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2030年問題は超高齢化で介護が鍵!12の対策で将来性のある企業へ躍進

2030年問題は超高齢化で介護が鍵!12の対策で将来性のある企業へ躍進

2024.03.26

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日本の人口構造の変化により起こる社会問題が2030年問題です。高齢者の増加の過渡期である2030年には、医療・介護ニーズが高まります。どのように給付の不足分を補うのか、誰が介護を担うのか、を考えなければなりません。

介護業界に属する企業はもちろんですが、介護業界以外の企業にも「介護離職」の影響があると考えられます。本記事では、2030年問題で指摘されている課題と、企業が2030年問題のリスクを軽減するための対策を解説します。早期対策が肝心です。長く企業が存続するために本記事を役立ててください。

 

2030年問題とは?

2030年問題とは、日本の人口の1/3が65歳以上の高齢者になるという「超高齢化」によって引き起こされるさまざまな社会問題の総称のことです。少子高齢化が進むと、生産年齢人口(15歳以上65歳未満のすべての人)が減少し、高齢者の割合が上昇します。高齢者が増えれば、社会保障費は膨れ上がることが見込まれますが、生産年齢人口が減るため、増加した費用を賄うことは困難です。生産年齢人口が減ってGDPも減少することから、国の財源確保も難しいと推察できます。

3人に1人が高齢者となる超高齢社会になる

2030 年 問題 介護_01

出典:内閣府|令和2年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況(1)

2030年には高齢化率(総人口における65歳以上人口)は約31%になると推測されています。2030年には、全人口における3人に1人が高齢者です。

生産年齢人口が減少

日本の生産年齢人口は、1995年の8,716万人をピークに減少傾向です。2030年には、6,875万人を見込んでいます。なお、総人口についても2010年の12,806万人をピークに減少を続けており、2030年には11,900万人を見込んでいます。

高齢化と生産年齢人口の減少により、65歳以上の人口を15〜64歳で支える割合が大きく変化する点に注目しましょう。年々、現役世代の負荷は高まっていますが、2030年には1.9人で1人の高齢者を支えることになるのです。国立社会保障・人口問題研究所による2030年の人口ピラミッドからは、最も高い山である団塊の世代層が生産年齢人口から高齢者に移っていることがわかります。

2030 年 問題 介護_032030 年 問題 介護_02出典:国立社会保障・人口問題研究所|人口ピラミッド(令和5年推計)

経済成長率・GDPの低下

生産年齢人口(15歳〜64歳)の減少は、労働力人口(15 歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)の減少を意味します。あらゆる生産活動は鈍化し、国内市場の生産性は減少するでしょう。

(参考)日本の高齢化は世界でも類を見ないスピードで上昇

世界でも高齢化が社会問題となっていますが、日本の高齢化のスピードは諸外国に例を見ないスピードで進んでいます。内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、日本と欧米諸国の高齢化率を比較した場合、日本が飛び抜けて高齢化率が高いことがわかります。

2030 年 問題 介護_04出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書

高齢化率が7%から14%に到達するまでの所用年数の比較についても見てみましょう。欧米との比較では日本が24年、最も短いドイツが40年と、日本の短さが際立ちます。一方で、アジア諸国に目を向けると、シンガポール17年、韓国18年、中国23年と日本を上回るスピードで高齢化が進みつつあるようです。

2030 年 問題 介護_05出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書

2025年問題の延長線上にある「2030年問題」の社会影響

2025年問題とは、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になるタイミングと、その社会影響を総称した問題のことです。つまり、2030年問題は2025年問題の延長線上にある問題です。2025年問題では、人口構造が変化し社会保障給付費が不足することに不安がありつつも、社会を根底から揺るがすほどにはならないでしょう。しかし、2030年問題、2035年問題と進むにつれ、徐々に問題の深刻度が増します。ここからは、どのような問題が起きるのか、具体的に確認していきましょう。

参考記事:「2040年問題」とは?「2025年問題」や介護業界の人材確保との関連性を解説!政府や事業所の対応施策も紹介

医療費の急増

2030年問題で深刻化するのは、医療費の急増です。病院を利用する頻度が高い高齢者が増えることで、医療費の増大が懸念されます。厚生労働省「令和3年度国民医療費の概況」では、65歳以上の医療費の構成割合が60.6%であり、高齢者の医療費が全体の6割を占めています。高齢者の増加は、医療費が急増する可能性を示すものです。

2030 年 問題 介護_06出典:厚生労働省|令和3年度国民医療費の概況

介護ニーズの高まり

65歳以上の人口が増えることは、介護ニーズが高まることを意味します。とくに75歳以上になると要介護(日常生活における基本的な動作が困難で、誰かに介護をしてもらわないと生活が難しい状態のこと)となる割合が増加します。内閣府によると、要介護等の認定は65〜74歳の被保険者の場合2.9%、75歳以上で23.0%です。75歳以上になると、5人に1人以上の割合で介護なしには生活が成り立ちません。また、介護を誰が担うのかも重要な問題となります。

