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【社労士監修】パート・アルバイトの賃上げで競争力の高い企業へ

【社労士監修】パート・アルバイトの賃上げで競争力の高い企業へ

2024.03.29

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

人手不足の深刻化により、パート・アルバイトの賃上げは、今や企業の重要課題です。本記事では、賃上げが求められる背景や中小企業におすすめの施策などを詳しく解説します。食事補助の福利厚生による効率的な処遇改善など、パート・アルバイトの賃上げに関連するヒントも多数紹介しています。

パート・アルバイトの賃上げが求められる背景とは

2024年の春闘では、非正規雇用で働く人々の賃上げ要求が大きな注目を集めています。従来、春闘では蚊帳の外に置かれていた非正規雇用の人々に対し、スポットライトが当たっている理由は何なのか、詳しく見ていきましょう。

コロナ禍や物価高による生活難

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、非正規雇用で働く人々の雇用に大きな影響を及ぼしました。休業や雇い止めによる収入の減少に直面した人も多く、貯蓄を切り崩しながら生活を続けるケースも少なくありませんでした。

さらに、ウクライナ情勢などを背景とした物価の高騰により、2024年3月現在、その生活はより一層厳しさを増しています。「今の賃金では生活していくことができない」そのような非正規で働く多くの人々の切実な声が世論を動かし、パート・アルバイトの賃上げを求めるムーブメントとなっているのです。

人手不足の深刻化

日本の産業界では深刻な人手不足が続いており、特に小売業やサービス業でその傾向が顕著です。帝国データバンクの2024年1月の調査では、非正規雇用の人手が不足していると回答した企業の割合は約30%に上りました。人材の確保と定着を図るため、非正規社員の処遇改善に動く企業が増えつつあります。

人手不足は賃金の低さと無関係ではありません。魅力的な賃金を提示できなければ、優秀な人材の獲得は難しくなります。企業にとって、非正規社員の賃上げは、もはや避けて通れない経営上の重要な課題となりつつあるのです。

参考:帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)

「同一労働同一賃金」の原則

2020年4月、「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されました。この法律は、同一企業内において正社員と非正規社員の不合理な待遇差を禁止するもので、いわゆる「同一労働同一賃金」の原則を定めたものです。法の趣旨は、働き方に違いがあっても、職務内容や成果が同じならば賃金も同等であるべきという考え方です。

同一労働同一賃金ガイドライン」に罰則はありませんが、関連法令であるパートタイム・有期雇用労働法には罰則規定が設けられており、法の趣旨に反する不合理な待遇差が認められた場合、企業は行政指導や勧告、企業名公表などのペナルティを受ける可能性があります。

とはいえ、賃金や手当など処遇の同一性をどう判断するかは企業に委ねられており、ガイドラインの実効性を高めるには、各企業の自主的な取り組みが欠かせません。非正規雇用の待遇改善に向けて、より一層の努力が求められる状況です。

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 | e-Gov法令検索
参考:厚生労働省|パートタイム・有期雇用労働法の概要

パート・アルバイトの賃上げに積極的な企業の事例

人手不足が深刻化する中、非正規社員の処遇改善に動き出す企業が増えています。ここでは、パート・アルバイトの賃上げに積極的に取り組む大手企業の事例をいくつか紹介します。

イオンが正社員と同等の待遇制度を導入

国内で最多となる約40万人のパート社員を抱える小売大手の「イオン」は、グループ40社で順次正社員と同等の待遇制度を導入することを決めました。総合スーパーを運営するイオンリテールでは、すでにこの制度を先行導入しています。

イオンリテールでは、一定の試験に合格し、月120時間以上働くことを条件に、正社員と同じ基本給や諸手当が支給される仕組みです。すでに売り場責任者など約150人のパート社員が、この制度の適用を受けています。対象者の中には年収が2割程度アップした例もあるとのことです。

イオンでは、この制度をグループ全体に広げることで、パートの処遇改善を進めると同時に、優秀な人材の定着を狙っています。小売業界をリードする同社の動向は、他社の追随を促す強いメッセージとなりそうです。

