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【税理士監修】福利厚生費の飲食における上限は?会議費や交際費との違いも

2024.06.05

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監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

福利厚生費や会議費、交際費など、企業で支払う飲食費の経理処理について迷うことはありませんか?
仕事に関連する飲食費用は処理の仕方で税法上の扱いが変わってきます。本記事では、限度額など明確な境界線はあるのか、飲食に関連する仕訳のポイントや要件などを、わかりやすくまとめて解説していきます。

飲食や食事補助における福利厚生費

福利厚生制度には、国が義務付けている「法定福利厚生」と企業がそれぞれに備える「法定外福利厚生」の2種類があります。食事補助など、業務には直接関係しない「法定外福利厚生」にかかる経費が「福利厚生費」です。ここでは福利厚生費の中でも飲食に関連する項目についてみていきます。

福利厚生費の上限金額について

福利厚生費 上限

福利厚生費のうち、通勤手当(通勤費)や食事補助を除いては、明確な上限は定められていません。全従業員が対象となっている、現金支給でないなど一定の要件を満たせば、法定外福利厚生制度の費用は福利厚生費として損金計上できます。その上限は、「社会通念上、著しく高額でないもの」というあいまいな設定であることがほとんどです。

福利厚生費の中でも食事補助の上限については、後ほど詳しく解説します。

会議費・交際費・福利厚生費の違い

飲食費用における「会議費」「交際費」「福利厚生費」は混同しやすいものです。大まかにそれぞれがどのようなものであるか説明します。

福利厚生費 飲食

会議費

企業内または通常会議を行う場所において通常の昼食程度を供与する費用のことです。明確な上限はありませんが、1回あたりの金額は常識的な範囲内(昼食程度)とされています。具体的には、企業内の人の飲食を伴う会議において、一人あたり5,000円以下であれば会議費です。場所や相手によっても許容範囲が変わってきます。

交際費

仕入先や取引先などに対する接待・供応・慰安・贈答などに支出する費用のことです。接待交際費は原則損金不算入です。しかし、交際費課税の特例により、損金として算入できます。

金額については、令和6年4月1日より1人あたり1万円以下の接待飲食費は交際費等の範囲から除かれ損金算入できることになりました。なお、企業規模により、経費として損金にできる金額が異なります。

資本金1億円超〜100億円以下の大企業の場合、接待飲食費の金額の50%までが経費として計上できます。資本金1億円以下の中小企業の場合、800万円または接待飲食費の50%が損金算入可能である上限です。資本金1億円超の大企業では接待飲食費の50%を経費にできます。個人事業主の場合は、法人ではないため上限はありません。

参考:中小企業庁|交際費課税の特例
参考:株式会社クレディセゾン|セゾンのお役立ちメディア Credictionary 接待交際費の上限はいつから変わるの?個人事業主・中小・大企業で損金算入できる上限金額を解説

福利厚生費

企業内の行事などで、従業員の労をねぎらうためにおおむね一律で提供される通常の飲食費用のこと。食事補助以外の飲食費用は社会通念上著しく高額でない限り経費として計上可能です。

飲食費においては、誰を対象に何の目的で支出されたものかによってその仕訳や課税区分が異なってきます。それぞれの費用を正しく処理している証拠として飲食代の領収書とともに、日付・参加者・参加者数・内容などの明細を保存しておきましょう。

個人事業主の場合

企業における交際費は一人当たり5,000円以下(令和6年4月1日以降は一人当たり10,000円以下)であれば会議費として処理できます。

個人事業主の場合は、業務上必要不可欠なものであれば、5,000円という上限はなく必要経費として費用計上可能です。個人事業主が交際費を計上するにあたっての注意として、以下の事項が挙げられます。

  • 個人的な支出と業務関連の費用との線引きを明確にしておくこと
  • 領収書には目的・日時・場所・参加者を明確にしておくこと
  • 支出が企業規模や事業内容から妥当な金額・回数であること

事例別に見る福利厚生費

福利厚生費 食事補助

食事補助

食事補助(※1)を福利厚生費として計上するためには以下の要件を満たす必要があります。

  • (1)役員・従業員が食事代金の半分以上を負担していること
  • (2)企業が負担する金額が3,500円(税抜)以下であること

    出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

(1)の要件が満たされない場合は、食事の価額と従業員負担額との差額が給与課税対象です。

このような場合は社会保険に関しても注意しなければなりません。給与課税と社会保険の報酬とでは少し相違があるためです。社会保険では、食事を現物給与として扱う場合があります。

食事の給与は、その実費を徴収するときは、標準価額と徴収する金額との差額を報酬として算定しますが、従業員から徴収する金額が標準価額の3分の2以上のときは算定しないこととなっています。

具体的な数字で説明しましょう。東京の標準価額は、1月あたり23,400円です。東京の企業で、食事は提供するが従業員から食事代を徴収していない場合は、この23,400円を現物給与とみなして報酬に算定します。

このときに、従業員から食事代として16,000円徴収している場合は、現物給与の価額(23,400円)の3分の2(15,600円)を上回るため、「現物給与の支給はなかった」となります。

これに対して従業員から食事代として月額5,000円を徴収している場合はどうでしょうか。この場合、現物給与の価額との差額(23,400円-5,000円=18,400円)を、現物給与の価額として、賃金総額に算入することになります。

