正社員不足が深刻化する中、企業の人材確保が課題となっています。本記事では、最新データに基づく正社員不足の実態と、効果的な対策を詳しく解説します。人材獲得や定着に効果的な食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
正社員不足の現状|51.0%の企業が人材不足を実感
帝国データバンクが実施した『人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)』によると、2024年4月時点で実に51.0%もの企業が正社員不足を実感しています。前年同月比では0.4ポイント低下しているものの、依然として高水準で推移しており、日本企業の半数以上が人材確保に苦慮している現状が浮き彫りとなりました。
出典:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)|(2024年5月2日)
まずは、正社員不足の現状について、業種別・企業規模別に詳細を解説します。
業種別にみる正社員不足の実態
正社員不足の状況は、業種によって大きく異なります。「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によると、正社員不足が最も深刻な業種トップ5は以下の通りです。
順位 | 業種 | 人手不足割合(%) |
1位 | 情報サービス業 | 71.7 |
2位 | 旅館・ホテル業 | 71.1 |
3位 | 建設業 | 68.0 |
4位 | 自動車・同部品小売業 | 64.9 |
5位 | 金融業 | 64.2 |
情報サービス業では、デジタル化の急速な進展に伴いIT人材の需要が高まる中、供給が追いついていない状況です。
旅館・ホテル業は、インバウンド需要の回復により人手不足が顕著になっています。建設業では、高齢化と若手の入職減少が深刻な課題となっているほか、自動車関連や金融業でも、専門知識を持つ人材の確保に苦戦している実態が浮かび上がっています。
大企業と中小企業の比較:規模による人材確保の格差
正社員不足の状況は、企業規模によっても大きな差が見られます。
東京商工リサーチ(TSR)が2024年4月に行った『企業の「人手不足」に関するアンケート調査』によると、大企業では77.6%が正社員不足を感じているのに対し、中小企業では68.4%となりました。この結果から、大企業の方が中小企業よりも正社員不足を強く感じている傾向が見られます。
ただし、両者とも高い割合で人材不足を実感しており、規模を問わず人材確保が課題となっていることが分かります。
参考:東京商工リサーチ|「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務 | TSRデータインサイト
正社員不足が企業に与える影響と課題
正社員不足は、企業経営に多大な影響を及ぼします。具体的にどのような課題が生じるのか、詳しく見ていきましょう。
生産性の低下と業績悪化リスク
正社員の不足により、まず懸念されるのが、生産性の低下です。必要な人員が確保できないことで、業務の遂行に支障をきたし、納期遅れや品質低下などの問題が発生する可能性があります。これは顧客満足度の低下につながり、最終的には売上減少や業績悪化のリスクを高めることになります。
例えば、製造業で生産ラインの人員が不足した場合、生産量が減少し企業としての利益も減少するでしょう。また、サービス業の場合には、顧客対応の質の低下に伴う顧客離れが危惧されます。
企業にとって、正社員不足は経営の根幹を揺るがす重大な問題です。
従業員の負担増加とモチベーション低下
正社員不足は、既存の従業員にとって大きな負担です。人員が足りないぶん、一人あたりの業務量が増加し、長時間労働や休日出勤が常態化する恐れがあります。その結果、従業員の心身の健康に悪影響を及ぼし、モチベーションの低下や離職率の上昇につながる可能性も否定できません。
さらに、新しい人材の教育や指導の負担も既存の従業員に集中することになり、本来の業務に支障をきたす可能性が高くなります。このような負の連鎖を防ぐためにも、適切な人員配置と業務の効率化が不可欠です。
新規事業や拡大計画の遅延
正社員不足は、企業の成長戦略にも大きな影響を与えます。新規事業の立ち上げや事業拡大には、それを担う人材の確保が不可欠です。しかし、必要な人材を確保できない場合、新たな取り組みを断念したり、計画を大幅に遅延させざるを得ない状況に陥る可能性があります。
特に、急速に変化する市場環境において、タイムリーな事業展開ができないことは、競争力の低下につながりかねません。正社員不足は、企業の将来的な成長を阻害する要因となり得るのです。
「2024年問題」と正社員不足:建設業と運輸業の危機
