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【2025年版】法定福利費とは|計算方法・保険料率・福利厚生費との違いを徹底解説

【2025年版】法定福利費とは|計算方法・保険料率・福利厚生費との違いを徹底解説

2021.06.29

法定福利費とは、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険など、法律で企業に負担が義務づけられている費用のことです。人件費の約15%を占める大きな固定費ですが、「どの金額に何を掛けるのか」計算方法が分かりにくいという声も少なくありません。本記事では、2025年最新の保険料率をもとに、標準報酬月額を用いた具体的な計算方法、賞与の処理、会計処理まで、実務で使える知識を徹底解説します。

法定福利費とは?まず押さえたい基本と役割

法定福利費とは、健康保険や厚生年金保険など、企業に対し法律で負担が義務づけられている費用をいいます。まずは、2025年度(令和7年度)の最新保険料率に基づき、各項目の概要と企業負担の実態を見ていきましょう。

項目 保険料率
(合計)
事業主
負担
従業員
負担
備考
健康保険料 都道府県・組合により異なる 約半分 約半分 労使折半。協会けんぽは都道府県別、健康保険組合は組合別に料率設定
厚生年金保険料 18.3% 9.15% 9.15% 労使折半。平成29年9月以降固定
介護保険料(40歳以上) 都道府県・組合により異なる 約半分 約半分 労使折半。協会けんぽは1.59%(令和7年3月分から)、健康保険組合は組合ごとに異なる
雇用保険料(一般事業) 1.45% 0.90% 0.55% 令和7年4月1日から料率引き下げ
労災保険料 業種により異なる 全額 なし 全額事業主負担
子ども・子育て拠出金 0.36% 全額 なし 全額事業主負担

法定福利費の定義と項目

法定福利費は、従業員の病気やケガ、失業、老後などのリスクに備える社会保障制度を支える財源となる費用です。従業員のセーフティーネットの役割を果たす制度であるため、従業員を雇用する企業は加入・納付する義務を負います。

法定福利費の主な構成要素は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労災保険料・子ども子育て拠出金の6つです。

経団連の調査によると、2019年度の法定福利費は従業員1人あたり月平均84,392円でした。現金給与総額比15.4%を占めており、企業の人件費における大きな固定費となっています。なお、重要なポイントとして、法定福利費は企業負担分・従業員負担分ともに全額非課税です。

以下、各法定福利費について詳細を解説します。

参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|2019 年度福利厚生費調査結果の概要

健康保険料

健康保険料は、従業員の病気やケガの医療費を保障する制度で、協会けんぽまたは健康保険組合のいずれかに加入します。協会けんぽの場合、保険料率は都道府県ごとに異なり、各地域の医療費水準に応じて毎年改定されます。令和7年度の全国平均は10.00%で、負担は労使折半です。

都道府県別の料率には地域差があり、令和7年度では東京都が9.91%、大阪府が10.24%となっています。全国でもっとも高いのは佐賀県の10.78%、もっとも低いのは沖縄県の9.44%で、その差は1.34ポイントに達します。この地域差は、医療費の使用状況や健康増進への取組実績などが反映された結果です。

一方、健康保険組合に加入している場合は、組合ごとに独自の保険料率が設定されるため、協会けんぽとは異なる料率体系となります。企業は自社が加入している保険者の保険料率を正確に把握し、給与計算に反映させる必要があります。

参考:協会けんぽ|全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます

介護保険料

介護保険料は、40歳以上65歳未満の従業員が負担する保険料で、高齢者の介護サービスを支える財源となります。協会けんぽでは全国一律の保険料率が適用され、令和7年3月分(4月納付分)から1.59%に改定されました。前年度の1.60%から0.01ポイント引き下げられたものの、長期的には高齢化の進行に伴い上昇傾向が続いています。

