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【社労士監修】業務フォロー手当助成対象拡大!従業員300人以下企業を支援

【社労士監修】業務フォロー手当助成対象拡大!従業員300人以下企業を支援

2024.12.06

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2024年1月から、育児休業を取得する従業員の業務を代替するための支援が強化されます。新制度は、中小企業が育児休業を取りやすくすることを目的としており、業務フォロー手当の対象が拡大予定です。本記事では、助成の変更点、拡大の背景や導入企業の事例を解説します。

業務フォロー手当とは?

「業務フォロー手当」とは、2024年1月に政府が新設した両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」の後押しを受け、導入が進んでいる制度です。企業によって「育休職場応援手当」「応援手当」「育休支援祝い金」など、さまざまな名称で呼ばれていますが、基本的な目的は同じです。

育児休業を取得する従業員の業務を引き継ぐ同僚への手当であり、職場全体で育休取得者をサポートする体制づくりを促進するために導入する企業が増えています。

2025年1月からの変更点概要

厚生労働省は2025年度から両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」について、中小企業への助成金対象を広げ、職場の同僚へ追加手当を支給する場合にかかる費用を補助します。これまで、助成金は資本金に応じて製造業では50人以下、サービス業では100人以下が対象でしたが、2025年度からはすべての業種で従業員300人以下の企業に対象が拡大されます。

対象者拡大で日本の企業の99.7%が助成対象に

令和3年の経済センサスでは、従業員規模300人以上の事業所の合計に占める割合は0.3%であり、計算すると日本の企業の99.7%が助成対象です。政府は国内のほぼすべての企業の育休取得をサポートすることになります。

出典:総務省統計局|令和3年経済センサス 結果の概要<事業所に関する集計・企業等に関する集計>

政府予算は昨年比178.5億円増

政府は、育休中等業務代替支援コースの予算を2024年度の87.8億円から2025年度は266.3億円へと大幅に拡充する見込みです(178.5億円増)。両立支援等助成金全体では2024年度の181億円から2025年度は358億円(177億円増)となり、他のコースで予算が減少する一方で、育休中等業務代替支援コースへの予算は集中するなど、政府の育休取得推進への強い姿勢が読み取れます。

出典:厚生労働省|令和7年度厚生労働省予算概算要求の概要

両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」の助成内容

両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」について、内容を解説します。

支援対象が拡大となる助成金

従業員数300人以下の企業に支援対象が拡大となるのは、育児休業中の手当支給と育児短時間勤務中の手当支給の2つの助成金です。助成金の内容についての変更はありません。

項目 内容 最大 補足
①育児休業中の手当支給 業務体制整備経費:5万円

(育休1月未満:2万円)

最大1人あたり125万円 -
業務代替手当:支給額の3/4(上限月10万円、12か月まで) プラチナくるみん認定事業主は支給額を4/5に割増
②育児短時間勤務中の手当支給 業務体制整備経費:2万円 最大1人あたり110万円 -
業務代替手当:支給額の3/4(上限3万円、子が3歳になるまで) -

出典:厚生労働省|令和7年度厚生労働省予算概算要求の概要
出典:厚生労働省|育児休業や短時間勤務の利用期間中の業務代替を支援します

※各企業は年間で①〜③(③は次に解説する「育児休業中の新規雇用」です)の合計で最大10人分の育休取得者を対象に申請可能です。また、育休取得者/制度利用者が有期雇用労働者の場合①〜③に10万円加算(1か月以上の場合のみ)があります 。

支援対象は変更がない助成金|その他の支援策

育児休業中の新規雇用については、対象となる中小企業の範囲も助成内容の変更もありません。

項目 内容 最大 補足
③育児休業中の新規雇用 代替期間に応じて支給

・最短7日以上:9万円
・最長6か月以上:67.5万円

67.5万円 プラチナくるみん認定事業主は以下に割増

最大82.5万円
・最短:7日以上:11万円
・最長:6か月以上:82.5万円

出典:厚生労働省|令和7年度厚生労働省予算概算要求の概要
出典:厚生労働省|育児休業や短時間勤務の利用期間中の業務代替を支援します

※各企業は年間で①〜③の合計で最大10人分の育休取得者を対象に申請可能です。また、育休取得者/制度利用者が有期雇用労働者の場合①〜③に10万円加算(1か月以上の場合のみ)があります。

対象者拡大の背景

両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」が2024年に導入され、2025年には対象者が拡大となった背景を解説します。

育休取得率の増加

近年、育児休業の取得率は増加しています。厚生労働省の「育児休業給付金について」によると、女性は80%代で高止まり、男性は10年間で10倍以上と急増しています。人員に余裕のない中小企業では代替要員の確保が困難なため、政府による支援拡充が急務です。

業務フォロー手当 助成対象拡大02

出典:厚生労働省|職業安定分科会雇用保険部会(第183回)資料1 育児休業給付等について(令和5年9月22日)

