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2024年度介護報酬改定「通所介護」改定情報まとめ

2024.04.18

2024年度の介護報酬改定では、通所介護を含むすべての介護サービスが対象です。本記事では、2024年度介護報酬改定「通所介護(デイサービス)」における改定概要と改定ポイントを詳しく解説します。さらに、2024年度介護報酬改定により介護事業者が今後の経営マネジメントで必要となる視点についても理解を深めていきましょう。

通所介護の改定概要

2024年度の介護報酬改定「通所介護」では、以下のように改定されます。

  • 通所介護の基本報酬が全要介護度で引き上げられ+1.59%を確保
  • 人材確保のため、各種加算の算定要件が見直し
  • 書面公開の原則WebサイトへのUPの義務化や、身体拘束の原則禁止など、これまでになかった利用者保護の観点が強化
  • 処遇改善加算が一本化され、賃金配分のルールが変更
  • 事業継続計画(BCP)と高齢者虐待防止の未実施時の減算が追加

このように、報酬の適正化やサービス向上、人材確保と介護職員の処遇改善を狙いとした改定内容となっています。

通所介護の改定スケジュール

通所介護についての介護報酬改定は、従来と同様に2024年4月1日に施行です。2024年度の介護報酬改定では、サービスごとに施行日が4月1日か6月1日かが異なります。6月1日に施行となるのは、医療と関連性の深いサービスである「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」「居宅療養管理指導」の4つです。これ以外のサービスに該当する通所介護は、4月1日施行のスケジュールとなります。

通所介護の改定内容理解のためのポイント

通所介護の改定を20のポイントに分けて確認していきましょう。記載内容は、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」を参照しています。

ポイント1.基本報酬の引き上げ

通常規模型で要介護1が658単位(現行655単位)、要介護5が1,148単位(現行1,142単位)など、全要介護度で引き上げられました。同様に大規模型Ⅰ・Ⅱでも単位数が上がっています。

通常規模型(7時間以上8時間未満の場合)

規模 現行 改定後 増減
要介護1 655単位 658単位 +3単位
要介護2 773単位 777単位 +4単位
要介護3 896単位 900単位 +4単位
要介護4 1,018単位 1,023単位 +5単位
要介護5 1,142単位 1,148単位 +6単位

大規模型I(7時間以上8時間未満の場合)

規模 現行 改定後 増減
要介護1 626単位 629単位 +3単位
要介護2 740単位 744単位 +4単位
要介護3 857単位 861単位 +4単位
要介護4 975単位 980単位 +5単位
要介護5 1,092単位 1,097単位 +5単位

大規模型Ⅱ(7時間以上8時間未満の場合)

規模 現行 改定後 増減
要介護1 604単位 607単位 +3単位
要介護2 713単位 716単位 +3単位
要介護3 826単位 830単位 +4単位
要介護4 941単位 946単位 +5単位
要介護5 1,054単位 1,059単位 +5単位

ポイント2.豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取り扱いの明確化

積雪などのやむを得ない事情を考慮し、所要時間の取り扱いについて、利用者やスタッフの安全を最優先しつつ、サービス提供事業所の事業運営の確保にも配慮する観点が明記されました。通所時間の遅れや早退があっても、一定の範囲で介護報酬算定が認められるようになります。

ポイント3.事業継続計画未策定事業所に対する減算の導入

感染症や災害発生時にサービス提供を継続できる体制を整備するため、通所介護事業者は事業継続計画(BCP)の策定が義務付けられました。策定していない場合、基本報酬から1%減算されます。ただし2025年3月末までは、感染症予防のための指針と非常災害対策計画があれば、経過措置として減算が適用されません。

ポイント4.高齢者虐待防止の推進

高齢者虐待防止の取り組みが未実施の場合も、基本報酬から1%減算されるようになります。未実施とは、虐待防止委員会の不開催、対応指針の未整備、研修の未実施、担当者の未設置などです。

ポイント5.身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束の適正化を推進するため、通所介護などの通所系サービスでは緊急性が高くやむを得ない場合を除き、身体拘束が原則禁止になります。身体拘束を実施した際は、その態様、時間、利用者の心身状況、緊急性の理由を記録しなければなりません。

ポイント6.認知症加算の見直し

認知症加算では、事業所全体で認知症ケアの実施が求められ、認知症利用者の割合要件が15%に緩和されます。

ポイント7.リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し

リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養管理の一体的な計画書については、項目の整理や他の書類との統一化により、LIFE提出項目を踏まえるなど記載が容易になる見直しが行われます。

ポイント8.通所介護等における入浴介助加算の見直し

入浴介助加算(Ⅰ)では、介護職員への入力介助に関する研修実施が新たに要件として追加されます。入力介助加算(Ⅱ)では、ICTを活用して状況把握を行い、医師等の指示のもと入浴環境を評価することが可能になります。個別入浴計画の作成や、利用者宅と同等の入浴環境の整備なども要件化されました。

