近年「職場コミュニケーションがうまくいっている企業とそうでない企業とでは、社内の雰囲気はもちろんのこと、業績や離職率にも大きな差が生じる」との考え方が一般的となりつつあります。
世界規模の感染症や、終わりの見えないインフレによる不安定な社会情勢の中で経営に不安を抱える企業にとって、職場コミュニケーションはただちに見直すべき重要な課題といえるでしょう。
本記事では、職場コミュニケーションが重要視される主な理由や、改善するメリット・実際の取り組み事例など、職場コミュニケーションについて経営層が知っておきたい情報を分かりやすく整理しています。
職場コミュニケーションのきっかけとして便利なサービスであるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
職場コミュニケーションの基礎知識
職場コミュニケーションは、社風や組織内の風通しのよさを左右する重要なファクターです。一方で、経営層から直接見えにくい部分だけに、深刻な課題を抱えながらも対策がなされていないケースが少なくありません。
職場コミュニケーションの課題に気付き、対策を図るための準備として、まずは職場コミュニケーションにまつわる基本的なポイントから確認していきましょう。
社内コミュニケーションの重要性
社内コミュニケーションの重要性が注目される理由を簡潔に表すと「働きやすさが大きく左右されるから」です。
社内コミュニケーションが不足している企業では、スムーズな意思の疎通が図れません。従業員同士に親しみや信頼関係が育まれないことから、必要な情報共有も滞りがちです。
例えば、上司とのコミュニケーションが不足している場合、業務上の疑問点を質問するといった、本来であれば必須の行為がためらわれてしまいます。
また、同僚間でのコミュニケーションが不足している場合、社内で孤独を感じやすくなり、居場所を作ることができません。
こうした環境は、多くの従業員に「働きにくさ」を感じさせてしまいます。働きにくさを感じる従業員は、企業に対する信頼や愛着も持てず、仕事に対するモチベーションも低くなってしまうでしょう。
なお、「働きやすさ」は、「働きがい」の構成要素でもあります。
世界約150カ国で「働きがいのある会社」についての調査点分析・認定・ランキングを行う世界最大級の意識調査会社「Great Place To Work®(GPTW)」は、「働きがい」について「働きやすさとやりがいの両方が兼ね備わった」状態であると言及しています。
「働きがい」の感じられない仕事が長続きするものではないことを考えても、「働きやすさ」は企業にとって重要な課題といえます。
参考:働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)|「働きがい」とは?
職場コミュニケーションが不足した場合の影響
職場コミュニケーションが不足した場合、企業内に及ぼす主な影響としては、以下のようなものが挙げられます。
●必要な情報が共有されない
●作業効率が低下する
●業務上のミスやトラブルが増加する
●チームワークを高められない
●離職率が増加する
なかでも深刻なのが、「離職率の増加」です。
厚生労働省が公開している「令和4年 雇用動向調査結果の概要」によると、「個人的理由」で前職を退職した男性のうち「職場の人間関係が好ましくなかった(8.3%)」と回答した人は、「その他の個人的理由(19.6%)」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」に次ぐ多さとなりました。※調査対象:令和4年の転職入職者
女性の場合のデータでも「職場の人間関係が好ましくなかった」との回答が10.4%を占め「その他の個人的理由(25.0%)」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった(10.8%)」に次ぐ結果となっています。
少子高齢化にともなう労働力人口の減少により、人手不足が社会問題となる中で、従業員の離職は企業にとって大きなダメージです。
従業員の安定的な獲得・定着なくして、企業の維持や成長は望めません。職場コミュニケーションは、企業の存続にも影響する重要なファクターといっても大げさではないのです。
職場コミュニケーションを活性化させるメリット
職場コミュニケーションの活性化に取り組むことで、企業が得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
離職率低下
職場コミュニケーションを活性化させるメリットとして、まず挙げられるのが「離職率の低下」です。
人間関係の問題は、離職の理由の中でも大きな割合を占めています。人間関係の問題の多くが、コミュニケーション不足を原因とした誤解や嫌悪・嫉妬などから生じることを考えると、職場コミュニケーションの活性化は離職率を低下させる効果的な対策といえるでしょう。
