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【社労士監修】『女性活躍推進法』とは?基本から改正ポイントまで徹底解説!

【社労士監修】『女性活躍推進法』とは?基本から改正ポイントまで徹底解説!

2024.06.24

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

「女性活躍推進法」は、女性の職業生活における活躍を推進するための法律です。2016年の施行以降、2回の改正を経て段階的に拡充されてきました。本記事では、女性活躍推進法の概要から、企業に求められる取り組みまでを詳しく解説します。ぜひ女性活躍促進法にまつわる自社の取り組みへの参考にしてください。

女性活躍推進法とは?背景や意義を解説

「女性活躍推進法」は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といい、女性の職業生活での活躍を推進することを目的とした法律です。

「女性に対する採用・昇進等の機会の提供と積極的活用」「職業生活と家庭生活の両立支援」「女性の職業選択に対する本人の意思の尊重」という三つの基本原則のもと、2016年4月に10年間の時限立法として施行されました。

まずは、制定の背景や意義について解説します。

女性活躍の現状と課題

女性活躍推進法が制定された背景には、日本における女性労働の課題があります。

次に挙げる厚生労働省の資料が示すように、日本の労働市場における女性人口の割合は年々増加しています。

労働力人口における女性の割合

出典:厚生労働省|令和元年版働く女性の実情

一方、その労働環境に注目してみると、管理的立場に占める女性の割合は非常に低いのが現状です。

女性管理職割合の推移

出典:厚生労働省|令和4年度雇用均等基本調査

上記二つの資料によると、令和元年の労働力人口における女性の割合は44.4%に達しています。しかし、同年の課長相当以上の管理職のうち、女性の割合はわずか11.9%にすぎません。

この背景には、結婚や出産を機に退職したり、キャリアを中断したりが当然と考えられてきた、女性特有の社会的立場があります。

実際に、内閣府男女共同参画局の資料を見ると、女性の年齢別労働力は、結婚や出産の時期にあたるタイミングで一度落ち込みを見せるM字カーブを描いています。

女性の年齢階級別労働力率

参考:内閣府男女共同参画局 2-4図 女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の推移

働きたい女性が自由に働ける環境を社会として整えることの必要性が明らかになる中で、女性の活躍をさらに推進する動きが年々高まっています。

参考:厚生労働省|令和元年版働く女性の実情
参考:厚生労働省|令和4年度雇用均等基本調査

参考:内閣府男女共同参画局|男女共同参画白書 令和4年版 全体版(HTML形式)

将来の労働力不足と女性活躍推進の意義

少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む中、将来的な労働力不足は日本における大きな課題です。

女性の就業率を上げ、職業生活での活躍を後押しすることは、労働力の確保に直結します。企業にとっても「多様な人材の活用」「イノベーションの創出や競争力の向上」「企業イメージの向上」といったメリットが期待できます。

一億総活躍社会の実現に向けて、女性の活躍推進は、国としても企業としても重要な意義を持っているのです。

女性活躍推進法の概要と施行・改正の流れ

「女性活躍推進法」とは、具体的にどのようなことを定めた法律なのでしょうか。2016年の施行時から、2020年・2022年の改正時まで、同法の概要を解説します。

2016年4月の全面施行

女性活躍推進法は、2015年8月に成立し、2016年4月に全面施行された時限立法です。時限立法とは、有効期間があらかじめ定められた法令をいいます。女性活躍推進法は、短期間での強力な取り組みが必要との考えにより、時限立法として制定されました。

2016年、女性活躍推進法の全面施行により、常時雇用する労働者が301人以上の大企業は、以下の三つの取り組みを義務付けられました。※300人以下の中小企業は努力義務

  • 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • 行動計画の策定・社内周知・公表・届出
  • 女性の活躍に関する情報公表

併せて、女性活躍推進に関する取り組みが優良な企業を国が認定する「えるぼし」認定も創設されました。この認定は、行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性活躍にまつわる取り組み状況に優れた企業が申請することによって受けられるものです。

えるぼし認定は、取り組み内容の優良度によって一つ星から三つ星までの3段階に分かれています。

えるぼし認定マーク

出典:厚生労働省|女性活躍推進法認定マークの愛称を決定しました |報道発表資料

認定を受けた企業は、認定マークを自社商品やHP・求人票などに表示することで、企業イメージの向上を図ることが可能です。さらに、各府省等が行う公共調達において加点評価されたり、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を通常よりも低金利で利用できたりなど、多くのメリットが得られます。

参考:厚生労働省|女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要
参考:厚生労働省|一般事業主行動計画の策定・届出等について
参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づくえるぼし認定