介護保険制度の保険料率は、2000年に創設された当初0.60%でした。しかし、制度開始から25年が経過した現在では約2.7倍に上昇しています。特に、令和5年度には過去最高の1.82%を記録しており、今後も65歳以上の高齢者人口の増加や介護サービス利用者の拡大によってさらなる保険料率の上昇が見込まれています。

参考:協会けんぽ|全国健康保険協会|協会けんぽの介護保険料率について

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、従業員の老後の年金給付を保障する制度で、全国一律18.3%の保険料率が適用されます。労使折半で負担するため、企業負担分は9.15%、従業員負担分も9.15%です。平成16年から段階的に引き上げられてきた保険料率は、平成29年9月に18.3%に達して以降固定されています。

厚生年金保険料は、法定福利費の中でもっとも負担が大きく、企業にとって固定費の大部分を占める項目です。賞与に対しても同率の18.3%が適用され、標準賞与額(1カ月あたり上限150万円)に保険料率を乗じて計算します。

料率が固定されているため、毎年の改定確認は不要ですが、標準報酬月額の上限は令和9年から段階的に引き上げられる予定です。高額所得者を雇用する企業では、今後の負担増に注意が必要です。

参考:日本年金機構|厚生年金保険料額表
参考:厚生労働省|年金制度改正法に関する広報について

雇用保険料

雇用保険料は、従業員の失業時の給付や育児休業給付などを保障する制度です。一般事業の場合、令和7年度は、令和6年度の1.55%から0.10ポイント引き下げられ、1.45%の料率が適用されています。このうち事業主負担が0.90%、従業員負担が0.55%と、負担割合が明確に分かれているのが大きな特徴です。

雇用保険料率は、雇用情勢や雇用保険財政の状況に応じて年度ごとに見直されるため、毎年4月の改定確認が欠かせません。業種によっても料率が異なり、農林水産・清酒製造業は1.65%、建設業は1.75%となっています。

また、週所定労働時間が20時間以上の短時間労働者も加入対象となるため、パートやアルバイトを多く雇用する企業では、対象者の正確な把握と保険料計算が重要です。

参考:厚生労働省|令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内

労災保険料

労災保険料は、業務中や通勤中の事故による傷病を補償する制度で、全額事業主負担です。

保険料率は、労働災害リスクの高低によって大きく異なり、もっとも高い「金属鉱業・非金属鉱業・石炭鉱業」は8.8%、もっとも低い「通信業」「金融業」「原油天然ガス鉱業」などは0.25%と、業種間で約35倍の差があります。

企業は自社の業種コードを正確に把握し、該当する料率を適用しなければなりません。労災保険料は賃金総額に料率を乗じて計算するため、人件費が増えれば保険料も比例して増加します。

参考:厚生労働省|令和7年度の労災保険率について(令和6年度から変更ありません)

関連記事:福利厚生をまとめてチェック!導入メリットから課税についてまで網羅

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、児童手当や子育て支援事業の財源として、厚生年金保険の被保険者を雇用する事業主が全額負担する拠出金です。令和7年度の拠出金率は0.36%で、従業員の標準報酬月額および標準賞与額に料率を乗じて計算します。従業員負担はなく、企業のみが負担します。

過去の推移を見ると、平成24年度は0.15%でしたが、段階的に引き上げられ、令和6年度から0.36%となりました。政府の少子化対策の方針次第では、さらなる引き上げも想定されます。中長期的な人件費計画においては、子ども子育て拠出金の動向にも注意を払う必要があります。

参考:子ども家庭庁|子ども・子育て拠出金事業について

福利厚生費とは?企業独自の「もうひとつの人件費」

法定福利費と並び、企業が従業員の生活を支えるために行う出費が「福利厚生費」です。ここでは、福利厚生費の詳細を解説します。

福利厚生費の定義と項目

福利厚生費とは、法律上の義務ではなく、企業が任意に従業員へ提供する福利厚生サービスにかかる費用です。法定福利費が法令で義務づけられているのに対し、福利厚生費(法定外福利費)は法令による定めがありません。内容も費用も「企業の裁量」で決められるのが大きな特徴です。

