監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
昼食代を経費にする場合、勘定科目には何を選べばよいのでしょうか?また、福利厚生費として計上するにはどうしたらよいのでしょうか?昼食代を正しく経費計上できるよう、整理していきましょう。昼食代を福利厚生費にできるおすすめのサービス「チケットレストラン」についても紹介します。
昼食代の仕訳に使われる勘定科目は?
業務に関連する食事であれば、昼食代を経費として計上できます。このとき勘定科目に何を選ぶかで迷ってしまうこともあるでしょう。ここでは、適用される勘定科目とその内容を紹介します。
基本の勘定科目は3種類
昼食代を含む食事代の仕訳をする際は、以下の3つの勘定科目から選びます。
- 交際費(接待交際費):取引先への接待や親睦を目的とした飲食費
- 会議費:会議に伴う飲食費
- 福利厚生費:従業員への慰安を目的とする飲食費
昼食代をどの勘定科目で仕訳するかによって、税額を計算するときに益金から差し引ける損金の額が変わります。損金が多くなるほど税率をかける課税標準が減ることから、税額の計算にも関わります。理解した上で正しく処理をしなければいけません。
勘定科目ごとのポイント
昼食代を経費計上するときに用いる「交際費(接待交際費)」「会議費」「福利厚生費」について、それぞれのポイントをチェックしましょう。
交際費(接待交際費)
交際費(交際接待費)は、取引先など社外への接待や懇親を通じ、ビジネスの円滑化を目的として支出を計上する際の勘定科目です。
法人税法上、原則として交際費は損金に計上できません。これは、交際費の適用範囲の広さから、過剰に計上して不適切な節税工作が行われるのを防ぐための措置です。
一方、適切な会計処理をしていても、ある程度の交際費は発生するのが一般的であることから、国税庁は企業規模ごとに一定の損金算入を認めています。
| 資本金規模 | 損金算入限度額 |
| 1億円以下 | 以下いずれかを適用 ・定額控除限度額(年間800万円)まで ・接待飲食費×50%まで |
| 1億円超100億円以下 | 接待飲食費×50%まで |
| 100億円超 | なし(全額損金不算入) |
一方では、接待交際費に該当する飲食代の総額が、参加人数で割って1万円以下(2024年3月31日以前の食事代であれば5,000円以下)である場合、接待交際費に含まれないこととなっています。
ひとりあたり1万円以下の食事代は、一般的には会議費として経費計上します。会議費には損金算入の上限額が設けられていないため、全額を損金として扱える仕組みです。
ただしひとりあたり1万円以下の食事代を接待交際費から除くには、以下の内容が記載されている書類の保管が必要です。
(1)飲食等のあった年月日
(2)飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3)飲食等に参加した者の数
(4)その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5)その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
出典:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁
関連記事:【税理士監修】交際費等の損金不算入制度の延長・拡充を解説【令和6年度税制改正】
会議費
「会議費」は、取引先との商談や打ち合わせを目的とした支出を計上する場合、もしくはひとりあたり1万円以下の食事代を計上する際の勘定科目です。
会議費そのものに損金算入の上限額はありません。食事代、会場代、資料代、飲食代など、会議費として計上されたものは、全て損金として税額を計算するときに益金から差し引けます。
食事代などの費用を会議費として計上するには、会議の実態を証明する書類を保存しておかなければなりません。具体的には、議事録や、会議の参加人数、参加者氏名をメモした領収書などが該当します。
また会議費であるため、アルコールを含む飲食や、会場が居酒屋であるケースは、基本的に認められません。仕事にまつわる会議や打ち合わせを行った場合に適用できる勘定科目です。
福利厚生費
「福利厚生費」は、従業員の生活向上や働きやすい環境作りを目的とした支出を計上する場合の勘定科目です。原則として全額を損金算入できます。
福利厚生費として認められるには、全ての従業員に平等に福利厚生としてのサービスが提供されており、社会通念上著しく高額ではない金額でなければいけません。
仮に企業が福利厚生として提供したサービスであったとしても、国税庁に認められなければ給与として扱われ、課税対象となるため注意しましょう。
また従業員の食事代をサポートする食事補助は、以下の2つの要件を満たしていれば、給与として扱われず課税されません。
- 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
- 「(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)」の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます)以下であること。
例えば1カ月あたり6,000円の食事代のうち、企業と従業員が3,000円ずつ負担している場合、上記1.2.の要件を満たしているため、給与課税はされません。
同じく1カ月あたり6,000円の食事代でも、企業が3,500円、従業員が2,500円負担している場合、上記1.の要件を満たさないため福利厚生費として計上できません。この場合、企業が負担している3,500円が全額給与として扱われ、課税対象となります。
なお食事代を福利厚生費として計上する場合、原則として現金での支給は認められていません。
関連記事:【税理士監修】福利厚生費の飲食における上限は?会議費や交際費との違いも
この昼食代の勘定科目は?ケーススタディ
業務にまつわる昼食代の支払いはさまざまなケースがあります。食事の相手や目的を明確にすることで、正しい勘定科目で計上可能です。ここではさまざまなケースを見て、判断の参考にしましょう。
Case1:1人での昼食
1人で昼食に出掛けて支払った代金は、業務に必要な経費ではなく、個人の食事代となります。よって、「接待交際費」「会議費」「福利厚生費」のいずれにも該当しません。
Case2:社内のランチミーティング
社内のランチミーティングは、社内会議を兼ねている場合、1人あたり1万円を上限に「会議費」として経費計上できます。
経費計上の根拠となるよう、日時や参加者のメモ、領収書などを保管しておきましょう。