2020年の改正ポイント

女性活躍推進法は、2019年に1度目の改正法が成立し、2020年から順次施行されました。大きな改正ポイントは以下の2つです。

  • 女性活躍にまつわる情報公表の強化
  • 「プラチナえるぼし」認定の創設

「情報公表の強化」により、301人以上の企業は、情報公表項目について「職業生活に関する機会の提供」「職業生活と家庭生活との両立」の2区分からそれぞれ1項目以上、計2項目以上の情報公表が求められるようになりました。

また、えるぼし認定を受けた企業のうち、より優れた女性活躍にまつわる取り組みを行う企業を認定する「プラチナえるぼし」認定が創設されました。

プラチナえるぼし

出典:厚生労働省|「えるぼし」認定とは 

参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づくえるぼし認定
参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

2022年の改正ポイント

2022年、女性活躍推進法について2度目の改正が施行されました。ここでのポイントは以下の二つです。

  • 対象企業の拡大
  • 「男女の賃金の差異」の公表義務化※労働者数が301人以上の事業主

2022年4月より「女性活躍推進法」の対象が、常時雇用する労働者が101人以上の企業に拡大されました。これにより、101人以上300人以下の企業にも、行動計画の策定・届出と情報公表が義務付けられることとなったのです。

また、常時雇用する労働者が301人以上の企業の情報公表項目にも変更があり「男女の賃金の差異」が追加されました。女性活躍推進の取り組みをさらに後押しする内容となっています。

参考:厚生労働省|改正女性活躍推進法 令和4(2022)年4月1日義務化について
参考:厚生労働省 愛知労働局|男女の賃金の差異の公表について

女性活躍推進法において企業が実施すべきこと

女性活躍推進法では、企業の規模に応じて、女性の活躍推進に関する取り組みが義務付けられています。自社が実施すべき取り組みを正しく理解するヒントとして、常時雇用する労働者数に応じた企業の義務の内容を改めて整理していきましょう。

常時雇用する労働者が101人以上の企業の実施事項

常時雇用する労働者数が101人以上の企業は、以下の事項の実施が義務付けられています。

  • 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • 行動計画の策定・社内周知・公表・届出
  • 女性の活躍に関する情報公表

以下、それぞれの項目について詳しく解説します。

自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析

女性活躍推進法では、まず、自社の女性活躍の状況を正しく把握することが求められます。把握すべき項目は、次の4点です。

  • 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • 男女の平均継続勤務年数の差異
  • 労働時間の状況
  • 管理職に占める女性労働者の割合

加えて、女性の積極登用やワーク・ライフ・バランスに関する状況など、自社の実情に合わせて任意の項目も把握するとよいでしょう。

把握した現状から、自社が改善を図るべき課題の分析を行います。分析の際は、課題を可視化し数値で表すことが有効です。

参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

行動計画の策定・社内周知・公表・届出

課題分析を踏まえ、女性活躍推進のための行動計画を策定します。行動計画には、次の4点を盛り込まなければなりません。

  • 計画期間
  • 数値目標
  • 取組内容
  • 取組の実施時期

目標は定量的に設定し、達成状況を測定できるようにしましょう。

策定した行動計画は、社内周知するとともに、外部へ公表することが義務付けられています。外部への公表は、自社のWebサイトや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」への掲載などにより行います。

加えて、所定の様式を用いて所轄の労働局に届け出なければなりません。

参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

女性の活躍に関する情報公表

常時雇用する労働者が101人以上の企業は、女性活躍推進の取り組み状況や女性の活躍に関する情報を、定期的に公表しなければなりません。

公表項目は厚生労働省令で定められた下記項目の中から、企業規模に応じて必要な項目数を選択します。

  • 常時雇用する労働者301人以上の企業:各区分から1項目以上(計2項目以上)
  • 常時雇用する労働者101人以上300人以下の企業:各区分から1項目以上(計1項目以上)

情報公開

出典:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

公表は、求職者をはじめとするステークホルダーに対し、自社の女性活躍推進への姿勢をアピールする機会となります。

労働者100人以下の企業に求められること

常時雇用する労働者が101人以上の企業には、女性活躍推進法によって以下の取り組みが義務付けられています。

  • 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • 行動計画の策定・社内周知・公表・届出
  • 女性の活躍に関する情報公表

一方、常時雇用する労働者が100人以下の企業に対しては、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の企業と同等の取り組みが努力義務として課されています。(2024年6月現在)。

努力義務に法的な拘束力はありませんが、努力してしかるべきものと捉え、前向きに取り組むことが求められています。

参考:e-Gov法令検索|女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 第8条 第7項

【女性活躍推進法】にまつわるよくある質問

女性活躍推進法の施行や改正にともない、多くの企業が判断を迷ってしまう項目にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、女性活躍推進法にまつわるよくある質問をピックアップし、回答と合わせて紹介します。

Q.「常時雇用する労働者」にパートなどの非正規従業員は含まれますか?