具体的な項目としては、社宅や家賃補助・食事補助・慶弔見舞金・法定外の健康診断・資格取得支援・社内イベント・レクリエーション費用など多種多様です。

経団連の調査によると、2019年度の法定外福利費(福利厚生費)は従業員1人あたり月平均24,125円でした。法定福利費の月平均84,392円と比べると約3分の1の規模ですが、実態は企業規模や業種によって大きな差があります。

福利厚生費は、自由度が高いだけに企業文化や経営方針を反映しやすい費用です。そのため、採用競争力や従業員満足度を左右する重要な人事施策のひとつとなっています。

参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|2019 年度福利厚生費調査結果の概要

非課税で認められる福利厚生費の条件

法定福利費は全額非課税ですが、福利厚生費は内容によって課税・非課税が異なります。

福利厚生費が税務上「福利厚生費」として認められ、非課税となるためには、国税庁が定める要件を満たさなければなりません。主な要件は、次の3つです。

  • すべての従業員が利用できること
  • 社会通念上、妥当な金額であること
  • 現物支給であること(換金性がないこと)

例えば、通勤費は最大月額15万円が非課税です(公共交通機関利用の場合)。法定外の健康診断や人間ドックは、全従業員を対象として実施し、社会通念上妥当な金額であれば非課税です。

また、慶弔見舞金は社内規程に基づく一定金額であれば非課税となります。さらに食事補助は、従業員が食事代の半分以上を負担し、企業負担が月額3,500円(税抜)以内であれば非課税での処理が可能です。

参考:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

課税対象になりやすいケース

福利厚生費として計上したつもりでも、前述の要件を満たさない場合は「給与」として課税される可能性があります。

例えば、役員や特定の部門のみに提供される福利厚生は、公平性の観点から給与とみなされます。社員旅行も、参加者が全従業員の50%未満の場合や旅行期間が4泊5日を超える場合、不参加者に金銭を支給する場合などは給与課税の対象です。また、商品券やギフト券を配布する場合も、換金性があるため原則として給与扱いです。

福利厚生費として認められるには、制度設計の段階で税務上の要件を満たしているかを慎重に確認し、必要に応じて税理士や社労士に相談することが求められます。

参考:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

「法定福利費」と「福利厚生費」の違い

法定福利費と福利厚生費は、どちらも従業員のための費用ですが、その性質は大きく異なります。ここでは、それぞれの違いを3つの視点から分かりやすく解説します。

「目的」の違い

法定福利費の目的は、従業員とその家族の生活を保障し、病気や失業、老後などのリスクに備えることです。健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険といった社会保障制度を通じて、国民の最低限の生活を守る仕組みの一部を担います。

一方、福利厚生費の目的は、従業員の生活をより豊かにし、働きやすい環境を整えることにあります。社宅・食事補助・社内イベント・慶弔見舞金など、企業独自の施策を通じて従業員満足度を高めることが主な狙いです。

このように、法定福利費は「社会保障による生活の安定」、福利厚生費は「企業独自の施策による満足度向上」という、明確な目的の違いがあります。

関連記事:福利厚生に関する調査を元に利用率・満足度の高い制度をチェック

「義務の有無」の違い

法定福利費は、労働基準法や健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法などの法律に基づいて、企業が必ず負担しなければならない費用です。

従業員を雇用する以上、健康保険、厚生年金保険などの法定福利厚生への加入は義務であり、企業が保険料の一部または全額を負担する必要があります。この義務を怠った場合、罰則の対象となるリスクもあります。

一方、福利厚生費は、企業が裁量で決定できる費用です。導入するかどうかをはじめ、内容や予算もすべて企業の判断に委ねられています。経営状況や従業員のニーズに応じて制度を新設したり、内容を変更したり、場合によっては廃止することも可能です。