Case3:取引先への接待に伴う昼食
取引先との昼食は、1人あたり1万円以下であれば「会議費」、1万円を超えていれば「接待交際費」となります。
Case4:取引先との会議に伴う昼食
取引先との食事が会議に伴うものであるなら「会議費」での計上が可能です。
会議費には上限金額が定められていないため、会議の実態があり、必要と認められる範囲であれば1万円を超えても問題はありません。
Case5:社内の親睦会としての昼食
全ての従業員を対象として計画された親睦会で昼食をとった場合、勘定科目は「福利厚生費」となります。
一方、上司が数人の部下を連れて親睦会を開くような場合、「全ての従業員が対象」との福利厚生の前提に当てはまらないため、福利厚生費にはなりません。この場合は「交際費」で計上します。
Case6:従業員とのオンライン会議中の昼食
オンライン上であったとしても、会議を目的として支払った昼食代は「会議費」です。
特別なルールこそありませんが、ビジネス目的の会議であることを証明する意味で、参加者それぞれの昼食代金は同程度にそろえておくのがおすすめです。
Case7:従業員とアルコールを含む昼食
アルコールを含む昼食は、業務との関連が明確でない限り「会議費」としての計上は不可能です。社会通念上、勤務中の食事としても不適切なため「福利厚生費」にもなりません。
Case8:コンビニで購入した昼食
Case1と同様、個人の昼食代のため原則として経費にはなりません。
ただしコンビニを含む全国25万店舗以上の加盟店で食事を購入できる食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入している企業などでは、要件を満たしていると「福利厚生費」の対象となります。
昼食代を経費計上する際の注意点
昼食代を経費として計上するにあたっては、事前に押さえておきたいいくつかの注意点があります。中でも特に重要な点を確認していきましょう。
経費のねつ造はNG
昼食代の経費計上は正しく行う必要があります。虚偽申告や内容の改ざんは認められません。
万が一ねつ造した場合、事実が発覚すると企業の信頼低下につながる他、重加算税が課される可能性もあります。
仕事を目的とした飲食であることを明確にする
経費として計上できるのは業務に関係する支出です。
例えば、取引先の人と個人的に親しくなり、休日に一緒に昼食を楽しんだ場合、その昼食代は経費として計上できません。
一方、相手が学生時代からの友人だったとしても、その人物が仕事上で有益な情報を持っていて、昼食を食べながら話を聞いた場合には、昼食代を経費として計上できます。
一緒に食事をした相手だけではなく、食事の目的と併せて判断する必要があります。
自宅近くの飲食店の利用は避ける
参加者の自宅から近い飲食店を、繰り返し接待や会議の場とするのも避けるのがおすすめです。
実際に接待や会議を行っていたとしても、参加者の自宅から近い飲食店は「プライベートの利用なのでは」との懸念につながります。
会議や接待などの会場は、参加者の生活圏からある程度離れた場所を選ぶことが大切です。加えて、領収書や参加者の名前など、記録を残しておくとスムーズに経費として認められやすくなります。
出張の際の昼食代は経費にならない
出張中の食事は、基本的に経費にはなりません。出張のあるなしにかかわらず、食事は必要なものだからです。
ただし出張先で取引先との打ち合わせを兼ねて昼食を食べた、というような場合には経費になり、「接待交際費」か「会議費」として計上できます。
なぜその経費が必要なのかを明確にする
経費は業務に必要な費用にのみ適用されます。客観的に見て必要性があいまいな場合、経費として認められないかもしれません。
会議や接待で使った昼食代を経費として計上するには、業務上不可欠な支出であることを証明できるようにしておく必要があります。
受け取った領収書に、会議や接待の目的、参加者の氏名や役職などを記載しておくとよいでしょう。
法人か個人事業主かで扱いが異なる
昼食代が「接待交際費」になるか「会議費」になるかは、法人と個人事業主とで異なります。
個人事業主の場合、ひとりあたりの食事代が1万円を超えていても接待交際費として計上可能です。加えて法人のような損金算入の限度額もありません。目的に合わせて勘定科目を使い分けましょう。
従業員の昼食代を福利厚生費として経費にするなら?
従業員の昼食代を福利厚生費として計上するには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入がおすすめです。
ここでは「チケットレストラン」の特徴や、導入により得られるメリットについて見ていきましょう。
「チケットレストラン」は非課税枠を活用可能
食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できます。
一定の利用条件を満たして導入することで、所得税が非課税となるので、従業員にとって、同額の賃上げよりも手取り額アップにつながります。
利用の仕方や手取り額アップの仕組みなど「チケットレストラン」の詳細については、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
人材確保につながる
少子高齢化を背景に、業界を問わず人手不足が進行しています。このような中「チケットレストラン」を導入したことで、他の制度との相乗効果により人材確保につながった事例があります。
例えば「株式会社ほねごり」では新卒採用者数が倍増しました。「株式会社sumarch」では、転職を検討していた従業員が「自社より好待遇の企業が見つからなかった」と、退職を取りやめたこともあったそうです。
詳細な導入事例はこちら:
株式会社ほねごり
株式会社sumarch
関連記事:【2025年最新】企業を蝕む人材不足!データで見る現状と解消に向けた対策
昼食代を正しく計上しよう
昼食代の仕訳に使われる勘定科目は「交際費(接待交際費)」「会議費」「福利厚生費」の3つです。経費として計上するときには、正しい勘定科目で処理しなければいけません。加えて必要な書類をそろえておく必要があります。
また従業員の個人的な昼食代を福利厚生費にするには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が有効です。
実質的な手取りアップや人材確保にもつながる福利厚生サービスの導入を検討してみませんか。
当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。
エデンレッドジャパンブログ編集部
福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!