ポイント9.科学的介護推進体制加算の見直し

LIFE(科学的介護推進体制)加算では、以下の見直しが行われ、情報収集しやすく入力負担も軽減されます。

  • LIFEへのデータ提出頻度が「6か月に1回」から少なくとも「3か月に1回」に増加。
  • 加算算定に係る様式について、入力項目の定義を明確化し、他加算の選択肢と統一化。
  • 同一利用者で複数の加算算定時は、一定条件でデータ提出タイミングを統一可能。

ポイント10.アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し

ADL維持等加算(Ⅱ)のADL利得要件が「2以上」から「3以上」に変更されます。自立支援・重度化防止をよりいっそう推進する観点が盛り込まれました。ADL維持加算利得のための計算方法も簡素化されます。

ポイント11.介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化

介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の3つが「介護職員等処遇改善加算」に一本化されます。処遇改善加算では、制度の一本化と配分ルールの変更を通じ、介護職員の待遇改善と人材確保をより強力に推進する制度改正がなされるのがポイントです。通所介護の新たな加算率は以下の通りです。

  I II
介護職員等処遇改善加算 9.2% 9.0% 8.0% 6.4%

加算の配分ルールも変更になります。要点は以下のとおりです。

  • いずれの区分を取得していても、最下位区分Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てる。
  • これまでベースアップ等支援加算を取得していなかった事業所が新たに加算を取得する場合、新規の支援加算相当額の2/3以上を新たに月額賃金へ賃金改善として配分しなければならない。

加算の一本化により、職種による配分ルールはなくなり、事業所内で柔軟な配分が可能になります。ただし「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点配分する」ことが求められました。

ポイント12.テレワークの取り扱い

人員配置基準では、テレワークの取り扱いが職種ごとに明確化されます。個人情報の適切な管理と利用者処遇への支障がない前提での対応です。

ポイント13.外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いの見直し

外国人介護職員は、一定の要件を満たせば就労直後から人員基準に算入可能となります。具体的には、外国人職員の日本語力や習熟度、事業者の指導体制などを総合的に判断し、人員算入の可否を決められることになりました。ただし、チーム体制での就労や安全対策の徹底など、一定の要件を満たす必要があります。

ポイント14.個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和及び評価の見直し

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロは、機能訓練指導員の配置時間の定めがなくなり、人材の有効活用が可能になります。同時に評価も見直され、76単位(現行85単位)に変更されます。

ポイント15.特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において「過疎地域」とみなして同法の規定を適用されている地域につき、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることが明確化されます。

ポイント16.通所系サービスにおける送迎に係る取り扱いの明確化

通所介護の送迎については、利便性向上や人材不足への対応から、以下の取り扱いが明確化されます。

  • 送迎の範囲に近隣の親戚の家など「利用者の居住実態のある場所」を含む。
  • ほかの介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者との送迎による同乗が可能になる。

ただし障害福祉サービスの場合は、利用者の利便性を損なわない範囲内の事業所に限られます。

ポイント17.人員配置基準における両立支援への配慮(全サービス共通)

介護職員の確保や定着を図るため、人員基準が見直され「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿った短時間勤務制度の利用者は、週30時間以上の勤務で「常勤」と扱えるようになります。常勤換算での計算上でも1(常勤)として取り扱い可能です。

ポイント18.管理者の責務及び兼務範囲の明確化等(全サービス共通)

事業所の管理者については、利用者サービス場面などの事象を適時に把握し、介護職員と業務を一元的に管理・指揮することが責務とされました。また、同一敷地外の事業所を兼務できる場合があることが明確化されています。

ポイント19.いわゆるローカルルールについて(全サービス共通)

自治体ごとに違う人員配置基準のいわゆる「ローカルルール」については、厚生労働省令に従う範囲内で地域の実態に即したルールを定め、事業者からの説明要求にも応えられるよう、適正な運用が求められています。

ポイント20.「書面掲示」の規制の見直し(全サービス共通)

利用者への重要事項説明について、従来の書面掲示や備え付けの書面での閲覧に加え、2025年度からはWebサイトでの公開が義務付けられます。運営規程の概要や利用料金など、重要な情報をWebサイトで公表しなければなりません。

2024年度介護報酬改定「通所介護」を受けて経営マネジメントで必要な4つの視点

ここからは介護事業者が介護報酬改定に対応するにあたり、経営マネジメントで必要な視点を解説します。前提として把握しておきたいのは、今後介護職員不足が深刻化することです。