この「義務の有無」の違いは、会計処理や経営判断において重要なポイントです。法定福利費は固定的なコストとして予算に組み込む必要がありますが、福利厚生費は経営状況に応じて柔軟に調整できるという特徴があります。

関連記事:福利厚生をまとめてチェック!導入メリットから課税についてまで網羅

「課税・非課税」の違い

法定福利費は、企業が負担する社会保険料であり、全額が非課税扱いとなります。従業員側は、企業が負担した保険料分について給与として課税されることはありません。また、企業側についても全額を損金として計上できるため、法人税の課税所得を軽減する効果があります。

一方、福利厚生費は、一定の要件を満たせば非課税として扱われるものの、条件を外れると給与として課税される可能性がある費用です。福利厚生費として認められるための要件を再度以下に示します。

  • すべての従業員が利用できること
  • 社会通念上、妥当な金額であること
  • 現物支給であること(換金性がないこと)

非課税扱いの場合、従業員の実質的な手取りが増えるため、福利厚生としてより大きな効果が期待できます。

法定福利費の計算方法

法定福利費の計算は、実務担当者が頭を悩ませやすい業務です。「どの金額に何の料率を掛けるのか」を正確に理解せずにいた場合、給与計算ミスや納付漏れにつながる可能性が否定できません。ここでは、月給・賞与・業種別それぞれの計算方法を具体例とともに解説します。

標準報酬月額を用いた基本計算

健康保険料と厚生年金保険料の計算には、実際の給与額ではなく「標準報酬月額」を用います。標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の幅で区切った等級に当てはめた金額のことです。健康保険は50等級、厚生年金保険は32等級に分かれています。毎年7月に4〜6月の3カ月間の給与平均額をもとに決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

例として、東京都で月給30万円の従業員の場合を見てみましょう。報酬月額29万円〜31万円の範囲は、健康保険22等級・厚生年金19等級に該当し、標準報酬月額は30万円となります。この30万円に各保険料率を乗じて計算します。

厚生年金保険料は【30万円×18.3%=54,900円】で、企業負担分は27,450円です。健康保険料(東京都9.91%)は【30万円×9.91%=29,730円】で、企業負担分は14,865円です。

雇用保険料(一般事業)は【30万円×0.90%=2,700円】が企業負担分となります。

このように、標準報酬月額を基準とすることで、給与計算が簡便化され、事務処理の効率も向上します。

参考:協会けんぽ|全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
参考:日本年金機構|厚生年金保険料額表
参考:厚生労働省|令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内

賞与支給時の法定福利費計算

賞与に対しても社会保険料がかかりますが、計算方法は月給とは異なります。

賞与の場合、支給額から1,000円未満を切り捨てた金額を「標準賞与額」とし、これに保険料率を乗じて計算します。標準報酬月額のような等級区分はありませんが、上限額が設定されている点に注意が必要です。

健康保険の標準賞与額の上限は、年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計額573万円です。例えば、7月に300万円、12月に300万円の賞与を支給した場合、年度累計は600万円となりますが、上限573万円を超える27万円には保険料がかかりません。

一方、厚生年金保険の上限は1カ月あたり150万円です。同じ月に複数回支給する場合は合算して上限を判定します。賞与支給月が年度末と重なる場合や、従業員の入退社が多い企業では、累計額の管理が複雑になるため、給与計算システムでの自動管理が推奨されます。

参考:全国健康保険協会|協会けんぽ|賞与の範囲

関連記事:【2025年版】福利厚生導入の目的とは?経営課題を解決する戦略と実例

業種によって異なる法定福利費の扱い

法定福利費の計算は原則として全業種共通ですが、一部の業界では特別な扱いがあります。

雇用保険料率は業種によって異なり、農林水産業や清酒製造業では1.65%、建設業では1.75%が適用されます(一般事業は1.45%)。 特に建設業では、社会保険未加入問題の解消と、法定福利費を請負代金に適正に含めることを目的として、国土交通省が見積書や契約書への法定福利費の明示を推進しています。