2030 年 問題 介護_07出典:内閣府|令和3年版高齢社会白書

年金受給者の増加

年金は原則として65歳から受給できるため、65歳以上の高齢者が増えれば年金のための予算も増えます。年金についての社会保障費は、2018年と2025年とを比較しても約3兆円の増加が見込まれていますので、今後年金受給者が増えれば予算が増大する可能性は明白です。

2030 年 問題 介護_08参考:厚生労働省|2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)

2030年問題が引き起こす企業への影響

2030年問題による社会影響は、増大する社会保障費をだれがどうやって賄うかがポイントでした。では、企業にはどのような影響が起きるのでしょうか。ここでは、3つのポイントに絞って解説します。

深刻な人手不足と人材獲得競争の激化

2030年問題で生じる人口構造の変化である労働力人口の減少は、企業にとっては深刻な人手不足という形で影響します。中小企業では、現在でも人手不足が深刻です。人材採用の工夫をしたり、企業の魅力を高める制度を取り入れたりと、戦略的に人材採用に力を入れている場合も多いでしょう。しかし、2030年には、より一層深刻な人手不足の可能性が示唆されています。

パーソル総合研究所「労働市場の未来設計2030」では、644万人の人手不足が生じるというデータが発表されました。労働力を確保しなければ企業の存続が危ぶまれるため、激しい人材獲得競争が見込まれます。

2030 年 問題 介護_09出典:パーソル総合研究所|労働市場の未来設計2030

企業淘汰が進行

労働力の不足や昨今の物価高に耐えられなくなった企業の倒産が増える可能性も高いです。人材不足を補うためには、外国人労働者などを起用し、企業の多国籍化が進むことが考えられますが、対応できない場合は対応できる企業に統廃合されると推察されています。DX化やICTの導入が進まなかった企業は、市場で活躍の場を徐々に失うことになるでしょう。

2023年上半期の企業倒産件数は4年ぶりに4,208件をマークし、前年同月比を34.7%上回りましたが、主な倒産の理由は、今後企業淘汰が進むことを物語っています。不況型倒産、破産などの倒産理由のほかにも、後継者難倒産や物価高(インフレ)倒産などがあり、社会変革の局面が企業存続のふるいになるということです。

介護離職の増加

高齢者が増加することで、介護離職者も増加すると推定できます。少し古いデータですが、男女共同参画局によると例年10万人程度は介護・看護を理由に離職しています。また総務省による「令和4年就業構造基本調査結果」では、過去1年間に介護・看過を理由に前の職を離れた総数が約10.5万人です。高齢化により、介護離職は今後はより増えると見込まれます。

2030 年 問題 介護_10出典:男女共同参画局| 男女共同参画白書 平成30年版「I-3-12図 介護・看護を理由とした離職者数の推移(男女別)」

参考:総務省|令和4年就業構造基本調査結果

2030年問題に向けて企業ができる12の対策

あと数年後に控える2030年に向けて、何か手立てを打たなければ企業の存続が危ういかもしれません。以下に紹介する対策に取り組み、企業の将来性を高めましょう。

1.魅力的な福利厚生の充実

従業員にとって魅力的な福利厚生を提供することは、人材確保や人材定着においてプラスになります。オリジナリティの高い福利厚生の拡充は、従業員を大事にしている企業としての市場評価を高めることも可能です。福利厚生を充実させる場合、企業が独自に提供できる「法定外福利厚生」を導入・拡充するのがよいでしょう。

最近注目度の高い福利厚生として、実質手取りアップにもなる「チケットレストラン」という食の福利厚生サービスがあります。2015年にマンパワーグループが実施したアンケートでは、「実際にあってよかった」と思う福利厚生として1位となったのが食の福利厚生です。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の場合、全国25万店舗以上の飲食店で使える専用のICカードを配布し、ICカードで支払うことで食事を提供します。「従業員食堂」や「仕出し弁当」などの従来型のサービスとは異なり、内勤・外勤を問わず利用を促進できます。しかも、福利厚生の非課税枠の仕組みを利用でき、企業は法人税の課税対象とならず、従業員は福利厚生を利用しての実質手取りアップが可能です。経営面も従業員満足度の意味でも魅力を備えています。

参照:マンパワーグループ|2015年「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」アンケート

2.介護と両立できる環境作り

高まる介護ニーズに備え、仕事と介護を両立できる仕組みを整えておくことが大切です。以下のような制度を導入し、突然の介護に対応できるよう従業員に周知しましょう。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤制度
  • 介護費用の助成措置

