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集団的効力感とは?自己効力感と共に高め企業成長を実現!活用方法を紹介

集団的効力感とは?自己効力感と共に高め企業成長を実現!活用方法を紹介

2024.11.28

集団的効力感は、スタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラ氏によって提唱された概念です。本記事では、心理学的なアプローチにより企業の成長を促すという画期的な概念の内容や醸成するための要素、企業経営において有効活用するためのステップを紹介します。

集団的効力感とは

集団的効力感(Collective Efficacy)は、スタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラ氏によって提唱された概念であり、組織全体で共有される「私たちならできる」という信念を指します。達成できるという信念は、個人の能力の総和ではなく、チーム全体として持つ力への前向きな確信を表しています。

提唱者アルバート・バンデューラについて

カナダ出身のバンデューラ氏は、スタンフォード大学教授として「自己効力感」や「社会的学習理論(モデリング)」を提唱することで知られる、20世紀を代表する心理学者です。集団的効力感の理論は、個人の自己効力感をチームレベルに発展させた革新的な概念として、現代の組織マネジメントに大きな影響を与えています。

自己効力感と集団的効力感との関係

個人の持つ「自己効力感」は、特定の状況で成功を収められるという信念のことです。自己効力感が高いと、挑戦に意欲的になるため、目標達成しやすくなります。メンバーの一人ひとりが高い自己効力感による前向きな意欲や姿勢を示すと、メンバー同士や所属する集団に対してもポジティブな影響を与えます。具体的には、前向きな姿勢が広まったり、建設的な対話が促進されたりなどです。このような好影響が、組織全体に波及していきます。

日本企業における「集団的効力感」が低すぎる現状

リンクトイン社が実施した「仕事で実現したい機会に対する意識調査(2020年)」では、日本は調査対象22か国中で最下位という結果です。日本の労働者が仕事や成功に対して十分な自信を持てていないことを示しています。

日本では集団的効力感が非常に低く、悲観的なモチベーションになりがちです。挑戦と成功を実現するには集団的効力感を高める必要性があると考えられます。

集団的効力感出典:@Press|リンクトイン「仕事で実現したい機会に対する意識調査」を発表 日本は22か国中、最も自信がなく悲観的

集団的効力感を高める効果・メリット

集団的効力感が高まることで、組織にはポジティブな効果がもたらされます。

パフォーマンスと生産性向上

メンバーが共通の目標に向かって協力し、困難な課題にも積極的に取り組むため、生産性が向上します。

高い目標の設定と達成

自分たちの能力を信じているため、より高い目標を設定する傾向があります。これにより、チームの成長と組織全体のパフォーマンス向上につながります。

円滑な従業員間の人間関係

メンバー間のコミュニケーションが活発で、互いを信頼し合う関係が築かれやすくなります。情報共有がスムーズになり、協力関係が強化されるため、業務の効率もよくなります。

従業員エンゲージメントの向上

自分たちの仕事に誇りを持ち、組織に対する帰属意識が高まります。連動する形で従業員エンゲージメントも向上し、離職率の低下にもつながります。

ストレス耐性と適応力の向上

困難な状況に直面しても、それを乗り越える自信を持っています。ポジティブなアプローチで課題解決しようとするため、ストレスに対する耐性が高まり、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に適応できるようになります。

イノベーションと創造性の促進

新しいアイデアや挑戦的なプロジェクトにも積極的に取り組む傾向があるため、組織全体のイノベーションと創造性が促進されます。

組織の持続可能性の向上

上記のメリットが相互に作用することで、組織全体の持続可能性が向上します。高い生産性、イノベーション、従業員エンゲージメントは、長期的な組織の成功と成長につながります。

自己効力感向上から集団的効力感を高める4つの要素

どのような要素があると、集団的効力感を高められるのでしょうか。ここではバンデューラ氏の提唱する4つの要素を解説します。

成功体験の構築

最も強力な効力感の源は、実際の成功体験です。ただし、簡単すぎる成功では逆効果となりかねません。適度な挑戦レベルを持つ目標を設定し、その達成を通じて組織の自信を育みます。

代理体験の活用

他者やチームの成功事例から学ぶ代理体験は、集団的効力感を高める要素の一つです。とりわけ類似した環境での成功例は強い説得力を持ちます。経験豊富な先輩従業員の業務遂行方法を観察し、他部門の成功事例を分析することで、「私たちにもできる」という確信が生まれていきます。

社会的説得の実践

「あなたなら大丈夫」という周囲からの適切な励ましや評価はチームの自信を強化します。ただし、根拠のない励ましではいけません。具体的な事実に基づいたフィードバックを心がけ、継続的なサポートを提供しましょう。

