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【社労士監修】大企業の人手不足問題|背景から解決策までを徹底解説

【社労士監修】大企業の人手不足問題|背景から解決策までを徹底解説

2024.03.29

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

日本の大企業が直面している人手不足問題の背景には、少子高齢化やコロナ禍からの経済活動の本格化・若者の価値観の変化など、さまざまな要因があります。本記事では、大企業の人手不足の現状を解説すると共に、人手不足が企業に与える影響や解決策など、大企業の人手不足問題について知っておきたい情報を紹介しています。

大企業の人手不足の現状

少子高齢化に伴う人手不足に、コロナ禍からの経済活動の本格化が拍車をかけ、人手不足が一層深刻化しています。

まずは、大企業の人手不足の現状について詳しく解説します。

東京商工リサーチの2023年12月の調査によると、全体の7割超(71.1%)の企業が人手不足を感じており、欠員率が5%以上の企業は約半数(51.4%)に達しました。人手不足は企業規模を問わず広がっており、大企業でも深刻な課題となっています。

内閣府・財務省の法人企業景気予測調査(2024年1-3月期)でも、大企業の雇用人員判断BSIはプラス28.3ポイントと、不足感が強い結果となっています。

人手不足に直面する企業の割合

東京商工リサーチの2023年12月に実施した「欠員率に関するアンケート調査」によると、全体の7割超(71.1%)の企業が人手不足を感じており、欠員率が5%以上の企業は約半数(51.4%)に達しました。

東京商工リサーチ|2023年12月「欠員率」に関するアンケート調査

出典:東京商工リサーチ|従業員の欠員率「5%以上」 企業の51.4%と半数超え 「宿泊業」「建設業」「情報通信業」で人手不足が浮き彫り | TSRデータインサイト

大企業と中小企業の比較では、欠員率5%以上の割合はほぼ同水準(大企業50.1%・中小企業51.5%)でした。一方、人手が「不足していない」と回答した企業の割合は、大企業が18.1%だったのに対し、中小企業は30.0%でした。人材ニーズの高まりの中で、特に大企業で人手不足感が強まっている状況がうかがえます。

この傾向は、内閣府が公表している「法人企業景気予測調査」の結果にも表れています。2024年3月末の雇用人員判断BSIは、大企業がプラス28.3ポイント・中堅企業がプラス41.3ポイント・中小企業がプラス29.0ポイントと、いずれもプラスで、人手不足感が全規模で広がっていることを示す結果となりました。

法人企業景気予測調査(令和6年1~3月期調査)雇用

出典:内閣府・財務省|法人企業景気予測調査(令和6年1~3月期調査)結果の概要

大企業の雇用人員判断BSIは、2011年9月以降51期連続の不足超過となっており、長期的な傾向として人手不足感が根強いことが分かります。

参考:東京商工リサーチ|従業員の欠員率「5%以上」 企業の51.4%と半数超え 「宿泊業」「建設業」「情報通信業」で人手不足が浮き彫り | TSRデータインサイト
参考:内閣府・財務省|法人企業景気予測調査(令和6年1~3月期調査)結果の概要

業種別の人手不足の状況

人手不足の状況には、業種による差が見られます。「欠員率に関するアンケート調査」において、欠員率5%以上の企業の割合が高かったのは、産業別で「農林漁業(75.0%)」「建設業(71.3%)」「情報通信業(66.9%)」などです。

一方、業種別では「宿泊業」で8割超(85.0%)の企業が欠員率5%以上と回答し、コロナ禍からの急激な需要回復に人材確保が追いついていない実情が浮き彫りになりました。次いで「職別工事業」が72.7%・「設備工事業」が71.6%と、2024年の労働時間規制が課題となる建設業の人手不足感が特に強くなっています。

また、法人企業景気予測調査を業種別に見ると、大企業の雇用人員判断BSIは、非製造業(プラス33.0ポイント)で製造業(プラス18.3ポイント)を上回り、サービス業や情報通信業などで人手不足感が強い結果となりました。大企業でも業種による人手不足感の濃淡が表れています。

賃上げ動向との関係

欠員率の高さは、企業の賃上げ動向とも関連しています。欠員率5%以上の企業に2024年の賃上げ意向を尋ねたところ、「2023年を超えそう」との回答は13.7%で、欠員率が低い企業よりも高い傾向が見られました。深刻な人手不足に直面する企業ほど、賃上げで人材を引き留めようとする傾向があるようです。