また、コミュニケーションの活性化により、社内の横のつながりが広がると、いざというときの相談相手も自然と増えます。解決策を見つけやすくなることから、業務上の悩みやトラブルによる離職のリスクの低下も期待できます。
モチベーション向上
従業員一人ひとりの「モチベーション向上」も、職場コミュニケーションを活性化させることで企業が得られるメリットのひとつです。
従業員間でコミュニケーションが活性化すると、従業員同士の心の距離が縮まり、仲間意識や連帯感が生まれます。
理解し合える仲間の存在は、強い安心感ややる気の源です。グループスポーツの多くがそうであるように、「仲間のためにも頑張ろう」と、お互いに支え合いながら目標に向かって全力を尽くすことができるのです。
生産性の向上
職場コミュニケーションが活性化している企業では、従業員間の情報伝達がスムーズに行われます。
上司と部下・同僚・先輩と後輩など、関係性にかかわらず気軽にコミュニケーションをとれる土壌が形成されているために、困っている人にすぐ気付くことができるのはもちろんのこと、必要な連絡の漏れや誤認も最小限に留めることが可能です。
困っている人にすぐ気付けたり、連絡の漏れや誤認が抑えられたりするということは、業務上のミスを予防できるということでもあります。ミスにより生じる時間や費用のロスを抑え、効率的に業務が行えることから、生産性の向上が期待できるでしょう。
創造的なアイデア促進
近年、政府によるDX推進をきっかけに、技術革新を基盤とした新たな企業の在り方が求められています。
一方、新たな時代に即したアイデアは、既存の仕組みや概念のみを材料に生み出すことはできません。
そこで役立つのが、職場コミュニケーションによるアイデアの創造です。たとえ従業員一人ひとりの発想に目新しさがなかったとしても、多くのアイデアを出し合い、融合させることで、創造的かつユニークなアイデアを生むことが可能となります。
職場コミュニケーションの活性化は、常に新たなアイデアを生み出し、時代を牽引する企業であるための必須の条件といっても大げさではないのです。
課題解決能力の向上
どのような職種であれ、業務を遂行しているとさまざまな課題に直面します。課題解決に至るまでの時間がどれくらいかかるかによって業務効率は大きく変わるため、課題の深刻度によっては業績に影響を及ぼす可能性も否定できません。
その点、職場コミュニケーションが活性化している企業では、従業員同士の活発な意見の交換によって問題解決がスムーズに進みます。
過去の課題と解決法もコミュニケーションを通じて伝達されるため、目に見えない企業の財産として共有され、企業としての問題解決能力がどんどん高まっていくのです。
従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に抱く愛着や貢献意欲をいいます。従業員エンゲージメントが高い企業では、従業員の仕事に対するモチベーションが高く、一人ひとりが率先して企業の利益を考えて行動します。
企業の一員としての誇りを育みやすいため、従業員エンゲージメントが高い企業では、低い企業に比べて離職率も低いのが一般的です。
活発な職場コミュニケーションは、働きやすさを支え、企業への愛着を深めるという点で、従業員エンゲージメントの向上に寄与します。従業員一人ひとりが自社へ愛着を持ち、積極的に貢献しようとする理想的な職場環境を構築できるでしょう。
職場コミュニケーションを活性化させる5つの方法
職場コミュニケーションの重要性を早くから認知していた企業では、すでにさまざまな活性化のための施策が考案・実践されています。中でも高い効果が認められ、多くの企業で実践されている職場コミュニケーション活性化の施策を5つピックアップして紹介します。
ランチタイムを活用する
リラックスした雰囲気の中で会話を楽しめるランチタイムは、職場コミュニケーションを活性化させるのにぴったりのタイミングです。
実際に取り入れられている具体的な方法として、まず挙げられるのが、他部署の人とランチをともにする「シャッフルランチ」です。普段の業務では関わることのない人同士が集まって食事をすることで、企業内での横のつながりを深め、職場コミュニケーションの活性化を促せます。
また、カフェテリアのような、多くの社員が自然と集まってランチを楽しめる場所を提供することも、職場コミュニケーションの活性化を促進する効果的な施策です。
なお、近年、従業員に喜ばれる福利厚生として、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」をはじめとする「食事補助」の注目度が高まっています。福利厚生の食事補助企業が従業員の食事代を補助することで、従業員のランチの選択肢が広がります。ランチに誘い合う習慣が自然と生まれ、職場コミュニケーションも活性化するでしょう。