生理的・情動的状態の管理

職場で感じるストレスや不安は、集団的効力感に影響します。ストレスを「成長の機会」として前向きに解釈し、チーム全体で回復力を高めることが困難を乗り切るポイントです。感情や身体状態を正確に認識し、適切な対処を行うことでより強い自己効力感も築かれます。

出典:株式会社パーソル総合研究所|スキマ時間で読めるCollective Efficacyの基礎

集団的効力感を高める組織的要素

集団で発揮される要素を活かして集団的効力感を高められます。

リーダーシップ

チームの士気を左右するのがリーダーシップです。チームをリードするリーダーの働きかけで、集団の士気が上がり、メンバーは「私たちならできる」という信念を持つことができます。

理想的なリーダーは明確で魅力的なビジョンを示し、メンバーの努力や成果を適切に評価することで自信と集団的効力感を高めるでしょう。また、リーダーがメンバーを支え、信頼関係を築くことで、チーム全体の結束力が強化されます。

集団凝集性

集団凝集性とは、「帰属意識」のことです。チームの一体感や連帯感が強いと、集団的効力感が高まります。共通の目標を設定し、それに向かって協力することで帰属意識を醸成します。成功体験の共有は、お互いの貢献を認め合い、一体感を強めるのに有効です。

共有された信念とビジョン

チーム内で共有された信念やビジョンは、メンバー全員が同じ目標に向かって進むための基盤となります。オープンな対話や情報共有を促進することで、メンバー間で共通理解が生まれます。組織やチームの価値観を明確にし、それに基づいた行動を促すことで、強い信念が持てるようになるでしょう。

チーム内でのコミュニケーション

メンバー間で自由に意見交換できるオープンコミュニケーションは、集団的効力感を高めるために欠かせません。自由な意見交換により、問題解決能力や創造性は向上します。定期的なフィードバックの場を設けて建設的な意見交換を行うことも重要です。

明確なチーム構造・組織での役割

チームの構造や役割分担が明確であることも集団的効力感を高める要因となります。各メンバーの役割と責任が明確であれば、自分たちの貢献がどれだけ重要か理解でき、チームに所属することへの自信にもつながります。

福利厚生も集団的効力感へ好影響

福利厚生を通して「チームの力を信じる気持ち」が強化され、集団的効力感の向上に寄与します。

  • 心理的安全性の確保
  • 組織への帰属意識向上
  • コミュニケーション促進
  • ストレス軽減と生産性向上
  • 公平性の認識

福利厚生でリモートワークを導入すれば、安心して働ける環境を提供でき、集団的効力感の基盤を築きます。充実した福利厚生は従業員の帰属意識を高め、集団凝集性を強化します。食事補助などは、従業員間の自然な交流を促進し、チーム内の信頼関係を築く効果が見込めるでしょう。社内外の研修などは、従業員の自己効力感を高め、結果的に集団的効力感の向上につながります。また、福利厚生をすべての従業員に平等に提供することで、チームの一体感を強化できます。

自己効力感が低い場合メンバーの影響もチェック

集団の中に自己効力感が低いメンバーがいる場合は、どのような影響があるのでしょうか。ネガティブな影響だけではなく、ポジティブな影響もあることを説明します。

ネガティブな影響

消極的な姿勢はチームメンバーに影響し、集団全体の士気やモチベーションを高めにくくなります。また、自己効力感が低いメンバーは、ほかのメンバーに依存する傾向があり、チームのリソースが偏ってしまう可能性もあります。

ポジティブな影響

相互サポートや建設的なフィードバックが支えとなり、自己効力感が高いメンバーに牽引される形で次第に自信を取り戻せます。また、成功体験の共有の過程で連帯感が高まり、一人ひとりの自己効力感にも好影響が期待できます。

集団的効力感を企業経営で活かす3つのステップ

組織に集団的効力感を根付かせる取り組みは、個人の自己効力感アップから始めることで成功確率が高まります。実践のためのステップを紹介します。

ステップ1.個人の自己効力感を育てる

集団的効力感の向上は、個人の自己効力感を育むことから始まります。たとえば、週次での進捗確認と、月次での振り返りなどを通じて、確実に成功体験を積み重ねるといった方法があります。

ステップ2.経験値を組織の資産に

個人の成功体験を、組織全体で共有することで価値を生み出します。朝会などで成功事例を共有することは、具体的で実践的な知見の蓄積に効果的です。短時間でポイントを絞った共有により、他のメンバーが即座に活用できる知識として定着していきます。ほかにも、部門を越えたランチタイムでのコミュニケーションは、異なる視点からの学びを促進します。