令和3年の厚生労働省の資料では、2025年には約243万人、2040年度には280万人の介護職員が必要と見込まれるなど、右肩上がりで介護職員のニーズが高まっています。介護事業所の運営を継続するためには、人材確保と生産性向上という課題に取り組まなければなりません。

介護報酬改定 2024 通所介護_02出典:厚生労働省|第8期介護保険自供計画に基づく介護職員の必要数について

関連記事:人材定着は何に取り組むべき?定着しないときの課題と施策を確認

視点1.介護職員の処遇改善

介護職員の処遇を改善することは、人材確保と定着率向上のために不可欠です。2024年の介護報酬改定では、一定の要件を満たした事業所に対し、処遇改善加算が拡充されます。着実に報酬改定を実施し、介護職員の賃金を向上しましょう。

視点2.介護職員の確保・定着率向上

介護事業者が良質なサービスを提供するには、優秀な人材を確保し、長く定着してもらうことが重要です。そのためには、今回の報酬改定で対応すべき新しい研修を実施し、人材育成を行うことも大事な取り組みとなります。働きやすい環境の整備も大切です。たとえば、食事補助などの福利厚生の拡充により、働きやすさアップにつなげる方法もあります。

視点3.DX化などによる業務の生産性向上

ICTの活用やオンラインシステムの導入など、DXを推進することで、業務の効率化と生産性向上が期待されます。介護記録の電子化や、遠隔地でのケア提供など、新しい取り組みが評価されることを意識することも大切です。

視点4.加算の積極的取得

介護事業者の経営を安定させ、質の高いサービスを提供するために、様々な加算の取得を推奨しましょう。認知症ケアなど、特別な取り組みに対する加算が新設・拡充されています。

食事補助サービス導入による人材確保・定着率向上

2024年度の介護報酬改定は、介護職員の確保と処遇改善が大きなテーマです。介護の人材不足は深刻化しており、優秀な人材を確保・定着させるためには、従業員の処遇改善に取り組まなければなりません。

今回の改定では、減算とならないための対策などを講じる必要があり、人材の確保にまで手が回らない介護事業者も少なくありません。しかし、食事補助を従業員の福利厚生に上手く活用する取り組みならば、比較的負担をかけずにサービスの導入が可能です。食事補助は、介護職員の勤務中の食事を豊かにし、より豊かな気持ちで働ける環境作りに役立ちます。

介護報酬には上限があり、人材採用において他の企業との差別化が難しいという課題があります。だからこそ、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などの福利厚生の食事補助サービスがあることで、求職者の注目を集めやすく、他社にない福利厚生を導入しているという魅力をアピールすることが可能です。優秀な介護人材を確実に確保し、長く働き続けてもらうためにも、福利厚生の活用が有効な手段になりえます。

チケットレストランとは

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、従業員のランチ代を企業が半額補助する福利厚生の食事補助サービスです。「チケットレストラン」の利用可能店舗は、全国25万店舗以上あり、全国で働く介護職員がサービスを平等に利用できます。コンビニやカフェチェーン店はもちろん、 Uber Eats での注文もできるため、従業員がそれぞれ好む方法でランチを楽しめます。

チケットレストランの魅力

勤務中の食事内容が豊かになるだけでなく、コスト面でもメリットがあるのが「チケットレストラン」の魅力です。福利厚生で食事補助を提供する場合、要件を満たすことで非課税枠を活用できます。従業員は企業から受け取った金額について、所得税がかかりません。企業については、従業員に支払った金額につき、経費として計上することが可能です。従業員の手元に残る金額が多くなることから、一度使ったら「また継続したい」という声が多く寄せられ、導入後の従業員利用率は実に98%と高い値を誇ります。

従業員満足度が上がることで、業務の質を高められ、生産性向上にも嬉しい効果が見込めます。もう一品追加したサラダで健康的なメニューを意識できたり、奮発したメニューを注文できランチをより楽しめたりなど、総じて満足度の高い従業員が増えれば、自然に質の高いコミュニケーションを生み出せるものです。「チケットレストラン」は、介護のように人と人との繋がりで成り立つサービスと相性がよいサービスと言えます。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

他社との差別化で介護職員を確保し生き残る企業へ

通所介護の2024年度介護報酬改定では、全体として介護職員の処遇改善が見込まれる内容となりました。介護業界では慢性的に人手不足が課題です。着実に人手を確保するためには、企業の魅力を高め、介護職員に選ばれる工夫が求められます。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生による食事補助サービスは、企業の魅力を語るうえで大きなアピールポイントになります。福利厚生でランチの内容が充実させられるとなれば、従業員の健康面においても気持ちの面でも嬉しい効果があるためです。賃上げが難しい企業、公平な福利厚生を提供したい企業、そして従業員に利益を還元したい企業などに選ばれる「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。

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