参考:厚生労働省|短時間勤務等の措置とは

3.シニア人材の活用

人材不足を補うため、シニア人材の活用にも力を入れましょう。元気とはいえ体力の不足が見えてくることから、フルタイム以外の雇用形態で柔軟な働き方を推進する、IT技術の目覚ましい変化に追いつくための研修を導入する、などの方法があります。なお、介護業界については、高齢者の就労先の確保といった側面も満たせることから、シニア人材の活躍が期待されています。

4.時代遅れの制度・慣習等の見直し

時代の流れに追いつけていない制度や慣習の見直しに取り組みます。情報通信審議会による「2030年代に実現したい未来の姿と実現に向けた工程イメージ」では、「対面原則」「過剰サービス見直し」「特区・サンドボックス(無人航空機など新技術等実証のための規制)活用」等が示されました。昔からの慣習などを思い切って辞め、新しいサービスの導入をするにあたり、企業も前向きに協力しなければなりません。

参考:情報通信審議会|2030年代に実現したい未来の姿と実現に向けた工程イメージ

5.DX化推進・ICTの活用

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称です。デジタル技術によってビジネスモデルや業務に変革を起こすことで、企業の持続的な発展を目指せます。

たとえば、介護業界では近い将来介護ロボットの活躍が期待されており、新しいビジネスモデルになると見込まれています。実装に向けて、介護業界におけるDX化・ICT化が必要になるでしょう。

参照:厚生労働省|介護ロボットの開発・普及の促進

6.女性活躍の推進

労働人口の減少をカバーするために、女性の社会参画の割合も増やす必要があります。女性は結婚・出産というライフイベントを機に離職するケースが多いのは周知の事実です。時短勤務制度など、育児と仕事、さらには介護などとも両立できる勤務環境を整備することが、2030年問題への対策となります。

7.企業価値の向上

企業価値を高めることも、2030年に向けて企業がすべきことです。企業価値を高めるためには、収益向上、エンゲージメント向上などが効果的です。まずは、従業員満足度を高める方法がよいでしょう。業務効率性が上がり収益向上にもよい効果が見込めるうえ、企業に大事にされていると従業員が感じることで、エンゲージメントも高められます。

8.健康経営への取り組み

健康経営とは、企業が従業員の健康増進を重視し、向上させるための施策を導入することです。従業員が元気で働きやすい環境を作ると、企業全体の生産性が高まり、業績向上も期待できると考えられています。経済的なメリットに加えて、従業員の健康増進を目指す企業として、企業イメージも高まるのが特徴です。笑顔の従業員が増えるなど心の健康増進にも役立つことも注目されています。介護事業などの場合、健康な従業員は他者とのコミュニケーションがスムーズになることも大きなメリットです。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

9.離職防止施策の導入

人材獲得競争が激化していると想定される2030年に向けて、従業員の離職はできるかぎり避けなければなりません。離職率の低下につながる施策を導入し、定着率を高めましょう。福利厚生の導入やスキルアップのための研修実施など、今から離職防止に努めることが2030年対策になります。

10.人事評価制度の整備

人事評価制度は、すぐに整備できるものではありませんが、長く企業で活躍する人材を育成するために欠かせません。しかも、今後ニーズが高まる介護業界の場合、人手不足を背景に仕事の内容と賃金との差を感じる従業員が多いことが指摘されています。将来の人材確保のために、人材の配置や処遇の基盤となる人事評価制度の整備に着手しましょう。

11.人材の育成

DX化やICT導入をスムーズに行うために、人材育成にも力を入れましょう。たとえば、デジタル人材不足が企業内で深刻化していないうちに、リスキリングによる学び直しを支援する取り組みがあります。デジタル人材の育成は、DX化でビジネスモデルが大幅に変わったとしても、生き残れる企業になるために不可欠です。結果的に2030年に向けてのターニングポイントにもなりえます。

12.副業の容認

厚生労働省による「働き方の未来」によると、2035年には「兼業や副業、あるいは複業は当たり前のこととなる。多くの多くの人が、複数の仕事をこなし、それによって収入を形成することになる。人々はより多様な働く目的を実現することができる」とされています。働くこと自体の価値が変容し、自由に働く時間を選択し、フルタイムやパートタイムなどの分類が意味がないものになるとも示されました。

従業員の働き方に対するニーズを満たすためには、副業を認め、多様な働き方を選べるようにしたうえで、個人から選ばれる企業を目指すことが求められます。

参考:厚生労働省|働き方の未来 2035

長く働きやすい企業を目指すことが2030年問題対策

2030年問題とは、全人口における高齢者の割合が3人に1人になり、医療・介護・年金などの社会保障給付において、支える側と支えられる側が歪なバランスになることで起きる問題を指します。労働量の減少は企業にとっても危機です。人材確保につながる取り組みを今から行うことが、この局面を乗り越えることにつながります。長く働きやすい企業を目指すならエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の導入が近道です。

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