1on1ミーティングをする
職場の人間関係の中でも、働きやすさに大きな影響を与えるのが、上司との関係です。上司との折り合いが悪く、「話しにくい」と感じていたり、「正当に評価されていない」と感じていたりなど、信頼関係が構築できていない場合、従業員のモチベーションは低下し、離職のリスクも高まります。
そのような事態を防ぐための方法として、多くの企業で導入されているのが「1on1ミーティング」です。
1on1ミーティングは、従業員の業務の進捗状況から、将来的なキャリア・困りごとや意見などをテーマに行われます。日常の業務のなかでは話せないことを1対1の場で口にすることにより、上司との信頼関係構築が促されます。
フリーアドレス制を導入する
職場コミュニケーションを活性化させるには、従業員一人ひとりが日常的に接する人を増やし、従業員同士のつながりを広げていくことが大切です。
一方、多くの業務では、日常的に接する人は同じ部署の同僚や上司など、特定の人に限られます。「他部署の人については、同じ企業に勤めていてもほとんど分からない」という人も多いのが実情です。
そのようなとき、新たな施策としておすすめなのが「フリーアドレス制度」です。
フリーアドレスとは、社内に個人の固定席を設けず、共有のデスクやソファ・カウンターなどの好きな場所で働くスタイルをいいます。
フリーアドレス制度を導入することで、日々接する人が変わり、部署にとらわれない職場コミュニケーションが促進されます。オフィス内のスペースを有効活用できるため、コスト削減にも役立つでしょう。
メンター制度を導入する
職場での人間関係に課題を抱える人の中には「入社早々に周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、以降苦手意識を持ってしまった」という人が少なくありません。
反対に、早い段階で周囲との信頼関係を構築できていたり、業務を通じて信頼できる上司や先輩に出会えたりした人は、職場での人間関係が良好になる傾向にあります。
そこで、職場コミュニケーションを活性化させる方法として、ぜひ検討したいのが「メンター制度」の導入です。
メンター制度は、新入社員をはじめとする若手の社員に対し、比較的年齢の近い先輩社員が精神面を中心としたサポートを行う制度のことで、サポートする側を「メンター」・される側を「メンティー」といいます。
メンター制度を導入することで、悩みやストレスを抱えたときに相談相手がいるという安心感を得られ、職場にもなじみやすくなります。周囲の人間関係も築きやすくなり、職場コミュニケーションの活性化につながるのです。
イベントを実施する
職種や部署によっては、従業員それぞれが「もっと社内の人とコミュニケーションをとりたい」と思っていてもままならないケースがあるかもしれません。
そのようなときに役立つのが、社内イベントの実施です。
新年会・忘年会・バーベキュー・スポーツイベント・社員旅行など、業務とは離れた場で一緒に過ごす時間を持つことで、従業員同士の親睦を深めることができます。
社内イベントを通じ、お互いへの理解が深まれば、業務上でのやりとりもスムーズなものとなります。日常的な職場コミュニケーションも活性化し、ひいては企業としての生産性や業績の向上が期待できるでしょう。
職場コミュニケーション活性化のポイント
職場コミュニケーションを活性化するには、日常的なコミュニケーションの中で意識したいいくつかのポイントがあります。以下に挙げるポイントを社内に展開することで、職場コミュニケーションが促進されるのはもちろんのこと、コミュニケーションに課題を抱える従業員の助けになるかもしれません。
名前を呼ぶ
一般的な心理として、人は名前を呼ばれることにより、相手に対する好感を抱きやすい傾向があります。これは、「自分の名前を覚えてくれている」という事実が、無意識ながら承認欲求を満たしてくれるからです。
職場においても同様で、あいさつや業務連絡の際にあえて相手の名前を呼ぶことにより、心理的な距離を縮めることができます。
もちろん、具体的な呼び方についてはお互いの関係性や相手の性格・社風を踏まえて考える必要があります。特別親しい関係ではないにもかかわらず、突然下の名前で呼びかけるようなことは、コミュニケーション活性化どころか相手を不快にさせる可能性が高い点を心に留めておきましょう。
目を見て伝える
会話をする際に相手の目を見るというのも、職場コミュニケーションを活性化させるために意識したいポイントのひとつです。
「目は心の鏡」という言葉もあるように、人の心は目に表れるとされています。つなり、人と会話をする際に目を合わせないのは、自覚の有無にかかわらず「この人に心を見せたくない=相手に心を許していない」サインとなります。
