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メンタルヘルスと食べ物・食事の関連とは?効果的なケア方法を解説

2023.07.17

メンタルヘルスと食べ物の関連は、精神科医も指摘しています。厚生労働省が運営する「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト」ではこころの病気としてうつ病や食事に関連する摂食障害などが紹介されており、また日本には、精神医学における食事・栄養療法について理解を深めるための「日本栄養精神医学研究会」も存在しており、同団体では医師や栄養療法に詳しい方を中心に講演会が開催されています。
メンタルヘルスと食べ物には関係があり、また、こころの病気は摂食にも影響します。

本記事ではセロトニンの摂取や肥満の防止など、食事を通じたメンタルヘルスの維持に役立てていただける情報を紹介します。メンタルヘルスに有益な食べ物の詳細や、気をつけたいポイントも紹介します。

メンタルヘルスをケアするために、セロトニンを摂取する

メンタルヘルスを良好に保つにあたり、近年特に注目を集めているのが脳内神経伝達物質の1つ『セロトニン』です。セロトニンの役割や、セロトニンの分泌に必要な栄養素を摂取できる食べ物について紹介します。

セロトニンとは

セロトニンとは、脳内の神経伝達物質のひとつで、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするものです。精神の安定や多幸感を生む作用を持つことから、幸せホルモンとも呼ばれることがあります。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、セロトニンが低下すると、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症(パニック障害)などの精神症状を引き起こすといわれていることが言及されています。仕事におけるパフォーマンスや人間関係が悪化するかもしれません。
セロトニンの分泌には食事が影響することも指摘されています。必須アミノ酸の一種であるトリプトファンは人間の体内で生成できないため、セロトニンを分泌するためにトリプトファンを食べ物やサプリメントから摂取する必要があります。

セロトニンの分泌をサポートする栄養素、トリプトファンを摂取できる食べ物

トリプトファンを多く含む主な食べ物を紹介します。

赤身の魚

カツオ(刺身 切れ:80g)の場合は 248mg、マグロ(刺身5切れ:80g)の場合は216mgのトリプトファンが含まれます。(参考)カツオ・マグロなどの赤身の魚には、トリプトファンが含まれています。加熱せず、お刺身の状態で摂取することで、より効果的にトリプトファンを摂取できます。

ツナ缶100gあたりの場合、210mgのトリプトファンが含まれます。

バナナ

バナナには100gあたり290mgのトリプトファン(参考)以外にもビタミン・ミネラル・食物繊維といった栄養素も含んでいます。セロトニンを合成する際に必要なビタミンB6も含みます。

コンビニやスーパーなど、購入できる場所が多く、値段が安いことも魅力です。

乳製品

日常の中で無理なくトリプトファンを取り入れるなら、ぜひ検討したいのが乳製品での摂取です。

チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品は、もともと普段の生活の中で取り入れている人が多い食材です。朝食に牛乳を加えたり、おやつにチーズを選んだりなど、食事や間食を楽しみながら無理なく摂取できるでしょう。

ナッツ類

トリプトファンを摂取できるナッツ類には、アーモンド・ピーナッツ・カシューナッツ・ゴマなどが挙げられます。

近年はスーパーや輸入食材店・コンビニなどでミックスナッツが手軽に購入できます。間食やお酒のお供に取り入れてみてはいかがでしょうか。

大豆食品

和食を好む人がトリプトファンの摂取を目指すなら、特におすすめなのが大豆食品です。

大豆食品は非常に幅広く、豆腐・味噌・納豆・醤油・湯葉などさまざまです。和食を作る際に高頻度で使用される食材ばかりであり、取り入れやすく購入しやすいメリットがあります。

お蕎麦

お蕎麦もトリプトファンを多く含む食べ物の1つです。普段のランチメニューをうどんからお蕎麦にするだけで、トリプトファンを手軽に摂取できるでしょう。

より効率的にトリプトファンを摂取するのなら、蕎麦粉のみで打たれた十割蕎麦を選ぶのがおすすめです。

メンタルヘルスをケアするために、肥満を防止する

英国のエクスター大学を中心とするグループは、14万5,000人を超えるバイオバンクのデータをもとに、うつ病と肥満との関係について調査しました。

肥満でうつ状態になったり、幸福度が低くなったりした人の中には、代謝的に健康な人(2型糖尿病などのリスクが低い人)と代謝的に不健康な人(2型糖尿病などのリスクが高い人)がいます。しかし研究の結果、双方の遺伝的変異にはほとんど差が見られませんでした。