参考:イオン系40社、非正規の待遇を正社員並みにー日本経済新聞

非正規雇用の賃上げが企業の競争力強化に

非正規雇用の賃上げは、人件費を増加させて企業の負担を増やします。短期的な視点で見ると、企業にとってコストアップ要因であり、ネガティブな施策です。

しかし、イオンの吉田昭夫社長は「雇用条件の差は現場力の差につながる」と指摘します。パートを含む非正規社員の処遇改善に積極的な企業とそうでない企業の間には、販売やサービスの質に違いが出てくるというのです。

職場に対する満足度の高い従業員は、エンゲージメントも高く、優れたパフォーマンスを発揮する傾向にあります。つまり、賃上げをはじめとする処遇改善の取り組みは、中長期的に見ると企業の競争力を高めるポジティブな施策なのです。

製造業でもダイキン工業など非正規の待遇改善の動き

非正規社員の処遇改善の動きは、製造業でも見られます。

国内トップシェアのエアコンメーカー「ダイキン工業」は、国内勤務の約1500人を対象に、期間従業員やパートなど、非正規社員の時給を一律100円引き上げることを決定しました。2022年に続く2年連続の措置で、合わせて200円のアップとなります。フルタイムで働いた場合、月収にして3万2000円の増加になるそうです。

ダイキン工業のような大手製造業では、非正規社員の賃上げに積極的に取り組む事例が見られます。しかし、製造業全体としては、まだ限定的な動きに留まっているのが実情です。今後、人手不足が深刻化する中で、他の製造業企業も追随していくことが予想されます。

参考:ダイキン、非正規賃上げを正規並みに 時給一律100円増ー日本経済新聞

今後の非正規雇用の賃上げの課題

非正規雇用の待遇改善に向けた動きが加速している一方で、課題も少なくありません。企業規模や業種による格差・パートと正社員の待遇差など、まだまだ解決すべき問題が山積しているのが実情です。同一労働同一賃金の原則を掲げる法律の趣旨を実効あるものにするためには、いったい何が必要なのでしょうか。

給与水準はいまだ正社員の7割程度

賃金だけを取り上げても、非正規社員と正社員の待遇格差はいまだ大きいと言わざるを得ません。厚生労働省が公開している「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、2022年(令和4年)の時間給ベースで見た非正規社員の賃金水準は、正社員の7割程度にとどまっています。

この格差は、簡単には解消できるものではありません。とはいえ、少しずつでも格差を縮めていく努力を続けることが大切です。非正規社員の生活を守り、そのモチベーションを高めるためにも、着実な賃上げが求められます。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|雇用形態別

基本給の改定は進むも、周辺待遇の改善は道半ば

マイナビが2023年に行った「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2023年)」によると、正社員と非正規社員の待遇差是正のために基本給を改定した企業の割合は、大企業で49.9%、中小企業で40.5%となっています。一方で、賞与の改定を実施済みの企業は大企業で38.7%、中小企業で27.4%にとどまっており、周辺待遇の改善は道半ばの状況です。

同一労働同一賃金の実現には、基本給だけでなく、賞与や諸手当など処遇全般について、正社員との均等待遇を進める必要があります。各企業には、非正規社員の職務や貢献度に見合った待遇を実現する取り組みが引き続き求められます。

参考:株式会社マイナビ|「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2023年)」を発表

人材定着と採用競争力の面からも待遇改善が急務

非正規雇用の待遇改善は、もはや企業の持続的成長を左右する重要課題です。少子高齢化に伴う人手不足は、今後も避けられない状況が続くどころか、深刻化する可能性が高い状況です。

そうした中で、貴重な人材を自社に定着させ、同時に採用でも競争に勝ち抜くためには、正社員・非正規社員の別なく魅力的な処遇を用意することが欠かせません。単なるコスト要因としてではなく、人的資本への投資として、非正規待遇の改善に取り組む姿勢が強く求められます。

中小企業など、賃上げ余力の乏しい企業にとっては難しい課題かもしれませんが、自社の成長可能性を見据えた積極的な姿勢が何より重要といえそうです。

【中小企業におすすめ】パート・アルバイトの賃上げ策

パート・アルバイトなどの非正規雇用の賃上げは、企業にとってただちに取り組むべき喫緊の課題です。一方で、予算に余力を持たない中小企業の場合、実行するのは簡単なことではありません。

ここでは、「同一労働同一賃金ガイドライン」に則った賃上げに加え、中小企業でも導入しやすいパート・アルバイト向けの施策をいくつか紹介します。

業績連動型の賞与制度で、モチベーションアップを図る

パート・アルバイトの賃上げには、業績連動型の賞与制度の導入が効果的です。売上や利益の達成度に応じて、賞与を支給する仕組みを設けることで、モチベーションアップにつなげることができます。