場合によっては、目を逸らして会話をすることにより「嘘を言っているのでは」「この人に嫌われているのかも」といった誤解を招く可能性もゼロではありません。
目を見て伝えることは、職場コミュニケーションの基本として実践することが大切です。
立場が上の人から積極的に話しかける
上司や先輩など、立場が上の人との関係性について「難しい」と考える従業員は少なくありません。たとえ相手を心から尊敬し、人として好感を持っていたとしても、上下関係を意識するあまり距離を感じてしまうのが、このケースの一般的な心理です。
この問題を解決するためには、「立場が上の人から積極的に話しかける」のが効果的です。
立場が上の人から声をかけることで、声をかけられた側は安心して会話を楽しめます。立場が上の人に対する苦手意識も徐々に解消され、スムーズな職場コミュニケーションが可能となるでしょう。
ポジティブな言葉を選ぶ
職場コミュニケーションでは、プライベートでのコミュニケーション以上にポジティブな言葉選びを心がけることが大切です。
職場は個人の能力が試される場所だけに、他者からの評価に敏感になりやすい場です。本人は軽い気持ちで言った言葉でも、相手の心に思いがけないダメージを与えてしまうケースは枚挙にいとまがありません。
そのような事態を防ぐためにも、職場では普段以上に意識してポジティブな言葉を選びましょう。立場が上になればなるほどに、言われた側がどう感じるかを常に考えて言葉を発することが大切です。
成功企業の職場コミュニケーション事例
職場コミュニケーションの活性化に取り組み、すでに大きな成果をあげている企業も多く存在します。以下、主な企業の成功事例を紹介します。
サイボウズ
「サイボウズ株式会社」では、「情報をオープンにすること」「心理的安全性を確保すること」「監視をあまりしないこと」を社内コミュニケーションのポイントとし、さまざまな施策を実践しています。
例えば「ザツダン」と呼ばれる施策では、各従業員がマネージャーやチームメンバーと1対1で雑談を行えます。話す内容に制限はなく、仕事の話題もプライベートの話題も自由です。一般的な1on1ミーティングをよりフランクにした施策といえます。
また、職場コミュニケーションを支援する制度として、部門やチームなどで懇親会をした際に「部内イベント費」が支給される制度や、業務上必要なヒアリングや会議・懇親会などに参加した際に飲食費の補助が受けられる「仕事Bar」などの制度も整備されています。
参考:https://cybozu.co.jp/
参考:サイボウズ株式会社|コミュニケーション方法 | 採用情報
リクルート
「株式会社リクルート」は、2023年7月の本社オフィスリニューアルに伴い、「CO-EN(公園、Co-Encounter)」をコンセプトに、オフィスを「誰もが仕事を通じてさまざまな機会や仲間と出会い、楽しみながら価値を発揮しながら、ともに価値創造できる場」として整備しました。
各フロアに小規模のCO-ENスペースを複数配置し、従業員間の「集まる」「出会う」を実現しているほか、大人数での集まりにも対応できるよう、大会議室やカフェ・ダイニングを配置したCO-ENフロアも設けています。
そのほか、職場コミュニケーションの活性化や、従業員一人ひとりのサポートを目的とした「よもやま」と呼ばれる雑談中心のミーティングも広く活用されています。
参考:https://www.recruit.co.jp/
参考:株式会社リクルート|出社率38%でも集まりたくなるワケ。リクルートの働き方とオフィス&新社食のリアルを徹底解説
参考:株式会社リクルート|リクルートの「よもやま」ミーティングとは? フラットなコミュニケーションが個性を活かす
職場コミュニケーションを活性化して生産性を高めよう
職場コミュニケーションが不足した企業では、「必要な情報が共有されない」「業務上のミスやトラブルが増加する」「離職率が低下する」など、数々の課題が生じます。
なかでも深刻なのが離職率の低下で、優秀な人材の離職が続いた場合、将来的な企業の維持や成長にとって大きなリスク要因となるでしょう。
職場コミュニケーション不足の具体的な対策として挙げられるのが、「ランチの活用」「1on1ミーティング」「フリーアドレス制」「メンター制度」「社内イベント」といった施策です。
なお、これらの対策のうち「ランチの活用」で役立つサービスとしておすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。サービスを利用することで、約25万店舗以上もの飲食店での支払いが半額になることから、ランチを利用したコミュニケーションをより促進できます。
自社に合った施策を効果的に取り入れて、従業員にとって働きやすい環境を整備し、生産性の向上、ひいては企業としての業績向上を目指しましょう。