このことから、肥満からうつ状態になったり、幸福度が低くなったりする要因には、以下の2パターンがあることが明らかになったのです。

身体的要因:肥満による身体的な問題が原因でメンタルヘルスに問題を抱えてしまう
社会的要因:肥満による周囲からの偏見や差別が原因でメンタルヘルスに問題を抱えてしまう

どちらのパターンだったとしても、そもそもの原因が肥満にあることに違いはありません。肥満を防ぐことは、フィジカル面・メンタル面双方にとって重要な危機管理の一種といえるでしょう。

肥満防止につなげる方法

実際に肥満を防ぐにあたっては、複数の手段を日常に無理なく取り入れるのが効果的です。中でも特におすすめの方法について確認していきましょう。

食事の栄養を管理する

同じ量の食事を取っていても、含まれる栄養素によってカロリーは大きく変わります。

糖質や脂質のような体のエネルギー源となる栄養素はそのぶんカロリーも高く、過剰に摂取すると脂肪となって体内に蓄えられてしまいます。

一方で、糖質・脂質と並び『三大栄養素』の1つに数えられるタンパク質を含む食べ物や食材は、カロリーが低いものが多く、腹持ちもよいものが多いです。肥満防止はもちろんダイエットにも効果を発揮するでしょう。

栄養素を意識して食材を選ぶことで、自然とバランスのよい食生活が実現できます。

適量の運動でカロリーを消費する

肥満を予防する上で、ぜひ意識したいのが適度な運動です。ある程度のカロリーを摂取しても、運動によって消費できれば問題はありません。食べることを楽しみながら体型を維持できるでしょう。

また、適度な運動には、セロトニンの合成を促す効果もあります。中でも効果的なのが、一定のリズムで繰り返し体を動かす『リズム運動』と呼ばれるタイプの運動です。具体例としては、ウォーキング・ジョギング・サイクリングなどが挙げられます。

肥満によるうつ病や幸福度の低さを防ぎ、なおかつ幸福ホルモン:セロトニンの合成に役立つ運動は、メンタルヘルスを整えたい人にぴったりの生活習慣といえそうです。

間食をしすぎない

食事で摂取する栄養素やカロリーは気にしていても、間食については無頓着という人は案外多いものです。

中には間食での摂取カロリーが多いことに無自覚で、「食事に気を配っているのになぜか太ってしまう」と悩む人も少なくありません。

基本的に間食は、三度の食事では摂取しきれない栄養素を補う目的で取るものです。食事で十分な糖質や脂質を取っているにもかかわらず、間食にも糖質や脂質が多い食品を選んだ場合、体内の脂肪は徐々に増えていくでしょう。

間食は控えめに、するのであれば不足している栄養素を補う程度で済ませるのがおすすめです。メンタルヘルスと間食の関係についてはこちらの記事もご参照ください。

メンタルヘルスをケアするにあたり、食べ物について気をつけること5つ

食べ物を通じてメンタルヘルスのケアを行うのなら、あらかじめ意識しておきたいいくつかのポイントがあります。順に見ていきましょう。

1.カロリーを取りすぎない

肥満はうつ病や幸福度の低下を招く危険因子の1つです。メンタルヘルスを考えるなら、やはりカロリーの取りすぎには注意する必要があるでしょう。

カロリー源(エネルギー源)になる栄養素は、『炭水化物(糖質)』『脂質』『タンパク質』の3つで、これらは『三大栄養素』もしくは『エネルギー産生栄養素』とも呼ばれています。