賞与制度の設計にあたっては、目標設定を明確にし、達成のための行動指針を示すことが重要です。また、賞与の算定基準を開示し、透明性を確保することも忘れてはなりません。

業績連動型の賞与制度は、パート・アルバイトの労働意欲を高めるだけでなく、業績向上にも一定の効果が期待できます。中小企業にとって、win-winの施策といえるでしょう。

スキル評価に基づく昇給制度を設ける

パート・アルバイトの賃上げには、スキル評価に基づく昇給制度の導入も有効です。職務遂行に必要なスキルを明確化し、それに基づいて賃金を決定する仕組みを設けることで、能力向上へのインセンティブを与えることができます。

スキル評価の基準は、職種や職務内容に応じて設定します。例えば、接客業務であれば、顧客対応力やクレーム処理能力など、具体的な評価項目を設定しましょう。

スキル評価に基づく昇給制度は、パート・アルバイトのキャリア形成を支援し、定着率の向上にも寄与します。中長期的な視点に立った人材育成策として、検討に値するでしょう。

福利厚生の拡充でエンゲージメント向上も

パート・アルバイトの賃上げと並行して、福利厚生の拡充も検討に値します。例えば、各種手当の利用対象をパート・アルバイトにも広げたり、慶弔見舞金の支給基準を統一したりすることで、正社員との一体感を醸成することが可能です。

特に、食事補助の福利厚生のような、直接的に対象者の日々の暮らしを支えられる施策は、従業員のエンゲージメントを高め、企業の業績向上やブランディングにも寄与します。また、従業員と同等の内容のサービスを提供することで、「同一労働同一賃金」に準じた上で、従業員のやる気を引き出せます。

パート・アルバイトなど、非正規社員の賃上げを検討するのなら、ぜひ導入したい施策です。

食事補助の福利厚生なら「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つ人気サービスです。サービスを導入した企業の従業員(=利用者)が加盟店を利用する際、支給されたICカードで支払いを行うことで、代金が半額になる仕組みです。

チケットレストラン」が多くの企業から支持されるその理由について見ていきましょう。

福利厚生として経費で計上できる

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、国税庁が定める条件に準ずることで、福利厚生として経費計上できます。

(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。

出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

通常の賃金として食事補助を提供した場合、企業側は法人税・従業員側は所得税や住民税の負担が増えますが、福利厚生費であれば双方負担は増えません。

節税効果を得つつ、便利な食事補助を利用できるのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」なのです。

パート・アルバイトの賃上げ策として

福利厚生として提供できる「チケットレストラン」は、税金へ影響を与えないぶん、効率的に従業員の実質賃金を増やせます。また、利用者の雇用形態を問わないサービスのため、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用の実質賃金アップも可能です。

賃上げ代替として利用できるという点で、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、今の時代にぴったりのサービスといえます。

参考:株式会社エデンレッドジャパン|食の福利厚生サービス - チケットレストラン

場所や時間を選ばず利用可能

チケットレストラン」の利用者は、地域を問わず全国の加盟店を自由に利用できます。勤務時間内であれば利用するタイミングも問わないため、ランチはもちろんのこと、休憩時のおやつやドリンクの購入も可能です。

こうした自由度の高さから「チケットレストラン」は、出張中の従業員やリモートワーク中の従業員も普段と変わらずに利用できます。

従業員一人ひとりの働き方に合わせて利用できる汎用性の高さも、多くの企業に選ばれている理由のひとつです。

パート・アルバイトの賃上げは選択肢多数!

深刻化する人手不足の中で、パート・アルバイトの賃上げは、企業の持続的成長に欠かせない重要課題です。「同一労働同一賃金」の原則に基づく待遇改善はもちろん、業績連動型の賞与制度やスキル評価に基づく昇給制度など、中小企業でも導入しやすい施策があります。

加えて、食事補助など福利厚生の拡充で、パート・アルバイトのエンゲージメント向上も期待できます。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のようなサービスを利用し、徐々に待遇改善を進めていくのもひとつの方法です。

自社の状況に合った賃上げ策を選択し、非正規雇用の処遇改善に積極的に取り組んでいきましょう。

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