により、「健康経営」に取り組む企業が増えてきました。厚生労働省は、健康経営について以下のように解説しています。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上など、組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
人の健康を考える上で、食事は欠かせない大切な要素です。「食の福利厚生」を通じて健康経営を実践し、長期的に組織の活性化や業績向上を目指すのも、重要な企業戦略の1つと言えるでしょう。
中小企業が取り組みやすい「食の福利厚生」は?
食事補助は提供方法によってコストや運用の負担が異なります。代表的な4つの形態を比較してみましょう。
| 提供形態 | 特徴 | 向いている企業 |
| 提供型(社員食堂) | 社内に厨房を設置し、温かい食事を提供 | 大規模拠点・製造業 |
| 設置型(オフィスコンビニなど) | 冷蔵庫等に惣菜などを常備。管理は業者が行う | オフィス勤務中心 |
| 宅配型(宅配弁当) | 外部業者が配送。個人発注・決済も可能 | 注文がまとまる企業 |
| 食事券(チケット)型/代行型 | 街の飲食店やコンビニで利用。運用負担ゼロ | 多様な働き方の企業 |
1. 提供型(社員食堂)
安価で温かい食事を提供でき交流促進に役立ちますが、数千万円単位の初期投資や場所の確保、維持費など、多くの中小企業にとっては導入ハードルが高い形態です。
関連記事:【福利厚生の社員食堂:まとめ】意義やメリット・デメリットを一挙に紹介
2. 設置型(オフィスコンビニなど)
オフィス内に冷蔵庫等を設置し、惣菜や軽食を常備します。商品の補充や賞味期限の管理、代金回収などは基本的に業者が行うため、企業側の管理負担を抑えて導入可能です。
関連記事:設置型社食のメリット・デメリット。従業員が求める食事に関する福利厚生は?
3. 宅配型(宅配弁当)
外部業者がお弁当をオフィスへ配送します。近年は従業員が個別に注文・決済できるサービスも普及しており、事務負担なく利用できます。配送エリアの制限や、外出・在宅者が利用しにくい点には注意が必要です。
関連記事:【2026年最新】宅配社食のメリット・デメリットを徹底解説!費用相場や人気のサービスも
4. 食事券(チケット)型/代行型
提携する飲食店やコンビニで利用できるICカードやアプリ決済の形態です。勤務場所や時間に縛られず、外勤・在宅を含む全従業員に公平に提供でき、物理的な運用が一切発生しないため、中小企業で最も導入しやすい方法です。
関連記事:福利厚生に迷ったら「チケット型食事補助」|仕組みやメリットを徹底解説!
エデンレッドジャパン「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、一定の要件を満たすことによって従業員の食事代を補助できる、代行型の福利厚生サービスです。
「チケットレストラン」を導入した企業の従業員は、全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できます。加盟店のジャンルはコンビニ・ファミレス・カフェ・三大牛丼チェーンなど幅広く、勤務時間内にとる食事の購入であれば利用する時間や場所を選びません。そのため、出張中やリモートワーク、夜勤などの従業員も平等に利用できます。
さらに、運用に必要なのは月に一度の一斉チャージのみと、バックオフィスの負担が少ないため、人員に限りのある中小企業でも無理なく導入可能です。
こうしたメリットが広く注目を集め、すでに4000社を超える企業に導入されるサービスとなっています。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
「食の福利厚生」に取り組む際の注意点
従業員へ提供する福利厚生を非課税の福利厚生費として処理するためには、クリアしなければならないいくつかのポイントがあります。「食の福利厚生」に取り組むにあたっての注意点を確認していきましょう。
全従業員を対象とする
福利厚生の要件の1つに、「全従業員を対象にする」というものがあります。
これは、「同一労働同一賃金」の原則によるものです。正社員と同様の業務に従事する従業員に対しては、福利厚生についても正社員と同様に提供しなければなりません。
もしも、一部の従業員に限定して福利厚生を提供した場合、福利厚生としては認められない可能性が高いため注意が必要です。
現金では支給しない
「現金では支給しない」ことも、福利厚生として認められるために欠かせない要件の1つです。
福利厚生では、慶弔見舞金など一部の例外を除き、現金以外での支給が求められています。これは、本来の目的以外のものに使用されるのを防ぐための措置です。
例えば、企業から渡された現金で従業員が食事をした場合、たとえそれが提携店舗であったとしても福利厚生の対象にはなりません。
福利厚生として計上するのであれば、従業員に直接現金を渡すのはNGと心に留めておく必要がありそうです。
規定内の金額に収める
「食の福利厚生」は、「規定内の金額に収める」ことも必要です。
国税庁は、非課税で食事補助を提供するための要件を以下のように定めています。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円※(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
例えば、1カ月の昼食代が8,000円の従業員の自己負担額が4,000円だった場合、(1)には該当するものの(2)には該当しないため、非課税での処理はできません。8,000円から自己負担分4,000円を引いた4,000円が給与として課税対象となります。
※「令和8年度税制改正の大綱」にて、上限を3,500円から7,500円へ引き上げる政府の方針が示されました。上限金額は2026年中に変更される予定です。
中小企業の福利厚生にまつわるよくある質問
Q. 予算が限られている中小企業は、どのような福利厚生から導入すべきですか?
A. 「利用率」が高く、かつ「実質的な手取り額」を増やせる制度から優先するのが鉄則です。
一部の人しか使わない施設割引や、コスト負担の重い住宅手当などよりも、全従業員が毎日恩恵を受けられる「食事補助」のような制度の方が、投資対効果(従業員満足度)が高くなります。特に2026年の税制改正により非課税メリットが拡大した制度を活用すれば、コストを抑えた導入が可能です。
Q. 多様な働き方(外回り・在宅・現場等)がある中で、不公平のない制度を作るには?
A. 特定の施設や場所に縛られない「チケット型/代行型」のサービスが有効です。
オフィス出社を前提とした設備型(食堂など)の福利厚生は、外勤者や在宅勤務者に恩恵が届きにくい課題があります。街の飲食店やコンビニ等、どこでも利用できる外部サービスを導入することで、職種や勤務形態を問わず全従業員へ公平にメリットを提供できます。
Q. 福利厚生を導入すると、担当者の事務作業はどのくらい増えますか?
A. 外部の専門サービスを活用すれば、社内での在庫管理や複雑な集計業務はほぼ不要です。
自社で制度をゼロから運用しようとすると負担が増えますが、専門の代行サービス(食事補助カード等)を利用すれば、運用作業は月1回のデータ確認や入金程度で完結します。人員の限られた中小企業でも、本業に支障をきたさずスムーズな運用が可能です。
企業規模に合った「食の福利厚生」の提供を
福利厚生の提供には、人材確保や企業イメージの向上など、たくさんのメリットがあります。中でも「食の福利厚生」は、社会情勢の影響もあって注目度が高く、導入を検討する企業が少なくありません。
とはいえ、「食の福利厚生」の定番である社員食堂は、場所の確保や莫大な導入・維持費用がかかるため、多くの中小企業にとって現実的ではありません。企業体力を踏まえ、企業規模に見合った福利厚生を検討する必要があるでしょう。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などのサービスを参考に、自社にぴったりの「食の福利厚生」を検討してみてはいかがでしょうか。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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