A.「常時雇用する労働者」とは、次の要件のいずれかに該当する従業員をいいます。

  • 雇用期間の定めがない従業員
  • 雇用期間の定めはあるが、1年以上雇用されているもしくは1年以上の雇用が見込まれる従業員

上記いずれかに該当すれば、雇用形態は問われません。パートやアルバイトなどの非正規従業員も「常時雇用する労働者」に算入する必要があります。

参考:厚生労働省|よくあるご質問(Q&A)

Q.「行動計画の社内周知」とは、具体的にどのようなことをすればよいのですか?

A.行動計画を策定したら、3カ月以内を目安に社内への周知を図らなければなりません。具体的な方法には、次のようなものが挙げられます。

  • 事業所内の分かりやすい場所へ掲示する・備え付ける
  • 行動計画の内容を記載した書面を交付する
  • 行動計画の内容を記載した電子メールを送信する

すべての従業員が行動計画を目にする機会があること・確認したいときに確認できる体制を整えることが求められます。

参考:厚生労働省|一般事業主行動計画の策定・届出等について

Q.女性活躍推進法に罰則はありますか?

A.女性活躍推進法に罰則はありません。ただし、法律の履行について疑義がある事業主について、厚生労働大臣は報告を求め、必要に応じて助言や指導・勧告を行えます。その上で、報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料を科される可能性があります。

また、定められた情報公表項目について公表していなかったり、虚偽の情報を公表したりした事業主が、勧告を受けたにもかかわらず従わなかった場合、厚生労働大臣はその事実を公表することが可能です。結果的に企業価値を著しく損なう可能性がある点も知っておく必要があるでしょう。

女性活躍推進を支える福利厚生制度

女性活躍推進法の理念を実現するために必要なのは、制度の整備だけでありません。女性従業員のモチベーションを高め、能力を最大限に発揮できる職場環境を作ることが不可欠です。以下、女性の活躍を後押しする福利厚生制度について解説します。

モチベーション維持・向上が女性活躍推進の鍵

女性従業員が仕事に対して高いモチベーションを維持できるかどうかは、女性活躍推進の成否を左右する重要な要素です。

モチベーションの維持・向上には、ライフイベントとの両立などのさまざまなハードルに直面しながらも、意欲的に働き続けられる環境を整備することが求められます。「この会社の従業員でいられることがうれしい」「この会社に貢献したい」と感じている従業員は、そうでない従業員に比べ、高いモチベーションやパフォーマンスを期待できることはいうまでもありません。

そこで、環境整備の一環として注目されているのが、福利厚生の拡充です。家庭生活のサポートや健康経営の観点からも、福利厚生の果たす役割への期待は高まっています。

食事補助が注目される理由

数ある福利厚生の中でも、近年特に人気を集めているのが「食事補助」です。

日々の食事を支援することは、従業員一人ひとりの心身の健康維持・増進に直結します。また、食事の質を高めることは、経済面でのサポートを含め生活の質の向上にもつながるため、仕事へのモチベーションアップも期待できます。

さらに、食事補助の福利厚生を通じ、企業が従業員の食生活を支えることにより、人財を大切にする企業姿勢の表れとして、エンゲージメントの向上にも寄与するでしょう。

このように、幅広いメリットが得られることから、「食事補助」は新たな福利厚生の選択肢として多くの企業から選ばれているのです。

「チケットレストラン」はどんなサービス?

食事補助の福利厚生サービスとして、日本一の実績を持つのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、専用のICカードを利用して提供する食事補助の福利厚生サービスです。従業員と企業側が半額ずつチャージしたICカードで食事代を支払うことにより、従業員は実質半額の食事補助が受けられます。

加盟店はファミレスやコンビニなど全国に25万店舗以上で、ジャンルも幅広く取り揃えられています。勤務時間内であれば自由に利用できるため、出張中やリモートワーク・夜勤中でも問題ありません。

従業員の年齢や性別・嗜好を問わず平等に利用できる福利厚生として、すでに2,000社を超える企業が導入している人気のサービスです。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

女性活躍推進で人手不足の解消を

日本の将来推計人口を見ると、少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少は避けられない課題です。企業の人手不足は今後ますます深刻化すると予想されています。人口構成が大きく変化する中にあって、多様な人材、特に女性の活躍推進は、企業の持続的成長を左右する重要な鍵といっても大げさではありません。

単に法律の要請に応えるためだけでなく、女性の能力を存分に発揮できる環境を整備し、活躍の場を広げていくことは、これからの時代を生き抜く企業経営の要といえます。

女性活躍推進法の理念と規定を踏まえつつ、自社の目指す姿に向けて、戦略的に取り組みを進めていきましょう。

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