2040年問題は、日本が超高齢化社会に直面する中で生じる総合的な社会課題を指します。高齢者率がピークに達する2040年にはどのような問題が起きるのでしょうか。この記事では、2040年問題の背景や将来の予測、そして将来を見据えて今から取り組むべき対策を解説します。
2040年問題とは|団塊ジュニア世代が高齢者となることで生じる問題
2040年問題とは日本の高齢化が進むことで直面するさまざまな社会課題を指します。2040年問題の発端は、1970年代前半に生まれた団塊ジュニア世代が高齢化し、2040年代には高齢者の割合がピークに達することです。
高齢化と同時に、少子化が進んでいるため、労働力となる現役世代の数が急激に減少します。このような状況下では、医療や介護などの社会保障費が増大し、同時に社会保障費を担う納税者の数が減少することが明らかです。そのため、社会保障の持続可能性を確保するためには、どのような対策を講じるべきかが議論されています。
2040年問題で生じる具体的な問題とは?
2040年問題で発生する事態について、具体的に解説します。
高齢者の増加と労働者人口の減少
2025年以降、高齢者人口は緩やかに増え、生産年齢人口である現役世代は急減が加速という人口構造の変化が起きます。厚生労働省の「今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えて ー」によると、2000年〜2025年にかけて高齢者人口は急減し、なかでも75歳以上の割合は142%も増加しています。団塊世代がすべて2025年に75歳を迎えるためです。2025年以降については、75歳以上の割合の増加率は緩やかになります。2025年と2040年の75歳以上の割合の比較では2.7%の増加となる見込みです。
一方で、労働者人口の減少という人口構造の変化も進みます。労働者人口減少という人口構造変化の背景にあるのは、2040年に団塊ジュニア世代がすべて65歳以上になることです。2000年には8,638万人いた労働者人口は、2025年には7,170万人、そして2040年には5,978万人になると推定されており、減少傾向の加速が指摘されています。
出典:厚生労働省|今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えて ー
人口構造が変化するとともに、就業者数も推移します。厚生労働省「今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えて ー」によると、就業者数は2018年に6,580万人でしたが、2025年には推定6,350万人、2040年は推定5,650万人です。約20年程度の間に930万人も減少すると見込まれています。
参照:厚生労働省|今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えて ー
社会保障給付費の増大
2040年には、高齢者の増加により、年金・医療・介護を中心とする社会保障給付費の増大が大きな問題となります。厚生労働省「今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー」では、高齢者の増加により、2018年から2040年にかけて約1.5倍以上の社会保障給付費の増加を見込みました。データを元に算出した年金・医療・介護の分野ごとの増加率は、それぞれ約1.29倍、約1.71倍、約2.36倍です。
2018年 | 2025年 | 2040年 | 2018年と2040年の比較 | |
給付額 | 約121兆円 | 約140兆円 | 約190兆円 | 約1.57倍 |
給付額のうちの年金 | 56.7兆円 | 59.9兆円 | 73.2兆円 | 約1.29倍 |
給付額のうちの医療 | 39兆円 | 48兆円 | 67兆円 | 約1.71倍 |
給付額のうちの介護 | 11兆円 | 15兆円 | 26兆円 | 約2.36倍 |
出典:厚生労働省「今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー」
また、内閣府の「令和4年版高齢者白書」では、2040年には「65歳以上人口を15〜64歳人口で支える割合」が1.5となるそうです。今後、着実に現役世代の負担が増加することがわかります。
出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書
現在でも、2025年に団塊の世代が75歳以上になることを見据え、2019年10月の消費税の引き上げ、2024年からの後期高齢者の医療保険料引き上げが実施されています。このような社会保障給付費を補うための負担増は、今後も継続的に実施されるでしょう。
参照:厚生労働省|今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー
参照:内閣府|令和4年版高齢社会白書
2040年問題への対策
2040年問題に向けて、どのような打開策があるのでしょうか。厚生労働省「今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー」を元に対策を解説します。
1.多様な就労・社会参加の環境整備
2040年は、現役世代の減少が課題です。そのため、労働者人口の増加を推進します。65歳を超えてもまだ労働力となりえるシニア世代が活躍できる社会を目指し環境を整備することが大切です。シニア世代は、スキルや経験が豊富でアドバイザーとしての活躍も期待できます。女性の労働力も注目されています。家事・育児・介護などの家庭の事情があってもスムーズに社会参加が可能な制度が必要です。
2.健康寿命の延伸
