監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
慢性化している人手不足問題は、深刻な社会問題です。人手不足問題に企業が取り組みやすいように、政府によるサポートも導入されています。
政府によるサポートのひとつが「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」です。積極的に人手不足解消に努める企業は、給付金支給が受け取れます。
この記事では、「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」について、その目的や支給内容、支給対象となるための条件などについて解説します。
人事評価改善等助成コースとは?
はじめに、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)について内容への理解を深めていきましょう。
人事評価改善等助成コースの目的
人事評価改善等助成コースの目的は、企業の人手不足を解消することです。支給要件を満たすと助成金を得られるという金銭的なサポートにより、企業が人手不足解消に積極的になるよう促します。
「生産性向上のための人事評価制度と賃金制度の整備」などへの取り組みが支給要件です。人事評価制度と賃金制度の整備を通じて、生産性向上・賃金アップ・離職率低下が期待でき、人手不足解消という目的を達成できるようになります。
参照:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」
人事評価改善等助成コースの支給内容
後ほど解説するいくつかの要件を満たすことで、「目標達成助成」として80万円が支給されます。
もともと、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)には、「制度整備助成(※1)」と「目標達成助成」がありました。しかし、「制度整備助成」については令和3年3月31日で廃止となっています。「目標達成助成」については、令和4年4月1日より要件である人事評価制度等整備計画が受付休止となり、実質助成金について新規受付休止となっています。現在、令和4年3月31日までに人事評価制度等整備計画を受付済みの事業者のみ申請可能です。
(※1)事業主が、生産性向上を目的として、能力評価を考慮した人事評価制度の整備と、2%以上の賃金アップを含んだ賃金制度を整備して、実行した場合に50万円が支給される助成金。
参照:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)変更のお知らせ」
参照:厚生労働「8 人材確保支援助成金 人事評価改善助成コース(整備計画受付の休止)」
人事評価改善等助成コースの支給対象となるための要件
支給対象となるための主な要件について、厚生労働省のホームページをもとに解説します。下記の1〜4以外にも受給要件があるため、詳しい要件については、厚生労働省「人事評価改善等助成コース支給までの流れ」を参照してください。
(主な要件)
- 人事評価制度等整備計画の認定
- 人事評価制度等の整備・実施
- 賃金の増加及び増加した賃金を引き下げていないこと
- 離職率の低下
1.人事評価制度等整備計画の認定
「人事評価制度整備計画書」を作成し、管轄の労働局の認定を受けます。ただし、令和4年4月1日から整備計画の受付は休止され、現在は令和4年3月31日までに計画を申請した事業者のみ手続き可能です。
2.人事評価制度等の整備・実施
1の計画に基づき、制度を整備し、実際に人事評価制等対象労働者に実施すること。
3.賃金の増加及び増加した賃金を引き下げていないこと
整備した人事評価制度等の適用を受けた人事評価制度等対象労働者の賃金の額が、人事評価制度等の「実施日の属する月の前月」と「実施日の属する月」の「毎月決まって支払われる賃金」の対象労働者の合計額を比較したときに、2%以上増加していること。
4.離職率の低下
人事評価制度等の整備・実施の結果、人事評価制度等の実施日の翌日から起算して1年経過するまでの期間の離職率が、人事評価制度等整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、以下の目標値以上に低下させること。
雇用保険一般被保険者の人数規模区分 | 1~300人 | 301人以上 |
低下させる離職率ポイント | 維持 | 1%ポイント以上 |
参照・引用:厚生労働省ホームページ「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」
人事評価改善等助成コースの支給申請方法
助成金の申請方法について、厚生労働省のホームページをもとに解説します。
▼「人事評価制度等整備計画」の作成・提出(計画の認定申請)
本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。
▼認定を受けた人事評価制度整備計画書の整備計画に基づいて人事評価制度を整備
就業規則などに明記する必要があります。
▼人事評価制度等の実施
全人事評価制度等対象労働者に実施する必要があります。
▼以下の3つの目標を達成
・生産性向上
・労働者の賃金引き続き2%以上アップ
・離職率の低下に関する目標
▼制度整備助成金の支給申請
評価時離職率算定期間の末日の翌日から起算して2か月以内に支給申請します。
▼助成金80万円支給
参照・引用:厚生労働省ホームページ「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」
人事評価改善等助成コースを支給申請するメリット
人事評価制度にメスを入れ、賃金制度が整うことで、業務の生産性が向上する、従業員の賃金に対する不満の解消につながるのがメリットです。従業員満足度も高められるため、離職防止対策にもなるでしょう。
人事評価改善等助成コースを支給申請するデメリット
賃金アップにより、労働コストが上昇するのがデメリットです。一時的には助成金で補助可能ですが、将来人件費が負担となる可能性があります。
生産性向上・実質賃金アップを実現する福利厚生「チケットレストラン」
人事評価改善助成コースは、残念ながら新規受付ができません。そこで、人手不足の解消にもなり、助成金のように企業に金銭的なメリットがある制度として、食の福利厚生「チケットレストラン」を紹介します。サービスの内容や魅力についてみていきましょう。
福利厚生の食事補助サービス「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、企業が従業員の食事代を半額負担する食の福利厚生サービスです。専用のICカードで食事代を支払うことで、従業員は食事代を実質半額で済ませられます。利用可能店舗は、ファミレス・有名チェーン店・コンビニなど多様であり、全国約25万店舗以上の加盟店において利用可能です。
従業員満足度向上により生産性向上を実現
「チケットレストラン」は、従業員の勤務環境を問いません。職種が異なり勤務地がバラバラで、これまで食事補助には取り組めていなかった企業も多いのではないでしょうか。コンビニでも利用できる「チケットレストラン」ならば、全従業員が公平に利用可能です。利用率98%・継続率99%・従業員満足率93%を誇っており、生産性向上にも役立ちます。
離職防止効果あり
「チケットレストラン」導入済の企業の経営者の中には、従業員が喜ぶ福利厚生を導入し、離職防止に役立てたいと考えて導入に踏み切った方もおりました。人事担当者であれば、「求人における他社との差別化」に「チケットレストラン」を役立てたいと考える場合もあります。
福利厚生費として経費計上できる
「チケットレストラン」は、食事補助における非課税枠を活用できるのも特徴です。非課税運用のための以下の条件を満たすことで、福利厚生費として経費計上できるようになります。
- 従業員1人に対して毎月3,500円(税別)を上限とすること
- 企業の支給額に対して従業員は同等以上を負担すること
あると嬉しい福利厚生で人手不足を解消
人手不足問題は、少子高齢化が進めば進むほど企業にとって深刻な問題となります。多くの企業では、継続的かつ戦略的に人手不足問題に取り組み、人材の確保と定着を図ることになるでしょう。全従業員が利用できる公平性の高い「チケットレストラン」のような福利厚生を導入し、従業員満足度を高め、業務生産性向上や人手不足解消に取り組むことが大切です。しかも、「チケットレストラン」は、企業にとって経費計上できるメリットも得られます。あると嬉しい食の福利厚生サービス「チケットレストラン」で、人手不足解消に取り組みませんか。