2024年4月、建設業・運輸業を中心に時間外労働の上限規制が適用されました。これにより、該当する業界では更なる人手不足が懸念されています。この「2024年問題」について、詳しく見ていきましょう。
関連記事:【2024年問題】人材不足にどう対応する?想定されるリスクと対策
時間外労働規制の影響と対応の必要性
時間外労働の上限規制により、労働時間の管理が厳格化されました。これまで規制を猶予されてきた建設業や運輸業においても、長時間労働で対応してきた業務を、限られた時間内で遂行することが求められるようになりました。この変化に対応するためには、業務の効率化や人員の増強が不可欠です。
こうした事態を踏まえ、企業はデジタル技術の導入による業務効率化や多様な働き方の導入、さらには新たな人材の確保など、複合的な対策を講じる必要があります。規制への対応を単なる負担ではなく、業界全体の構造改革の機会として捉えることが重要です。
建設業における正社員不足の現状と対策
建設業では、高齢化と若手入職者の減少により、深刻な人手不足に直面しています。帝国データバンクの調査によると、建設業の68.0%の企業が正社員不足を感じているという結果が出ています。
この状況を改善するためには、若手人材の確保と育成が急務です。具体的には、建設業の魅力を発信する広報活動の強化や、インターンシップの充実・技術者育成プログラムの開発などが考えられます。
併せて、ICT技術の導入による生産性向上や女性やシニア層の活用など、多様な人材戦略も重要です。
運輸業が直面する人材確保の課題
運輸業、特にトラック運送業では、ドライバー不足が深刻な問題となっています。長時間労働や厳しい労働環境といったネガティブなイメージが浸透していることもあり、若手の入職が減少しているのが現状です。
こうした事態にあって、企業の最優先課題は、やはり労働環境の改善です。給与水準の引き上げや、休憩・休日の確保、福利厚生の充実などが求められます。また、配送ルートの最適化やAI活用による効率化、さらには自動運転技術の導入検討など、技術面からのアプローチも重要です。
業界全体で魅力的な職場づくりに取り組むことが、人材確保の鍵となります。
正社員不足解消のための効果的な対策
正社員不足の解消に向けて、企業が取り組むべき対策とはどのようなものなのでしょうか。特に注目したいポイントを紹介します。
採用戦略の見直しと多様な人材の活用
少子高齢化が進む現代日本において、従来の採用方法だけで必要な人材を確保することは困難です。そこで重要になるのが、採用戦略の見直しと多様な人材の活用です。
具体的には、SNSを活用した採用活動の強化や、オンライン面接の導入など、デジタル技術を駆使した採用手法の導入が挙げられます。また、女性やシニア層・外国人材など、これまで十分に活用されてこなかった人材層へのアプローチも重要です。
例えば、女性の活躍を推進するために、育児・介護との両立支援制度を充実させたり、シニア層の経験を生かせる職場環境を整備したりすることが考えられます。外国人材の活用においては、言語サポートや文化的な配慮も必要となるでしょう。
待遇改善|賃金と福利厚生の重要性
正社員の確保と定着率向上のためには、待遇改善が欠かせません。特に、賃金と福利厚生の充実は重要な要素となります。
賃金面では、業界平均を上回る水準を目指すことはもちろん、成果に応じた報酬制度の導入や、スキルアップに連動した昇給システムの構築なども効果的です。
福利厚生においては、従業員のニーズに合わせた多様なメニューを用意することが重要です。例えば、柔軟な勤務形態の導入・充実した研修制度・健康管理サポート・住宅補助・育児介護支援など、従業員のライフステージに応じた支援が求められます。
働き方改革の推進:柔軟な勤務体制の導入
正社員不足の解消には、働き方改革の推進も重要な要素となります。特に、柔軟な勤務体制の導入は、多様な人材の確保と既存社員の満足度向上に効果的です。
具体的には、フレックスタイム制やリモートワークの導入が挙げられます。これらの制度により、育児や介護と仕事の両立が容易になり、優秀な人材の確保につながります。また、通勤時間の削減や、働く場所の自由度向上により、従業員の生産性向上も期待できるでしょう。
人材育成とリスキリングの重要性
正社員不足の解消には、総合的な労働力という点で、新規採用だけでなく、既存社員のスキルアップも重要です。特に、急速に変化する業界においては、継続的な学習と新しいスキルの習得が不可欠です。
企業は、従業員のスキルアップを支援する研修制度の充実や、社内外の教育プログラムへの参加促進・資格取得支援など、積極的な人材育成策を講じる必要があります。
また、リスキリング(スキルの再開発)に注力し、社内の人材配置をコントロールすることで、人材不足への対応も可能です。