ただし、「賃上げが難しい」との回答も1割超(12.2%)あり、人手不足下でも業績不振等により待遇改善が難しい企業の存在もうかがえます。産業別では、IT業界で賃上げ意欲が高い一方、不動産業では慎重な姿勢が目立ちました。

人手不足の背景には、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や人材ニーズの変化など、構造的な要因があります。企業の人材獲得競争がますます激化すると見込まれる中、賃上げを含む処遇改善等により人材の確保・定着を図ることが、企業の成長にとって重要な鍵といえそうです。

法人企業景気予測調査においても、大企業の雇用人員判断BSIは2024年6月期に向けて高止まりが見込まれており、人手不足感の継続が示唆されています。

人手不足の背景と構造的要因

大企業を中心に人手不足が広がる中、その背景には日本の構造的な問題があります。詳しく見ていきましょう。

少子高齢化の影響

日本の少子高齢化は世界的に見ても急速に進んでおり、労働力人口の減少に直結しています。

総務省の推計によると、2020年から2070年にかけて生産年齢人口は約4割減少すると見込まれています。働き手の絶対数が減る中で、人材の奪い合いが激化するのは必至の状況です。

特に大企業は、事業の拡大に必要な人材を十分に確保できず、成長の足かせとなるリスクがあります。少子化への対策を国に求めると同時に、限られた人材を有効活用する施策を検討することが重要になるでしょう。

日本の人口の推移|令和5年

出典:厚生労働省|将来推計人口(令和5年推計)の概要

若者の価値観の変化

若者の仕事観や価値観の変化も、人手不足の重要な背景のひとつです。

近年の傾向として、働きやすさだけでなく、自己成長やスキルアップの機会が得られるかどうかに注目し、就職先を選ぶ若者が増えています。

また、ワークライフバランスや職場の人間関係など、労働環境の質への関心も高まっています。終身雇用制度にとらわれず、転職でのキャリアアップを前提としたキャリアプランを立てている求職者も少なくありません。柔軟な勤務制度の導入や、教育研修の充実など、若者のニーズを踏まえた雇用環境の整備が求められています。

人材のミスマッチ

人手不足が叫ばれる一方で、求人と求職のミスマッチも発生しています。例えば、建設業や介護など一部の職種では人手が慢性的に不足している半面、事務職などでは求職者が仕事を見つけられない余剰の状況があります。

労働市場の需給バランスが崩れている結果、人材の偏在が起きているのです。産業構造の変化やデジタル化の進展に伴い、求められるスキルセットが変化していることも、ミスマッチに拍車をかけています。

人手不足が企業に与える影響

人手不足が企業に与える影響は、決して軽微なものではありません。詳しく見ていきましょう。

業務効率の低下

人員不足は業務の効率低下につながります。人手が足りないことにより、一人当たりの仕事量が増え、業務に支障が出るケースも珍しくありません。

場合によっては、人員を確保できないことで、受注機会を逃したり納期遅れが発生したりするなど、ビジネスチャンスを逸するリスクもあります。適正な人員配置と業務の効率化が求められています。

従業員のモチベーション低下

人手不足は、従業員のモチベーションにも影響を与えます。というのも、人員が不足している組織では、残業時間が増加したり、休暇取得が困難になったりと、労働環境が悪化しがちだからです。

また、人材育成の機会が減ることで、従業員のスキルアップやキャリア形成が滞る恐れもあります。ひいては、生産性の低下や離職率の上昇にもつながりかねません。従業員のエンゲージメントを高める施策と合わせて、人材の適正配置を進めることが重要です。

事業の縮小・停滞リスク

深刻な人手不足は、事業の縮小や停滞を招く恐れがあります。

人手不足が事業そのものに与える影響について、大企業では軽く考えられがちですが、軽視は禁物です。人材不足が新規事業の立ち上げや海外展開の制約要因となるなど、企業としての成長の機会を逃す可能性が考えられます。

人手不足解消に向けた具体策

人手不足の解消に向けては、多様な働き方の推進や外部人材の活用など、さまざまな対策が考えられます。人手不足の解消に有効な具体作を紹介します。

多様な働き方の推進

多様な働き方を推進することは、人材の確保と定着に有効です。例えば、フルタイム勤務以外にも、短時間勤務や時差出勤など、柔軟な勤務形態を用意することで、育児や介護を抱える従業員も働きやすい環境を整えられます。