代替要員の確保が困難

育児休業において、従業員が安心して職場を離れるためには、同僚のフォローが必要です。ところが、厚生労働省委託事業「令和4年度 仕事と育児の両⽴等に関する実態把握のための調査研究事業企業調査 結果の概要」において、「仕事と育児の両⽴⽀援を推進する上での障壁・課題」を問うと「代替要員の確保が難しく、管理職や周囲の従業員の業務量が増えた」という回答割合が46.7%で最も高いことがわかりました。次いで「⼦育て中の従業員とそうでない従業員との間で不公平感がある」が26.9%、「特に障壁・課題だと思っていることはない」が19.3%という結果です。

従業員の半数が感じている業務の負担増、約3割が感じる不公平感の解消が 仕事と育児の両⽴⽀援を推進する上で鍵になると考えられます。

業務フォロー手当 助成対象拡大01出典:厚生労働省|厚生労働省委託事業 令和4年度 仕事と育児の両⽴等に関する実態把握のための調査研究事業企業調査 結果の概要

男性の育休取得率の目標公表の義務化

政府は仕事と育児・家事の両立、多様な働き方の実現に向け、多方面から制度を整えています。施策の一つとして、2025年4月1日より、育児・介護休業法改正で男性の育児休業取得率等の公表が従業員300人超1,000人以下の企業にも義務化されることになりました。育児・介護休業法の制度整備に伴い、政府は育児休業取得者の業務をフォローする従業員への手当支給の助成対象を拡大し、企業の負担軽減に取り組んでいます。

出典:厚生労働省|事業主の皆さまへ 都道府県労働局 2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます

助成金申請の具体例

助成金申請の具体例を、小売業の4人体制の部署で見てみましょう。1人が育休を取得した場合、残る3人に毎月4万円のフォロー手当が支給されるとします。

この場合は以下のようになります。

  • 企業負担は月12万円(4万円×3人)
  • 9万円(12万円の4分の3)が助成金として支給

育児休業中の手当支給については、ほかの2つの助成金とあわせて年間10人分まで申請可能なので、企業が受け取れる助成金は最大1,250万円です。

育休・業務フォロー手当の導入事例

育休や業務フォロー手当を導入している企業の事例を紹介します。

三井住友海上の「育休職場応援手当(祝い金)」制度

三井住友海上では、育休を取得したら同僚にも応援手当を3,000円から最大10万円支給する「育休職場応援手当(祝い金)」を創設し、育休取得を支援しています。制度は2023年7月から運営開始されており、政府による両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」の新設前から運用している点は、育休取得支援に前向きな企業の証です。

出典:MS&SD三井住友海上|~育休を取得したら同僚に応援手当 最大10万円~育休職場応援手当(祝い金)の創設 (2023年3月17日)

九州電力の「育児サポート応援金」制度

大手電力会社で初めて育休取得を推進したのが九州電力です。2024年9月より、「育児サポート応援金」として、1人当たり年間8,000円〜1万4,000円を、半期ごとに給与にあわせて支給します。

出典:日本経済新聞|九州電力、育休カバーの同僚に「応援金」 最大1.4万円

長野県の「奨励金」制度

長野県では、男性が育児休業を取得した県内中小企業を対象に最大30万円の奨励金を支給します。企業は3人目まで申請が可能で、育休期間により支給額が変わります。1人目の場合、育休14日以上28日未満で10万円、3か月以上で30万円が支給され、2人目以降はそれぞれ7万5000円、25万円です。分割取得も対象となり「両立支援等助成金」とも併用できます。

出典:日本経済新聞|長野県、男性が育休取得した中小に最大30万円

食の福利厚生でコミュニケーションを!円滑な引き継ぎを促進

育休取得にあたって、業務を円滑に引き継ぐには従業員間の日常的なコミュニケーションが欠かせません。そこで注目されているのが食事補助の福利厚生です。職場での食事機会は自然な情報共有の場となり、チーム内の連携を強化します。

中小企業をはじめ多くの企業では、昼食時間が貴重な社交の場となり、業務の引き継ぎやチームワークの向上に役立ちます。また、妊娠中の従業員への配慮や相互理解を深める機会となり、企業による食事補助を通じたコミュニケーション促進に効果的です。

食の福利厚生「チケットレストラン」導入事例

MIRAI station(訪問看護ステーション、導入時従業員数27名)では、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の導入により、従業員間のコミュニケーションが活性化しています。「チケットレストラン」は、専用のICカードを通じて食事代を補助する福利厚生サービスです。

導入後、食事補助の利用期限をきっかけに従業員同士でランチに誘い合うようになり、自然な交流が生まれています。また、企業負担があることで気軽に食事に誘えるようになり、部署を超えた情報交換の機会も増加しました。

<企業ホームページ>https://mirai-st.jp/
<導入事例ページ>MIRAI station株式会社様

従業員の温かなサポート体制づくりに、業務フォロー手当と食事補助を

育児や介護で業務を離れる従業員を温かく送り出すには、残る従業員が引き受ける業務負担への配慮が欠かせません。「業務フォロー手当」の支給により、従業員は前向きに業務のフォローに取り組め、引き継ぎもスムーズに進みます。

また、「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生は、従業員同士のランチを通じたコミュニケーションを自然に促進します。引き継ぎ時も円滑に進められ、業務復帰時の関係性も築きやすいでしょう。妊娠・出産という人生の一大イベントを迎える従業員を、温かく見守れる企業風土づくりに、ぜひ「チケットレストラン」をご活用ください。

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