ここで明示する法定福利費とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の事業主負担分を指します。労災保険料は、元請一括加入の取り扱いなどの理由から、原則として明示対象には含まれません。

国土交通省が提供する標準様式を活用することで、法定福利費を明示した適正な見積もりが可能になります。これにより、社会保険未加入企業による不当なダンピングが予防され、建設業全体の労働環境改善にもつながります。

参考:国土交通省|建設産業・不動産業:各団体が作成した標準見積書

法定福利費の会計処理と仕訳

法定福利費の会計処理では、計上タイミングによって仕訳方法が異なります。ここでは、給与支給時・納付時・賞与支給時の3パターンに分けて、実務で使える仕訳例を解説します。

給与支給時(発生主義)の処理

発生主義の会計処理では、給与計算を行った時点で企業負担分の社会保険料を「法定福利費」として計上します。

実際の納付よりも前に計上することから、貸方は「未払金(社会保険料)」などの負債勘定になります。月次決算において費用を正確に把握できるメリットがあるため、多くの企業が採用している処理方法です。

給与明細の従業員控除額と企業負担額を対応させることで、給与計算の整合性も保たれます。

【給与支給時の仕訳例】

例:4月分の給与を5月に支給する場合(給与総額500,000円、従業員負担の社会保険料50,000円、企業負担分50,000円)

借方科目 金額 貸方科目 金額
給与 500,000円 普通預金 450,000円
    預り金(社会保険料) 50,000円
法定福利費 50,000円 未払金(社会保険料) 50,000円

企業負担分を「未払金(社会保険料)」として負債勘定で処理するのがポイントです。給与支給と同時に法定福利費を認識することで、月次での正確な損益の把握が可能になります。

納付時(現金主義)の処理

現金主義の会計処理では、実際に社会保険料を年金事務所や労働局へ納付した時点で「法定福利費」を計上します。給与支給時には何も計上せず、納付時に一括して費用計上する方法です。

中小企業では事務処理の簡便さからこの方法を選択するケースがありますが、月次での正確な損益把握が難しくなる点に注意が必要です。また、発生月と納付月を混同すると決算時にズレが生じやすいため、期末には必ず未払分を計上する必要があります。

【納付時の仕訳例】

例:前月に計上した未払社会保険料を実際に納付する場合

借方科目 金額 貸方科目 金額
未払金(社会保険料) 100,000円 普通預金 100,000円

発生主義で処理している企業では、このように給与支給時に計上した「未払金(社会保険料)」を納付時に取り崩す仕訳となります。

月次決算の精度を高めるには、給与計算時点で法定福利費を認識する発生主義での処理が推奨されます。

賞与支給時の計上と未払処理

賞与支給時にも、月給と同様に企業負担分の法定福利費を計上します。

賞与の社会保険料は支給月の翌月末に納付するため、支給時点では未払計上するのが原則です。特に、年度末(3月)に賞与を支給する場合、4月に納付する法定福利費を3月末時点で未払計上しておかなければ、年度の費用が正しく計上されません。

決算期をまたぐ賞与では、労務費管理の観点からも賞与関連の法定福利費を別勘定で区分しておくと、決算書の透明性が向上します。

【賞与支給時の仕訳例】

例:賞与1,000,000円を支給する場合(従業員負担の社会保険料130,000円、企業負担分130,000円)

借方科目 金額 貸方科目 金額
賞与 1,000,000円 普通預金 870,000円
    預り金(社会保険料) 130,000円
法定福利費 130,000円 未払金(社会保険料) 130,000円