ステップ3.組織全体の効力感を高める

個人とチームの基盤が整ったら、組織レベルの取り組みを展開しましょう。実践を通じて効果を実感しながら、徐々に取り組みの範囲を広げていくことで、組織の集団的効力感が高まります。

たとえば、部門横断プロジェクトは、新しい視点とアイデアを生み出すきっかけになるかもしれません。半期ごとなど期限付き人材交流も、組織全体の知見と経験を豊かにする可能性があります。

集団的効力感を醸成する企業の好事例

トヨタのカイゼン活動は、集団的効力感を醸成する企業の好事例です。トヨタのカイゼン活動は、全従業員が参加する継続的な改善プロセスとして知られています。カイゼン活動は、現場の従業員が主体となって問題を発見し、解決策を提案・実行することが評価に値します。

具体的な制度として挙げられるのが「創意くふう提案」制度です。改善の効果を5項目で評価する「結果ポイント」と、問題の発見から改善実施までの着想性・独創性・努力度を評価する「プロセスポイント」の合計点で賞金が決定するという独自性の高い取り組みです。現場の作業員のアイデアを積極的に取り上げ、従業員の参加意識と貢献感を高めています。

2023年度までの総提案件数は約81万件に上りました。小さな創意工夫の提案でも、上司が前向きに評価しているそうです。

トヨタの事例のように、従業員一人一人が改善に携わり、その提案が組織的に評価・実行される仕組みは、「私たちならできる」という組織の共通認識を育み、集団的効力感の醸成につながっていると考えられます。

出典:トヨタイムズ|仕事を楽しく、面白く! トヨタの創意くふう提案制度とは?

「集団的効力感」を高めるために「心理的安全性」にも注目

組織の生産性向上において、「私たちならできる」という集団的効力感は欠かせません。この信念を醸成する上で参考になるのが、Google社の「Project Aristotle」です。同社の研究では、効果的なチームの最重要要素として「心理的安全性」が挙げられました。心理的安全性とは「失敗や意見表明を恐れない環境」を指し、集団的効力感を育む土台となります。

Project Aristotleでは、メンバーが自由に意見を述べられ、互いのスキルを尊重し、失敗を学びの機会と捉える文化が重要です。心理的安全性があってこそ、チーム全体で「できる」という確信が芽生え、高い目標への挑戦や困難の克服が可能になります。

Google社では、心理的安全性の高いチームで離職率の低下や収益性の向上が確認されています。Google社の事例を参考に、心理的安全性を基盤としながら集団的効力感を高めることで、チーム全体の生産性向上が期待できるでしょう。

出典:Google|「効果的なチームとは何か」を知る

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関連記事:【社労士監修】離職防止につながるコミュニケーションのコツと心理的安全性

集団的効力感を高める上での課題と対策

集団的効力感を高める場合に課題となるのがメンバー構造や働く環境です。施策を行ってみて困らないためにも、事前に課題と対策を確認しましょう。

多様性あるチームでの醸成

異なる背景や経験を持つメンバー間では共通する目的を持つことが難しい場合があります。多様性を強みとして捉え、それぞれ独自の貢献ができるという認識と状況に対するポジティブな評価が必要です。また共通目標や価値観の明確化にも重点を置きましょう。

リモートワーク環境下での維持

リモートワーク環境下など、物理的な距離が離れていることが、結束力低下を招く可能性があります。オンラインミーティング開催やデジタルツール活用によって情報共有を促進し、一体感醸成へ努めます。

世代間ギャップ克服法

異なる世代間では価値観の違いから集団的効力感の醸成が進まない場合が考えられます。各世代の強みを認識し、相互理解促進のためのワークショップ開催などが有用です。また、世代超えた共通目標設定も重要です。

企業経営に集団的効力感を活用

「自分たちならできる」と確信する集団的効力感は、従業員が安心して働ける職場環境と心理的安全性のある同僚との関係を基盤として、徐々に醸成されます。しかし、多様な人々の活躍を推し進めている今の日本では、価値観の違いからすぐに共通目標を持つことは難しいかもしれません。

まずは共通事項を増やし、コミュニケーションの機会を増やすことから始めましょう。食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、正規・非正規雇用の従業員、パート・アルバイト従業員など雇用形態を問わず提供できるサービスです。毎日のランチ代を一定の条件下において、税制優遇を受けながら半額で利用できる福利厚生は企業内で話題となり、従業員同士のコミュニケーションを生むきっかけになります。日常的に使える福利厚生の導入で、従業員同士の心理的な距離を縮め、一体感を育みませんか。

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