また、テレワークの導入により、通勤時間の削減や勤務地の制約を緩和することも可能です。女性やシニア層など、多様な人材の活躍を後押しする制度設計が求められます。

外部人材の活用

外部人材の活用も、人手不足の解消策の一つです。例えば、兼業・副業人材を登用することで、即戦力を確保できます。

また、フリーランスなど、外部の専門人材に業務の一部を委託することで、社内の人的リソース配分を最適化することも可能です。特に、IT人材など専門性の高い人材は、外部からの調達も選択肢の一つといえるでしょう。

ただし、外部人材の活用に当たっては、機密情報の管理など、セキュリティ面での対策も重要になります。

リスキリング支援

既存の従業員のスキルアップを支援することも、人手不足解消に向けた有効な手段です。

経済産業省は、リスキリングを次のように定義しています。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

出典:経済産業省|リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流ー

デジタル化の進展などを背景に、企業に求められる人材像が変化しつつある中、社内の人材を育成し、有効活用することが重要になっています。

参考:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事

採用対象の拡大

採用対象を拡大することも、人手不足解消に向けた選択肢の一つです。例えば、外国人材の採用に積極的に取り組むことで、採用対象を大幅に拡大できます。

また、女性や中高年齢者など、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を進めることも有効です。ダイバーシティ経営の観点からも、多様な人材の活用は重要なテーマです。採用だけでなく、社内の受け入れ体制の整備など、包括的な取り組みが求められます。

デジタル技術の活用

デジタル技術の活用は、人手不足の解消に向けた重要な取り組みです。例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、ルーティン化された単純作業を自動化し、業務の効率化を図ることができます。

また、AIやビッグデータ分析など、先端技術を活用することで、業務の高度化と省力化の実現も可能です。人的リソースに頼らない業務プロセスの構築が求められる中、デジタル投資の重要性が高まっているといえるでしょう。

大企業が人手不足を解消するには?

マイナビキャリアリサーチLab」は、2024年卒業予定の全国の大学生・大学院生(内々定を保有している学生)を対象に「マイナビ2024年卒内定者意識調査」を行いました。同調査において、人事制度等の情報で「入社意欲を高めると思うこと」について質問したところ、もっとも多い74.1%が「福利厚生の充実」と回答しています。

「待遇(給与や賞与など)の良さ」が64.6%・「社風や雰囲気の良さ」63.9%と続くところを見ても、若い世代の求職者にとって、福利厚生の重要性は非常に高いといえます。

裏を返すと、福利厚生を充実させることは、大企業が人手不足を解消するための貴重な突破口なのです。

参考:マイナビキャリアリサーチLab|2024年卒内定者意識調査

福利厚生で求められる「食事補助」

エデンレッドジャパンは、全国の中小企業に勤める30〜50代男女を対象に2022年に行った調査では、「転職先に導入されていてほしい福利厚生」として、53.1%の人が「食事補助」と回答しています。

導入されていて欲しい導入したい福利厚生 

出典:エデンレッドジャパン「働き方・待遇に関する意識調査」

一方、企業側に「自社に導入・拡充したい福利厚生」を尋ねたところ「食事補助」を挙げたのはわずか18.8%でした。

これは、多くの従業員が福利厚生として「食事補助」を望んでいるにもかかわらず、実際にはかなえられていないことを意味します。

つまり、大企業が人手不足を解消するための施策として、まず検討したいのが「食事補助」の導入なのです。

日本最大級の食事補助サービス

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、専用のICカードとアプリで利用する、食事補助の福利厚生サービスです。

チケットレストラン」を利用する従業員が加盟店で食事をし、専用のICカードで支払うと、食事代が半額になります。

一般的な社員食堂や宅配弁当とは異なり「チケットレストラン」を利用するタイミングは個人の自由です。勤務時間内であれば、時間も場所も問わないため、ランチだけでなくおやつを購入等にも利用できます。リモートワークや出張中でも問題ありません。

こうした利便性の高さが広く評価され「チケットレストラン」は、導入企業数2,000社以上・利用率98%・継続率99%・満足度93%を誇る、日本最大級の食事補助福利厚生サービスとなっています。

大企業の人手不足解消には福利厚生が有効

人手不足は、少子高齢化の進展により、今後ますます深刻化することが予想されます。企業の持続的成長を実現するためには、人手不足の解消に向けた中長期的な取り組みが欠かせません。多様な人材の活躍推進やデジタル技術の活用など、さまざまな対策を組み合わせながら、総合的に人材戦略を推進していくことが求められます。

なお、大企業が人手不足を解消するためには、福利厚生の充実が有効です。特に、多くの求職者に必要とされている食事補助を提供することで、求職者にとって魅力的な企業としてアピールできるでしょう。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を、ぜひ一度チェックされてはいかがでしょうか。

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