賞与の社会保険料は金額が大きいため、計上漏れや計算ミスがないよう、給与計算システムでのチェック体制を整えることが重要です。

法定福利費の負担割合と今後の動向

法定福利費は企業の人件費総額の約15%を占める大きな固定費です。少子高齢化の進行により、今後も社会保険料率の上昇が見込まれるため、企業は中長期的な人件費管理と制度改正への対応を強化する必要があります。

なお、社会保険制度は継続的に見直しが行われており、特に適用範囲の拡大は、企業の法定福利費の負担に大きく影響します。

令和6年10月からは、従業員数51人以上の企業で働く短時間労働者も社会保険の加入対象となりました。適用拡大の要件は以下の4つすべてを満たす場合です。

  • 週所定労働時間20時間以上
  • 月額賃金88,000円以上
  • 2カ月超の雇用見込みがある
  • 学生でない(夜間・定時制・休学中除く)

従来、正社員には月給30万円の場合で約4万5千円の法定福利費負担がありました。短時間労働者の加入対象拡大により、これまで社会保険料負担のなかったパート・アルバイトにも保険料が発生するため、多く雇用する企業では固定費の大幅な増加につながります。

こうした状況を踏まえ、企業は短時間労働者の勤務実態を正確に把握し、加入対象者を漏れなく届け出る管理体制が求められます。今後も適用範囲のさらなる拡大が検討されているため、法改正に備えた人件費シミュレーションと労務管理システムの整備を進めることが大切です。

参考:厚生労働省|社会保険適用拡大 特設サイト

経営課題を解決する法定外福利費の活用法

法定福利費が「義務的なコスト」であるのに対し、法定外福利費は一種の「投資」です。この法定外福利費を戦略的に活用することで、採用力強化・人材定着・健康経営など、さまざまな経営課題の改善が期待できます。詳しく見ていきましょう。

福利厚生がもたらす経営効果

福利厚生費の対象となる福利厚生の充実は、従業員満足度や企業への愛着を高める有効な手段です。「会社に大切にされている」と感じられることによる従業員エンゲージメントの向上は、モチベーションの向上、ひいては生産性の向上にもつながります。

中でも注目を集めているのが、食事補助や通勤手当・家事代行サービスの利用補助などの日常生活を直接的に支援する福利厚生です。これらの福利厚生は、従業員一人ひとりの日常生活に大きく関係しているだけに従業員へのアピール度が高く、より高い効果が期待できます。

さらに、少子高齢化による人手不足が深刻化する近年、優秀な人材を獲得するための他社との差別化要因としても魅力です。

食事補助の福利厚生|3,000社以上が導入する「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、企業と従業員との折半により、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。

加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど幅広く、利用する人の年代や嗜好を問いません。 Uber Eats を通じ、マクドナルドやスターバックスなどの人気ファストフードも利用可能です。

内勤の従業員はもちろんのこと、出張中やリモートワークの従業員も平等に利用できる柔軟性やコスパの良さが高く評価され、すでに3,000社を超える企業に導入されている人気サービスです。

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関連記事:【税理士監修】食事補助は非課税?福利厚生の仕組みと注意点を解説!

法定福利費と福利厚生費を正しく理解し、戦略的に活用しよう

法定福利費は「義務」として必ず負担すべき社会保険料であり、福利厚生費は「戦略」として企業が任意に設計できる人事施策です。両者の違いを正確に理解することで、適正な経理処理と税務リスクの回避が可能になります。

法定福利費は今後も増加傾向が続く見込みであり、企業は計算方法をはじめとする人件費管理の精度を高める必要があります。

一方で、法定外福利費を戦略的に活用すれば、採用力強化や人材定着、従業員満足度向上など、複数の経営課題を同時に改善することが可能です。例えば「チケットレストラン」のような非課税で利用できる食事補助は、費用対効果と自由度の高さで評価の高い福利厚生です。

法定福利費の正確な把握と福利厚生費の戦略的活用を通じ、自社に最適な人事制度を構築しましょう。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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