また、現金で食事補助を行う場合は補助する全額が給与として課税されます。ただし、福利厚生費として認められる食事補助の要件には、次に解説する2つの例外があることも押さえておきましょう。

出典:日本年金機構|令和6年4月 全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)
参考:HRpro|社員に食事を出すと社会保険料が増える? 「現物給与」の仕組みと2023年4月からの変更点を解説

残業や宿日直の飲食費

一つ目の例外は残業や宿日直における食事代です。国税庁のサイトでは、以下の記載がされています。

使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。(所得税基本通達36-24)

出典:国税庁|〔給与等に係る経済的利益〕(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)

残業や宿日直において提供される食事は「現物支給の場合に限り」、従業員に無料で提供したとしても、給与課税しなくてもよいということです。現物支給でない場合は給与課税の対象になります。

これに対して、社会保険では夕食のみの1人1日当たりの標準価額がきまっており、この価額を基にし、従業員から徴収する金額が3分の2以上のときは報酬として算定しないこととなっています。

深夜勤務者の夜食

2つ目の例外は深夜勤務者における食事の提供についてです。国税庁のサイトでは、以下の記載されています。

深夜勤務者(労働協約又は就業規則等により定められた正規の勤務時間による勤務の一部又は全部を午後10時から翌日午前5時までの間において行う者をいう。)に対し、使用者が調理施設を有しないことなどにより深夜勤務に伴う夜食を現物で支給することが著しく困難であるため、その夜食の現物支給に代え通常の給与(労働基準法第37条第1項《時間外、休日及び深夜の割増賃金》の規定による割増賃金その他これに類するものを含む。)に加算して勤務一回ごとの定額で支給する金銭で、その一回の支給額が税抜300円以下のものについては、課税しなくて差し支えないものとする。(直法6-5直所3-8)

出典:国税庁|深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて

深夜勤務者に対して「1回300円以下」であれば食事代を現金で支給しても福利厚生費として非課税扱いにできるということです。
一方、社会保険では先ほどの例外同様夕食のみの1人1日当たりの標準価額がきまっており、この価額を基にし、従業員から徴収する金額が3分の2以上のときのみ報酬として算定しないこととなっています。

社内イベントや親睦会

昼食や夜食のような食事代については、前の項目でそれぞれ確認しました。では、従業員の慰労を目的とした忘年会などの社内イベントや親睦会におけるいわゆる「飲み会」のような飲食はどうなるのかをみていきましょう。

福利厚生費として社内イベント等の飲食費用を計上するには以下の3つの要件がポイントとなります。

  • (1)全従業員を対象としていること
  • (2)社内の人だけで行われていること
  • (3)1人あたりの金額が通常要する飲食費用の範囲内であること

部署単位で実施したとしても、全部署が対象となり1人あたりの金額に大きな差がなければ福利厚生費として問題ありません。著しく高額であったり、特定の人のみで行われたり、従業員以外の人が参加したりする場合、またイベントが全従業員強制参加の場合は、交際費や給与として処理することがあるので確認が必要です。

福利厚生で人気の食事補助「チケットレストラン」

近年、福利厚生の一つである食事補助が人気です。少し古いデータですが、2015年にマンパワーグループが18~60歳の男女972人を対象に行った調査によると、実際にあった福利厚生でよかったと思うものは「食堂、昼食補助」が最多で17.1%となりました。従業員の福利厚生を充実させるため、様々な企業が食事補助制度を導入しています。その中でも注目されているのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」というサービスです。

チケットレストラン」は、全国にある25万店舗以上の加盟店(コンビニやカフェチェーンなど)で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。Uber Eats との連携もあり、従業員は場所や時間を選ばず、気軽に食事を楽しめます。専用のICカードで支払えば、その場で食事代が補助されるので、利用する際の手間は最小限です。

また、従来の従業員食堂や弁当手配では、事前の準備や在庫管理が必要でしたが、「チケットレストラン」ではそういった負担がありません。そのため、従業員数が少ない小規模企業から大手企業まで、業種や規模を問わず導入が可能なのが魅力です。実際に導入した企業からは、従業員の定着率の向上や業務への意欲の増進など、様々な好影響が報告されています。利用率が98%、従業員満足度が93%と極めて高い水準にあることからも、その人気の高さがうかがえます。

健やかに働くために、従業員にとって食事は欠かせません。「チケットレストラン」は柔軟で利便性の高いサービスであり、食事補助を検討する企業には魅力的な選択肢になるのではないでしょうか。

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出典:マンパワーグループ|調査データ 福利厚生の人気は「住宅手当・家賃補助」48.3%、「食堂、昼食補助」33.9%

福利厚生費を正しく経費計上することが大切

飲食における経理処理ではその目的や対象によって「福利厚生費」「交際費」「会議費」の区別がされます。混乱しやすい項目ですが、正しく処理を行うことで節税対策にも役立つ大切なポイントです。それぞれの要件を確認し、経費を明確に仕訳しましょう。

福利厚生費として計上でき、従業員にも喜ばれる「チケットレストラン」は、経費処理の観点で福利厚生導入を検討している企業にマッチするサービスです。人気の食事補助サービスは、企業の魅力を高めるのにも役立つため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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