医療や介護を必要とする年齢を引き上げるため、健康寿命(日常生活に制限のない期間)を伸ばす取り組みも欠かせません。健康寿命と平均寿命の差は「不健康な期間」を意味します。健康寿命の延伸により、個人の生活の質の低下を防ぎつつ、増えゆく社会保障費の軽減効果が期待できるでしょう。なお、平成26年の厚生労働省「厚生労働白書」によると、健康寿命と平均寿命の間に男性は9.13歳、女性は12.6歳の差があります。
出典:厚生労働省 「平成26年版厚生労働白書」
3.医療・福祉サービスの改革による生産性の向上
不足する労働力を補うために生産性の向上を推進します。厚生労働省「今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー」では、以下の4つの推進が掲げられています。
- ロボット・AI・ICT等の実用化推進、データヘルス改革
- タスクシフティングを担う人材の育成、シニア人材の活用推進
- 組織マネジメント改革
- 経営の大規模化・協働化
4.給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保
今後も引き続き取り組む必要がある対策が、持続可能な社会保障制度のための見直しです。厚生労働省では、2040年を展望した社会保障・働き方改革本部を設置し、大規模ブロジェクトとして新たな改革案を審議します。
参照:厚生労働省|今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー
2040年に向けて企業が行うべき施策
2040年には、労働者人口の減少が企業にとっても深刻な課題となります。2040年に向けて企業が行うべき施策は労働者人口の確保のための対策です。
1.高齢者・女性の雇用拡大
不足する労働力を補うために、今まで雇用の対象とみなされていなかった高齢者や女性の雇用を推進しましょう。就業制度の見直しなどにより、70歳までの雇用確保を図る、複数のメニューを用意し、労使の話し合いの上で個人の選択が効く仕組みを導入する、といった工夫が求められます。
2.DX化の推進
労働力不足をDX化による業務効率化で補います。DX化とは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語で、「デジタルによる改革・変革」の意です。ロボット・AI・ICTを活用した業務効率化とも組み合わせることで、業務効率化と事業の継続を目指します。
3.企業ブランディング
労働人口が減少により、企業は人手不足に悩まされます。安定した企業経営のためには、十分な人材が欠かせず、ときには優秀な人材の獲得も必要です。そこで重要になるのが、企業ブランディングです。求人市場で他社と差別化を図り、業界内で独自の地位を築くことで、求人でのアピールはもちろんのこと、消費者や顧客からの信頼や存在価値を高められます。
働きたい企業として選ばれ続けるためにできること
労働者人口が減少しても、選ばれる企業になるためにできることを解説します。
働きやすい職場環境作り
働きやすい職場環境を作ることで、企業の魅力を高められます。快適な職場で少ないストレスで働く従業員が増えれば、業績にも好循環が生まれやすく、その輪に入りたい人材は自然と集まるためです。以下に具体例を紹介します。
- リモートワークや時短制度の導入
- 福利厚生の整備
- 休暇取得の推進
- オフィス環境の整備
- 資格取得支援の実施
福利厚生の拡充など待遇の改善
福利厚生は従業員とその家族の生活・健康を支援するものであり、充実した福利厚生がある企業は、従業員を大事にしている企業といえます。福利厚生は、法令上定められた法定福利厚生と企業が独自に提供する法定外福利厚生の2種類です。法定外福利厚生は、企業色を濃厚に出しやすく、魅力ある企業作りのために欠かせません。
福利厚生としての食事補助で企業の魅力アップ
食事補助は従業員から人気の福利厚生です。ここからは福利厚生の食事補助サービス「チケットレストラン」について紹介します。
「チケットレストラン」が選ばれる理由
- 従業員にランチ代を半額補助
- パート・アルバイトなどの正社員以外の雇用形態の従業員も対象にできる公平性の高さ
- 食事補助で実質手取りアップが実現
- 企業と従業員の双方に税制上のメリットを還元
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、従業員に専用のICカードを配布し、タッチ決済での支払いを通じてランチ代を半額補助する食の福利厚生です。加盟店は、全国25万店舗以上、大手コンビニやカフェチェーン店で利用できます。企業と直接契約がある全従業員を対象にでき、パートやアルバイト従業員にも還元できる公平性の高さも人気です。要件を満たすことで福利厚生費として計上でき、同額を給与として上乗せされるよりも実質手取りが増えるというメリットもあります。
導入メリットは従業員だけではありません。補助額を経費に計上できるため福利厚生費の増大が負担になりにくいこと、導入が簡単で運用の手間もほとんどないことです。従業員も企業も高評価をしている表れは「導入後の企業継続率99%、従業員利用率98%、従業員満足度93%」という数値から読み取れます。
労働人口減少見据えた対策で2040年問題に備えを
2040年問題では、少子高齢化が進み、増大する社会保障費用を少ない現役世代が支える仕組みの持続可能性が問われています。近い将来、企業が深刻に直面する課題は人手不足です。企業は人材確保・離職防止のための策を講じなければなりません。
魅力的な福利厚生は、人材確保のための手段になりえます。「チケットレストラン」は、多様な雇用形態の従業員に提供でき、求人での差別化に貢献できる食の福利厚生サービスです。ぜひ、2040年問題への打開策の1つとして「チケットレストラン」を導入してみませんか。