1gあたりのカロリーが、炭水化物4kal・脂質9kal・タンパク質4kalであることを覚えておくと、カロリーの取りすぎ防止に役立つでしょう。

2.過剰摂取する必要のない栄養素を取りすぎない

栄養素の中には、取りすぎる必要がないものや、取りすぎないほうがよいものもあります。

代表的なものが糖質で、取りすぎると肥満の原因になるほか、血糖値の乱高下による『血糖値スパイク』がだるさ・眠気・無気力といった症状を引き起こします。

同様に注意が必要なのが脂質と塩分です。脂質はもともとカロリーが高く、なおかつ不足しにくい栄養素であることから過剰摂取になりがちです。

また塩分は、取りすぎることでむくみを起こすほか、食欲を刺激するために食事全体の摂取量が増える原因となります。

摂取している栄養素を日頃から意識するなど、過剰摂取を防ぐ工夫をしましょう。

3.お酒を飲みすぎない

適量のアルコールには、リラックス効果・ストレス緩和・血行促進などのメリットがあります。

ただしこれは適量を守った場合であり、アルコールの過剰摂取が心身へもたらす悪影響は決して小さなものではありません。

厚生労働省が公開している『健康日本21』を見ても、長期間の多量飲酒はアルコールへの依存を招き、心身の健康を損なうと明記されています。

なお、日本人男性の適性アルコール摂取量は1日当たり20g程度(純アルコール)で、体格差などの理由から、女性はそれよりも少量とされています。

「好きだから」「楽しいから」と流されず、嗜む程度に留めるのがお酒の理想的な楽しみ方といえるでしょう。

4.生活習慣と食事習慣を合わせる

メンタルヘルスを意識するのなら、生活習慣と食事習慣との関係にも気を配るのがおすすめです。

食事は基本的にエネルギー補給を目的として行います。体を動かす前にはしっかりと取る必要がありますが、活動しないタイミングで取りすぎるのは好ましくありません。

たとえば「残業の影響で、就寝直前の深夜に夕食をしっかり食べている」という場合、胃腸が休まらないために深い眠りが得られず、睡眠の質が下がってしまいます。

夕食が遅い時間になりそうなときは、昼食と夕食との中間の時間帯に軽食を取り就寝前には食べない、もしくは最小限に済ませるといった方法を取ります。

まずは自身の生活習慣を振り返り、それに合わせた食事習慣を作っていきましょう。

5.消化を考える

消化の悪い食べ物は、消化のよい食べ物に比べて胃腸へ与える負担が大きくなります。

負担の度合いが大きい場合には、胃のむかつきや腹痛・下痢といった不調の原因となり、おのずと気分も落ち込んでしまうでしょう。

特に体の調子がよくないときや、就寝前の食事は消化に注目して食べるものを選ぶのがおすすめです。消化のよい食べ物の具体例としては、ご飯・麺類・卵などが挙げられるでしょう。

消化のよい食べ物を選び、よく噛んで食べることが、胃腸に負担をかけない食事のポイントです。

終わりに

必須アミノ酸の1つ『トリプトファン』は、幸せホルモンの異名を持つ脳内神経伝達物質『セロトニン』の原料です。

赤身の魚やバナナなど、トリプトファンを含む食べ物を積極的に取ることで、精神的な安定を保ちやすくなるでしょう。

肥満の防止もメンタルヘルスを安定させる上で大切なポイントです。食べ物のカロリーや含まれる栄養素に対する理解を深め、バランスのよい食事を通じたメンタルヘルスの維持を目指しましょう。

メンタルヘルスの維持と管理は重要ですが、難しいことでもあります。しかし、食事をうまく管理することで気持ちが上向きになり、日々の生活における不調が少なくなるのであれば、ぜひ自分が何を食べるのか、考えていきたいですよね。日本では、企業で働く人のために企業が福利厚生を提供していることもあり、福利厚生の中には従業員の昼食などをサポートする『食事補助』制度を導入している企業も存在します。

有名な食事補助の福利厚生には「チケットレストラン」があります。この福利厚生サービスは日本で30年以上の実績がある、信頼ができるものです。全国のコンビニなどでも使える電子カードでの食費補助となるため地域や職種での公平性が高い点が評価されています。あなたの勤務する会社にも導入されているか、ぜひ調べてみてください。

参考

https://www.exeter.ac.uk/research/news/articles/highbmicausesdepressionan.html
https://www.kracie.co.jp/ph/coccoapo/magazine/13.html
https://www.shaho-net.co.jp/kokoromokaradamo/02/index.html
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html#A53
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=119&category=health
https://diamond.jp/articles/-/115300

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