関連記事:リスキリングの事例7選。メリット・デメリットや施策の進め方も解説
技術導入による生産性向上
正社員不足に対応するもうひとつの重要な戦略が、技術導入による生産性向上です。AI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、IoTなどの先端技術を活用することで、業務効率化と人材不足の解消を同時に実現できる可能性があります。
例えば、RPAを導入し、データ入力や請求書処理などの定型業務を自動化すれば、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。また、AIを活用した需要予測システムによる人員配置の最適化も可能です。
注目の対策:食事補助サービスによる福利厚生の充実
正社員不足解消のための効果的な福利厚生策として、近年注目を集めているのが食事補助の福利厚生サービスです。従業員の健康管理と満足度向上に直結するこの施策について、詳しく見ていきましょう。
食事補助がかなえる従業員の健康管理と生産性向上の両立
食事補助の福利厚生サービスの導入は、従業員の健康管理と生産性向上の両立を実現する効果的な施策です。
適切な食事は、従業員の心身の健康維持に不可欠です。その点、食事補助が提供されている企業の従業員は、忙しい業務の合間でも気軽に栄養バランスの取れた食事を取ることができます。また、従業員の健康は、医療費の削減にもつながります。
これらのメリットは、健康経営に取り組む企業や、コスト管理に苦心している企業にとって特に大きなメリットです。
なお、食事補助が導入されている企業では、食事時間を通じたコミュニケーションの活性化も進みます。部門間の連携強化や情報共有の促進、ひいては企業全体の生産性向上も期待できるのです。
「チケットレストラン」の概要と導入メリット
食事補助の福利厚生サービスの中でも、近年特に多くの企業から注目されているのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。
「チケットレストラン」は、従業員の食事を企業が補助する福利厚生サービスです。専用のICカードやスマートフォンアプリを使用し、ファミレスやコンビニ・三大牛丼チェーンなど、全国25万店舗以上の加盟店で利用できます。
勤務時間内であれば、場所や時間を選ばず使用できるため、夜勤やリモートワーク・出張中の従業員も通常通り利用できます。利用店舗も加盟店の中から自由に選べるため、健康上の管理が必要な従業員も幅広い選択肢から好みの食事を楽しむことが可能です。
また、「チケットレストラン」は、一定の条件下で福利厚生として経費計上できるため、企業の法人税を軽減する効果が期待できます。提供される側の従業員も、一定の利用条件下であれば課税対象になりません。コストは同じでも、従業員の実質的な手取りを増やせることから、従業員のエンゲージメント向上や、他社との差別化により一層寄与します。
出典:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
この仕組みは、「定期昇給」「ベースアップ」に並ぶ「第3の賃上げ」として広く注目され、数々のメディアでも取り上げられています。「チケットレストラン」は、人手不足解消の一手として、ぜひ検討したいサービスといえます。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
関連記事:サンデーステーションでも話題!「第3の賃上げ」で手取りをアップ
正社員不足解消への道筋と企業の取るべき姿勢
正社員不足は多くの日本企業が直面する重要な経営課題です。
企業規模や業種によって状況は異なりますが、適切な対策を講じなければ、生産性の低下や業績悪化、さらには企業の成長戦略にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
この課題に対処するためには、採用戦略の見直しや多様な人材の活用・待遇改善・働き方改革の推進・人材育成とリスキリング・技術導入による生産性向上など、多角的なアプローチが必要です。
特に注目すべきは、福利厚生の充実です。食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」のような施策を取り入れることで、従業員の健康管理と満足度向上、さらには採用力の強化も期待できるでしょう。
正社員不足の解消は一朝一夕には実現できません。しかし、長期的な視点に立ち、従業員の満足度向上と企業の持続的成長を両立させる施策を着実に実行していくことが、この課題を乗り越えるための最善の道筋です。自社の抱える課題を明確にし、必要な取り組みを進めましょう。